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比較的最近の作品を収録した短編集。短編はアイデアが凝縮されてて面白い。
「暗黒整数」で相手方にダメージがある(飛行機が墜落するなど)のは、数学の定理を変化させたために、それを基盤としたシステムに異常が生じたからという理解でいいのかな?爆弾というのは、数学理論を破壊するという意味の比喩として読んだ。前作を読むと理解できるんだろうか。
5ページに渡って機械的なシークエンスだけが展開する部分では、最後までそのままの調子で続くのかと思った。そんな小説も読んでみたい。
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図書館より。
ハードSF短編が7編収録されています。
印象的なのは生命を進化させる男を描いた『クリスタルの夜』とクローンによる臓器移植が当たり前となった世界の話『エキストラ』
どちらの作品も進みすぎた科学の世界観が面白く、また倫理面を問いかけてくるあたりも味わい深く感じられました。
表題作の『プランク・ダイヴ』はブラックホールでの壮大な実験の話。
作中で述べられている論理についてはちんぷんかんぷんだったのですが、研究者たちの熱い気持ちと想像力を喚起させる会話が分からないなりにも素晴らしく感じました。
ほかの作品も科学論理や数学論理がもっとわかれば間違いなく面白い作品ばかりだと感じました。それだけに話の内容が理解しきれない自分が残念……
解説部分を読んで「これってそんな壮大な話だったんだ」とようやく気付く作品もしばしばあったので(苦笑)
次回は文系人間にやさしいこの人の作品を読みたいなあ。
ローカス賞受賞作『プランク・ダイヴ』
第41回星雲賞〈海外短編部門〉受賞作『暗黒整数』収録
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グレッグ・イーガン短篇集。当カテゴリでは最早間違い無いデス。
収録作「暗黒整数」は別の短篇集『ひとりっ子』収録の「ルミナス」の続編なのでそっちを先に読むコト。
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イーガンはだいたいそうだが、かなり物理学の素養がないと難しい。といっても、発想や設定が面白く、ぐーっと引き込まれるのだが。
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原書名:THE PLANCK DIVE AND OTHER STORIES
クリスタルの夜◆エキストラ◆暗黒整数◆グローリー◆ワンの絨毯◆プランク・ダイヴ(ローカス賞)◆伝播◆
ローカス賞
著者:グレッグ・イーガン(Egan, Greg, 1961-、オーストラリア、作家)
編訳:山岸真(1962-、長岡市、翻訳家)
解説:大野万紀(1953-、評論家)
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SF好きとは言うものの、
自分はライトノベルに毛が生えた程度のものしか読んで
きてなかったな、と痛感。
本中3本目から一気にハードSFの世界に
飛び込んで行くのだが、そのあたりから
ついて行くのがやっとだった。
読んでいて分からないところが
いくつか出てくるのだが、その辺りは
あとがきにもあるように雰囲気だけ感じて
ドンドン読み飛ばしていくのだが良いんだろうと思う。
個人的に好きなのは「暗黒関数」か。
解釈がうまく出来ているかは分からないけど、
この世界と違う世界があるとしたら、
そこから受けるのは単純な侵略とかではなく、
こういった危うい関連性になるのでは、と
想像力が膨らんだ。
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なかなかハードなSFです.
とりあえず難しい.
ひとつひとつ理解しようとすると
そこで止まってしまってなかなか進めないf^^;
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すばらしい
表題作も良かったが『ワンの絨毯』はそれ以上。SFの普遍的テーマにあきれるほどたくさんの要素を盛り込み、それでなお太い物語のラインがあり、メインのアイディアの驚きも強い。うーんすごい。
諸作ともコムズカシいとこは多々ありますが、それを読み流し(失礼)ても楽しませるパワーがあります。広くオススメ。
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いやぁ骨太のSF、お腹いっぱい
プログラミングの知識があってこそのとか、数学で異世界と熾烈な攻撃しあうのとか、発送が不思議で楽しい
SFは知的な想像力を刺激されるというのを認識させてくれる
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ハードSF短編集。このジャンルの第一人者・イーガンの短編集の中でも、極めてハード寄りな作品の多い一冊です。
ちょっとやそっとじゃ想像もつかない遠未来・遠宇宙や別次元のテクノロジーとそれにまつわる事件だったり葛藤だったりはたまた驚愕の新発見だったり。
中でも、異なる数学体系を持つ別世界との接触を描く「暗黒整数」、人類の宇宙観を揺るがす特異な生命体の発見を描く「ワンの絨毯」の2編が飛び抜けて印象深く。前者は「ひとりっ子」収録の短編「ルミナス」からの続編で、後者は後に長編「ディアスポラ」の一部として取り込まれるらしいけどどっちも知らずとも存分に楽しめるクオリティです。
ギミックとしては専門的な知識・理解を要求するものが多いっていうかこれプロの専門家向けだろってツッコミ入れたくなる部分もあるけど、そのへん乗り越えるか適当に流すかしとけばあとはもう未来へ拡散する発想・想像力の爆発が楽しみ放題。名作だね!
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久々に読んだイーガンさん。これまでの作品に輪をかけて容赦ないハードっぷりで苦戦したが、それに見合う面白さだった。
イーガン作品のいいところは、まず人間ドラマが秀逸なこと。そして、背景設定や小道具といったサイエンスの部分が(いい意味で)馴染みがなく、それ故にドラマがどんな風に展開していくかが予想できないところだ。
例えば超能力のある世界が物語の設定だった場合、能力の内容からある程度物語の展開やギミックは予想できる(「読心」だったら、能力を生かして事件を解決したり、能力に対する葛藤みたいなものが描かれるのかな。といった予想ができる)。だが、「ブラックホールにダイブすることでプランクスケールの物理学を解き明かそうとする探索活動」や「精神が電子化された世界においてなお、肉親のために生き方を縛られる少女」などの設定・登場人物からどんな展開が予想できるだろうか。一行読む毎に衝撃を受け(ときには理解に苦戦し)、そして決まって最後には、どれだけ時代が進んだ未来の話であっても、人間にとって普遍的なテーマについて深く考えさせられる、鮮やかな結末を迎える。
SFの強みを最大限生かし、かつ他では味わえない感動を与えてくれるイーガンの作品を、今後もチェックしていきたい。
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イーガンの日本オリジナル短編集、5冊目(※1冊は河出の奇想コレクションなので、ハヤカワ文庫SFで刊行されたものとしては4冊目)。解説は大野万紀。
訳者あとがきにもある通り、既刊の中で最もハードSF寄りの1冊。『イーガンは難解』と言われる要素がたっぷり詰まっているw
印象に残ったものは、『クリスタルの夜』『エキストラ』『プランク・ダイヴ』『伝播』。冒頭の『クリスタルの夜』とそれに続く『エキストラ』は、他タイトルのレビューでも言及した『身もふたもない』笑いを喚起する路線。逆に『プランク・ダイヴ』と『伝播』は、『難解なイーガン』路線。路線としては前者の方が好みかなぁ……。
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イーガンの短編集は今回初めて。というのも翻訳されているのは日本編集ばかりで、短編集といえどもどの作品を収録するかという作者の裁量も含めて作品という思いがあった。しかし、読んでみるとそんなこだわりはどうでもいいことだ。
本書はここ数年の最近作が多いこと、ハードSF的で宇宙を舞台にした作品が多いのが特徴。
「クリスタルの夜」はもちろんナチスの蛮行がタイトルの由来だが、ここでは『順列都市』で描かれた、コンピュータ上で知的生命を進化させるということの倫理面がテーマとなっている。すなわち人間は神となっていいのか、なれるのかということで、はからずも評者は(もしこの世界にも神がいるのなら)神の非倫理性に気づいたというのは、深読み過ぎだろうが。
「エキストラ」は自己のクローン体を使って延命を図る富豪の陥穽。体を新しいクローンに置き換えるとしてもどこまで残せば自己が保たれるかという、アイデンティティの問題がテーマ。
「暗黒整数」、この世界とは異なる数学秩序の世界との交流と危機。「ルミナス」の続編。数学という記述しにくい媒体を用いてある種のパニックもの、戦争ものを描いてしまう離れ業を堪能する。
「グローリー」、冷戦時代の地球のように2大国が対立しているヌーダー人の惑星の,先住種族ニア人が残した数学の発掘に赴く、ソフトウェア知性の連合である融合世界の住人(のクローン)、ジェーンとアンの冒険。なぜ数学的発見を求めるかというと、いずれ訪れる宇宙の収縮、ビッグクランチを乗り越えるためであるという背景がまたでかい。
「ワンの絨毯」は『ディアスポラ』に組み込まれた中編だが、独立した話として読める。ヴェガ星系の惑星オルフェウスの海を埋め尽くす絨毯のような単純な生物に隠された驚くべき「生命」の発見。
「プランク・ダイヴ」も、ソフトウェア知性が宇宙に散らばった時代の物語。プランク長レベルの物理学を解明するために、クローンをとって、ブラックホールに落下して調査するという物語。量子力学の話がさっぱりわからないが、ブラックホールに自由落下するというイメージにはしびれる。
「伝播」では、超光速航法があり得ないという前提下で、知的生命が宇宙に進出する方法はこれしかないというイーガンの考えがストレートに示されている。それはほかの作品でも使われているアイディアだが、準光速宇宙船でナノマシンを目的地に送ってロボットを建造し、ソフトウェア知性を電波で送信して、ロボットの体にダウンロードする。他方、ソフトウェア化した知性は物理学的世界への関心を失う危険があるというアイディアも平行してある。そのうえで「決して何かを達成することがない」探求を称揚するのもまた、他の作品にも共通するイーガンの信念である。
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2016年8月24日読了。グレッグ・イーガンの日本独自編集の短編集4冊目。後書きにもあるがかなり「ハードSF」寄りで、最初の2本はまだ分かりやすいが、後の話はほとんど理解不能…。巻末の解説を最初に読み、「人類が情報化された後の社会の話なのだ」と認識し、「わからない単語はとりあえず飛ばし読むのだ」と覚悟を決めて読まないとこれは厳しい。ただ、分からないなりに文章・ストーリーから何となく「凄さ」「他のSFとは違う感じ」は読み取れる。長編だとこれは持たないが短篇だと何とか読み切れるからありがたい。
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わーーーいヽ(^o^)ノ
ちんぷんかんぷんだーーーーーーヽ(^o^)ノ
SF者には、理系でなくてもなれます。作中に登場する科学理論を100%理解できなくても、SF者になるのに支障はありません。
ただし、SFには独特のリテラシーがあって、描かれている理論や理屈を「理解する」必要はなくとも、その「イメージを捉える」能力が求められます。細かいことはよく判らなくても、原因と結果の因果律を(がばっとした大掴みでいいので)把握して、ストーリー展開上の位置づけを(できればビジュアル的に)脳内展開できれば、SFを楽しく読むことが出来ます。
で、イーガン作品は求められるSFリテラシーのハードルがものすごく高くてですね、鴨にはもぅ本当にちんぷんかんぷんでした(^_^;がばっとした大掴みすら出来なかった・・・(^_^;ここまでわからないと、いっそ清々しい読了感です(笑)。
というわけで、よく判らない作品ばっかりだったんですけど、それでもSFらしいダイナミズムがびしばしと伝わってくるところが、イーガン作品の面白さ。
理論や理屈は本当にまったくわからないんですけど、描かれているのは「遠くはなれた異星文明とどうコミュニケートするか?」「ブラックホールに飛び込んでみたら?」「生体コンピュータみたいな生き物がいたら?」といった、SFとしては非常にストレートで古典的と言っても差し支えのないぐらい、いつの時代でもSF者の心をわくわくさせるセンス・オブ・ワンダーそのものです。
よく判らない結果に終わったのはひとえに鴨のSFリテラシーの拙さ故で、読みこなせる能力のある人にとってはこれほど面白いSFはなかろうと思います。むー、いつか読めるようになるかなー。