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大変楽しかったです
私ですね、この1938年に活躍されたミステリー作家さんを知らないんですけど、
ここに載ってるのも横溝正史はまぁ、知ってるけど、城昌幸氏を名前は聞いた事があるような……?程度なんですが、最近の作家さんより楽しいかもしれんw
特にお気に入りは
渡辺啓助氏の『薔薇悪魔の話』
この方の他の作品を読みたいが、果たして手に入る代物なんだろうか………?
しかし、興味深い
この当時、日中戦争最中だったそうで、うっすらとですが戦争の香がするんですよ
この辺りで次々と探偵雑誌が廃刊されたそうですが、解説を読むと、国が一つになって戦争へ突き進んだ事を伺わせます
所謂戦争文学ではないけど、こういう娯楽雑誌もまた戦争文学と呼べるんだろうな、と………
なんか、すっごい色々考えるが、とりあえず、とても楽しかったです
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大正から昭和前半の探偵小説は定期的に補給したくなる。城昌幸やっぱりいいな。今度がっつりまとめて読もう。あと木々高太郎のも好み。こういうアンソロジーは目当ての作家以外に、新しい発見があるから楽しい。
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(収録作品)猟奇商人(城昌幸)/薔薇悪魔の話(渡辺啓助)/唄わぬ時計(大阪圭吉)/オースチンを襲う(妹尾アキ夫)/懐しい人々(井上良夫)/「悪魔黙示録」について(大下宇陀児)/悪魔黙示録(赤沼三郎)/一週間(横溝正史)/永遠の女囚(木々高太郎)/蝶と処方箋(蘭郁二郎)
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つい先日ある作家の本を古臭いだの文句を付けたばかりなのですが、あえて古いとわかってそれを積極的に楽しまない訳ではないのです。
いわゆる「探偵小説」と呼ばれるこの頃の小説、ちょっと読みにくいなとも思いながらも、本当にいとおしくて仕方ない。今ではもう使われなくなってしまった小難しい漢字だったり持って回った表現だったり、登場人物が今の小学生以上の奥手だったり。そういったもどかしいような感触がすべて、ひとつひとつ虫ピンで押さえて飾っておきたいほどに、愛してやまない。
この作品、戦争の音が徐々に近づいてきて、探偵小説などにうつつを抜かして国が守れるか!のような極端な思想管理が始まる少し前の作品集。そんななかでもちまちまと、懸命に自分の好きな表現を、フィールドを駆け抜けた作家たちの祈るような思いに心を巡らすと、より貴重に思えてくる。
どれをとっても素晴らしいけれど、例えば木々高太郎の「永遠の女囚」などは、北村薫さんがベストミステリにあげられていたと話も聞くように、その時代だからこそ成立した文学、という気がする。
最初の短編、「猟奇商人」なんてもう、題落ちなくらいなんだけど、でもそれでも抑圧されはじめた時代に、あえて逆らってこんな奔放な笑いをぶつけたのかと思うだけで、感無量です。
派手さはないけれど本当に、想いの詰まった丁寧な作品群ばかりの、いい読書でした。
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日中戦争が始まった翌年の「新青年」から厳選したアンソロジー。
作品からはまだ思ったより戦意高揚!というオーラは感じ取れない。
目玉は赤沼三郎の「悪魔黙示録」。タイトルからは想像するようなおどろおどろしさはなく、スピーディーに展開する事件を新聞記者が追ってゆく。春秋社の書き下ろし長編募集第2回に応募したものを、半分に削って「新青年」に掲載したらしいが、そのせいか少々淡白に感じてしまった。
他は短編。木々高太郎はやはり好きだ。(「永遠の女囚」収録)
ミステリー・クロニクル第1弾ということだが、次は何年をもってくるのか楽しみである。
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1938(昭和13)年に、「新青年」に発表された作品を収録したアンソロジー。
Twitterにて渡辺啓助と蘭郁二郎が面白いというツイートを見て、興味を持ち図書館で探したところ、見つけたのがこの本。
タイトルに「これはやばいなぁ」と思いはしたものの、読んでみるとコンセプトがすんなり収まっていて、アンソロジーとしてのバランスもよく、大変楽しめた短編集だった。フィクションだけでなく、評論エッセイも収録されているのがいい。
木々高太郎「永遠の女囚」のみ既読だったので、これだけ読み飛ばした。
どれも当時の雰囲気がそのまま文章から伝わってきて、古き良きミステリーの味わいを感じさせてくれると同時に、戦争に向かっていく時代の空気を感じる。アンソロジーを読む醍醐味である。
どれもなかなかの佳作だと思うのだが、私は特に横溝正史の短編を面白く読んだ。
実は今まで横溝を全く読んだことがなかったため、そのスピーディな展開とくっきりとした人物描写、そしてぐいぐい来る物語のパワーにしびれた。
面白いなぁ! なんとなく、横溝正史というとおどろおどろしいイメージばかりがあって、今まで手を出せずにいたが、これはもっと読まないと、と思った。
今まで手を出せずにいた作家を気軽に読むことができるのも、アンソロジーならではですね。