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投稿者:ケンタッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
氏の熱烈大ファン。何故か、この短編集だけは見落し。氏の作品の根底に流れる、人の持つ悲しさ、せつなさ。それ故中毒に。当短編集も十分な中毒原因含蓄。
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かなり生々しくリアルな描写があり、多くの作中に悲しみなり寂寞感が漂っているのに、最後は希望を抱けるところが素晴らしい。著者の淡々としながら人間を信じる目線は透徹って言葉がぴったりだ。
ストーリーによって診療科が違うところ、植物の描写が文字通り花を添えているところなども読んでいて飽きない。個人的には戦争を絡めた2つのエピソードが印象深かった。
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生きることのさみしさと、喜びとが、しんみりと沁みてくる。
死と向き合う医者という仕事は、同時に自分の生き方をも見つめ直すことになる。
父の生き方、戦争という歴史、貧困、癌、・・・・・扱っている題材は、どれも生き方を見つめ直させるものばかりだが、
作中に描かれる、花の記憶が、作品に灯りをともしている。
「三たびの海峡」や「閉鎖病棟」など、誠実に生きることと向き合う作品を描いてきた作者の、遺言のような本。
一話、一話を、噛みしめながら読みました。
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いろいろなお医者さんが出てきます。
自分もあのなかで取り上げられるようなお医者さんになれたらいいな。
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ご自身もお医者さんである、箒木蓬生さんの、お医者さんの良心を描いた短篇集です。
病を治すということは、単に医学的な事だけではなくて、人と人との繋がりが基本にあるんだなあ~と、思わせてくれます。
お医者さんは、単に知識があるだけの、施術士になって欲しくない。
この物語に出てくるような、未熟でも人としての心を持つ医者であって欲しい…
と、思わずにはいられないです。
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かざはなびょうとう と読むのですね。
10人の医師が診療に携わる姿勢が、それぞれの立場や周りとのかかわり方から浮かび上がる。
命と向き合うことを職業に選んだ彼らは、人と向き合い学びながら生きている。真摯に人と関わっている。お金のためでも自らのプライドのためでもなく。病を得た人とゆったりと真面目に関わっていく医師を頼もしいと思う。
この本に出合えてよかった。
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どの話もよかった。
しっかりした、中身の詰まった読み物、という感じ。
昔読んだ「閉鎖病棟」ほど暗くなく、安心して読める。
(戦争の話や重い病や、人間の残酷さなどは描かれているけど)
盛り上がりは少ないけど、いい本だなー
特に、「藤籠」「雨に濡れて」「百日紅」に、じーんとした。
さわりは何となく重松清っぽいかなと思ったけど、
嫌な言い方をすれば、もっと説得力があって、媚びの少ない感じ?
重松清も好きだけど。
あとがきもいい。
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いろんな立場・いろんな専門のお医者さんの話、10話。
病院が舞台だったり、全然違うテーマだったり、なんというか、いろいろでした。
この人の本は以前『閉鎖病棟』を読んだはずなのだけど、レビューも書いてなくて(当時つけた☆は3)、いまとなっては思い出せる話はほとんどなく。なんとなく今回の本も数年たったら「どんな本だっけ…」と思い悩んでしまいそうな気がしてます。
文章が綺麗で流し読みしやすい上に、物語自体に大きな山や谷がなく、淡々としてるから、かな。
ただ読んでる最中は切ない気持ちになったり、医者ってすごいなって感心したり、逆に医者も人間だよなあ…なんて思ったり、やっぱりいろいろ思うところはあったので、医者や病院がもっと身近になったときに読むとまた印象は変わるのかもしれません。
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帚木 蓬生
新潮社 (2011/10)
(新潮文庫)
現役の精神科医
以前「三たびの海峡」を読んであまりの過酷さに最後まで読めなかった
これは市井の良医10人のやさしいストーリー
「死」を見つめ生きていく人たちと向き合う医師が描かれている
それぞれのストーリーに投げ込まれたそれぞれの花が印象的だった
≪ 病棟に かざはな舞えば 窓蒼く ≫
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帚木さんというと、医療系長編のイメージが強かったのですがこの「風花病棟」は舞台になるのは同じく病院ですが、珍しく短篇集(全部で10話)になります。
短い中でもしっかりとしたストーリーがあり、また帚木さん自身が医者ということもあって、病院内や病気の症状等についても詳しく描かれていて、短篇もうまい作家さんだなと感じました。
短篇集のため一つ一つ詳しく感想を書くのは避けますが、すべての物語に共通しているのは「花」と「病気、患者に対して真摯に対応する医師」の2つ。
花については、文庫版あとがきに作者本人がこのように書いています。
ゴールデン・ウィークには、時節柄さまざまな花が咲き乱れる。1篇につきひとつの花を添えれば、ややもすると暗い話に傾きがちな内容に、明りが灯せるような気がした。
確かにどの物語も病院を舞台にしているため、どんなに医師の苦悩と葛藤を切々と描いたとしても、結末はどうしても暗い方向に向かざるをえません(最後の「終診」だけは若干ニュアンスが違いますけど)。
しかも、帚木さんの描く内容は現場で体験したことがベースになってい、専門用語も多く登場(正確かどうかは判断できないですけど、嘘はないと思ってよんでます)するため、絵空ごととしてではなく「いつ自分の身に起こってもおかしくない」現実のものとして捉えられてしまうから余計なんですよね。。。
そこに「花」を添えることで少しでも、、、
という気持は作者の優しさでもある気がしました。
もちろん同じ「花」でも、ある人にとっては「故郷の思い出」だったり、ある人にとっては「生き甲斐」だったりと物語によって意味合いは違っているので、そこを中心に読み返すのもいいかなと思います。
自分は生まれてこのかた大病というのを経験したことはありませんが、これから先どうなるかわからない中で、万が一のことがあったら物語に登場するような「医師」に出会えたら幸せだなと読了後に感じました。
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一辺一辺が上質な、とても良い短編集です。人間の生きざまというものは、そのままで小説になるのだなと。
しかし、読み進むのに時間がかかりました。面白くない訳じゃないのにどうしてだろう。
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お医者さんを題材にした10の短編。エンタメとかサスペンスではなく誠実な人間ドラマがきちんと描かれてた…いろんな場所いろんな時代いろんな社会医療問題を背景としたお話なので飽きないし、楽しめるとともに勉強になった。花のエピソードがまたいい。
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この小説を読んで一番思い出されたことは医学部の友人だ。僕が到底目にすることがないことを目の当たりにするのだろう。もうすでに目の当たりにしているのかもしれない、と何度も考えさせられた。医者だけでなくいろいろな職業に通じる良い言葉ももらった。
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10話の短編集。医療に携わっている私には、周りの状況や主人公の思いなどが想像しやすい。だから入り込んで読み、涙ぐんだ作品もある。みんなこんな素敵な医師や看護師だったらなぁと思う。テレビの医療ドラマのような現実離れした所はなく、今の医療に欠けている部分を鋭くなく、柔らかな感じで現されている。
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なんだから,内容そのものを飾るために様々な知識を披露されているような気がして,それが逆に本筋の内容をしょぼくさせているように感じた。全体的にたいして面白くなかった。