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シンボルの謎を解く みんなのレビュー
- クレア・ギブソン (著), 乙須 敏紀 (訳)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:ガイアブックス
- 発売日:2011/09/26
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紙の本
―人類の精神文化の産物としてのシンボルが意味するところを解説する―
2011/10/30 20:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:レム - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の社会生活には、文字の他に意味を持った形状や模様が使われている。 それは、共通したメッセージを伝える一種の言語として、それが意味するものの重要性、神聖さを伝えるものである。 それがシンボルだ。
あるシンボルがその文化圏内で共通認識として通用するためのコンセンサスを得るには、相当の時間と力が働いてきたことは容易に想像できる。 それは例えば宗教のように無条件に精神を高める領域であったり(それ故に宗教間での対立は激烈だ)、国運を賭けた戦争での勝利のような覇権的なベクトルが働いた結果であったりするだろう。 ひとつひとつのシンボルは、重く長大な人類の歴史の産物なのだ。
著者は世界をアフリカ、南北アメリカ、アジア、ヨーロッパと大きく5つに分け、それらの地域におけるシンボルの由来や意味について、古代から現代に至るまで、歴史、精神文化、宗教といった観点から詳細に解説する。 そこでは相違点や類似点についても論じられていて、全体としては一種の比較文化論でもある。 本書は主に芸術に見られるシンボルを扱う。 絵画にはマクロ的な観方としてのイコノロジーがあるように、個々の象徴を独解してシンボルを読み解く事はミクロな観点ともいえよう。 当然ながら芸術は内なるものの表出手段のひとつであるので、シンボルを見ることは、その背景である我々人類の精神文化をみていくことになろう。
本書を読み進むと、人類の精神文化の歴史上、どの地域でも神に代表される畏敬の念の対象の存在意義は大きく、その表れとしてのシンボルが多数生み出されてきたことが分かる。 あるいは紋章のように、アイデンティティを示す意味でもシンボルは発展してきた。 この他には象形文字的なもの、例えば、聖人に関するシンボルやヒエログラフ等々があり、そこには漢字も含まれている。 本書はそれらの象徴化された図形について、実に数多くの写真や図版を用いながら解説する。
表紙にはタイトルの下に”How To Read”の文が見えるが、原題と副題は”HOW TO READ SYMBOLS / a crash course in the meaning of symbols in art”である。 その意味する通り、芸術領域に見られるシンボルを読み解く方法についての解説であり、著者は「芸術におけるシンボルの意味についての短期集中コース」を提供する。
ところで、改めてシンボルという言葉を日本語にすると、「象徴、表象、シンボル、記号、しるし、符号」とも訳されるが、英語の名詞をそのまま右から左に邦訳にしたのでは今一つしっくりこない気もする。 言ってみれば、シンボルという言葉の翻訳がこの一冊とも言えよう。
コンパクトなボリュームでありながら、非常に濃い内容が詰め込まれた一冊であり、博物館や美術館を訪れる際のポケットガイドとして非常に役立つであろう。 巻末の用語集もありがたい。
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