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「アガサ・クリスティ」の長篇ミステリー『終りなき夜に生れつく(原題:Endless Night)』を読みました。
終りなき夜に生れつく(原題:Endless Night)
「アガサ・クリスティ」作品は昨年末に読んだ『死人の鏡』以来ですね。
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海をのぞむ美しい眺望で人々を魅了する“ジプシーが丘”。
が、同時に呪われた地として皆から恐れられてもいた。
この地で男女が出会い、恋に落ちた。
だが、まもなく乗馬に出かけた女は馬から落ちて死亡してしまう。
果たして、“ジプシーが丘”の呪いなのか?
斬新な手法を駆使し、「クリスティー」が自らのベストにも選出した自信作。
サスペンスとロマンスに満ちた傑作を最新訳で贈る。
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1967年に発表された作品で「エルキュール・ポアロ」も「ミス・マープル」も登場しないノン・シリーズモノなのですが、、、
先日、NHK BSプレミアムで放映していた映像化作品では「ミス・マープル」シリーズとして演出されていました。
ということで… 先に映像化作品を観て大筋を知っていたので、大きな驚きはなかったのですが、、、
恋愛を絡めたゴシック・ロマンス風な展開を維持しつつ、終盤の30ページくらいで一気に連続殺人事件の真相が暴かれる展開のギャップが、なかなか面白かったですね。
映像化作品を観る前に読んでいたら、もっともっと愉しめたかな、、、
『アクロイド殺害事件』の叙述トリックを踏襲した作品で、本作では『アクロイド殺害事件』の叙述トリックに加え、犯人が精神に異常をきたしてしまった人物という条件が加わっていたところに新規性があったようです。
映像化作品では、精神異常の部分は描かれておらず、非常に冷酷な犯罪者というイメージだったので、ちょっと犯人像は異なる感じですね。
このトリックはフェア/アンフェアの議論があるようですが、個人的には好みの展開です。
気持ち良く騙された感じかな。
以下、主な登場人物です。
「マイケル(マイク)・ロジャーズ」
高級ハイヤー会社の元運転手
「ルドルフ・サントニックス」
建築家
「フェニラ(エリー)・グートマン」
大富豪の娘。アメリカ人
「グレタ・アンダーゼン」
エリーの世話係。ドイツ&スウェーデン混血
「フランク・バートン」
エリーの叔父
「コーラ・ヴァン・スタイヴェサント」
エリーの継母
「アンドルー・リッピンコット」
エリーの信託管理者。弁護士
「ルーベン・パルドー」
エリー・グートマンの従兄弟
「スタンフォード・ロイド」
エリーの財産管理人。銀行家
「クローディア・ハードカッスル」
エリーの乗馬友達
「エスター・リー」
ジプシーの占い師
「フィルポット」
キングストン・ビショップ村長。治安官
「ショー」
キングストン・ビショップの医者
「キーン」
キングストン・ビショップの巡査部長
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新婚夫婦の嫁さんは友達とベタベタ。いくら同性とはいえ嫉妬する旦那。
嫁さんは全部知っていたというのは鳥肌がたった。いつか舞台で見てみたい。
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ポワロが出てくると思って読んでたら出なかった作品。バーナード嬢曰く。で紹介されてた本。
テンポよく進むストーリーと会話。やっぱり死人が出た。犯人は予想出来たが、細かい部分の推理は無理。
スイスイ読めて面白いのでオススメ。
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主人公の男は何やら後悔することがあるらしく、やけに思わせぶりで要領を得ない口調で思い出を語り始める。
アクロイド殺しをすでに読んでいるせいか、カラクリが分かったところでも特に驚きもなく。むしろあのもやもやとした文章をずっと読まされてきたことにイライラしてしまった。
終盤、グレタのもとへ向かう主人公が死んだはずのエリーを見かけるシーンがあるが、よく分からなかった。悔恨による妄想?うーん、ピンとこなかったな。
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仕事を転々として日々を暮らす主人公、マイク。美しい家に住み、最愛の妻とそこで暮らすことを夢に描く。あるとき、イギリスの「ジプシーが丘」と呼ばれる、ジプシーにまつわる呪いのある土地で、ひとりの女性と出会う。その土地と女性に惹かれ、やがては結婚に至り、ジプシーが丘で家を建て暮し始める…。とはいえもちろんそれで物語は終わらない。最後、本当になぜこんな選択をしたのか、強烈な印象を残す。とはいえ、人生って選択の連続で後悔も多いから…。
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これは迂闊に感想を書けない。
アガサ・クリスティーの「ノンシリーズ」。有名なのは『そして誰もいなくなった』だが、コレもなかなかのモノでした。
読み出しは文芸物かと思っていたけど、やっぱりミステリー、しかもとびきりの……。
素直に「良かった」です。
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どうにも主人公が好きになれず、2/3くらいまで読むのに時間がかかってしまった。。結末に向けての急転直下がみごと。クリスティの職人芸。読み終わったらすぐもう一度パラパラやってしまう。
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クリスティの長編小説。クリスティが自身のオールタイムベストに選ぶ程完成度の高い作品。
クリスティの魅力が詰まった作品で、ロマンス、サスペンス、ミステリーと様々な要素を取り入れている。僕自身好きな作品で、学生時代は衝撃的な結末に目が覚めるまで時間がかかってしまったが、大人になってから読むとまた違った味わいがある。
作品はロマンス的スタートになるが、どことなく不穏な空気が世界を包んでおり、決してジプシーヶ丘の呪いのせいだけではない。若い、金はなく仕事にも定着しない、しかし魅力的で何事も卒なくできてしまう男性マイクと大陸屈指の金持ちの女性エリーが運命的な出会いをし、素敵な土地に素晴らしい家を建てるという夢をかなえ、新婚生活がスタートする。しかし、全てはマイクの理想通りには進まず、エリーの関係者達とのやりとり、村人達とのコミュニケーション、彼女の友人グレタと思い描いたものとは違った生活が進んでいく。
物語中盤まではマイクに感情移入しながらも彼ら夫婦の住む世界の寂しさ、いやらしさの様なものを感じながらページを捲るわけだが。やがて乗馬中の不幸な事故によりエリーが亡くなり合わせて連続しながら関わった人達が亡くなり。不幸の底で悲しみに耽るマイク。彼はとてつもない財産を引き継ぎ、大金持ちになる。アメリカでゴタゴタを処理し、ようやくジプシーが丘に建てた家に帰り着くのだが。
以降、ネタバレになるが、
ここまで人の欲や狂気を描いた作品はあまりみた事がない。人間が壊れていく様を犯人を主人公に当てる事により衝撃的に描いている。語り手が犯人という手法は「アクロイド殺人事件」にて使用しているが、当時は余りの衝撃にフェアかアンフェアかの大論争が巻き起こったと聴いている。そして、その前例を持った上で、改めて今作で語り手を犯人に据え、更にはその犯人に精神的な崩壊と狂気の組み立てを載せて進化している様に思う。ミステリーというよりもサスペンスに寄っており、最後数ページは息も詰まる独白になる。
作中、エリーは誰からも愛されていない描写があるが、実は全ての登場人物達は(マイクとグレタを除いて)本当に彼女を愛し心配している様に思え、彼女が信じた二人こそ、彼女の破綻のきっかけになるという皮肉だ。
クリスティは読みやすいミステリーも多いが、狂気じみた恐ろしい作品こそ、女史の作品の奥深さを味わえるものだと思っている。作中に事後の話はないがクリスティの作品には珍しく全ての人達が悲しみに暮れるであろう予測ができてしまう。
今作はとてもスリリングで僕の中で(クリスティ作品で)TOP10に入る作品だ。もう一つくらい星を付けたい飛び抜けた作品だ。現代のサイコパスの様にただ殺人をして恐怖を与えるだけの作品とはかけ離れている大傑作だと思っている。
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ちょっとサスペンスドラマのような風味が。
「春にして君を離れ」と同じように、作品の骨になる詩が良くて、暗唱したくなった。
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終わりなき夜に生まれついてしまった青年の手記
ミステリーになるのかどうかと思っていたらきっちり、かっちり、ミステリーだった
かわいそうなエリー
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マイクとエリー、突然出会ってトントン拍子に話はすすむ。お互い何が惹かれ合ったのかも読者にはわからないまま。でも、だんだんと、二人は周りがなんと言おうと幸せそうだ、というのが分かる。
富豪であるエリーを取り囲む人は誰もが怪しく信用できないように感じるが、こんな結末とは。終わりなき夜、というタイトルにふさわしい虚無感、切なさを感じるミステリだった。
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終わりなき夜とは何か?と考えながら読んでいたが、決して満たされない欲の渇きのことを言ってんだなあと終盤に分かった。主人公とエリーは正反対だからこそ、うまく行く道だってあったはずなのになあと思う。成功してしまった「ナイルに死す」みたいな話だった。主人公のことはどうにも嫌いになれない。
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途中までは、ラブロマンスと遺産系を争う感じかと思いきや、
途中からはゴリゴリのミステリーと人間の欲を描き切る描写。
切り替えが唐突だったので、ん?となったが、後半からの展開は怒涛であっという間に読み切れました。
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前半がひたすら長く、怪しい人満載。しかし結末は。クリスティの他の作品に似てるな、と思った矢先、こんな展開とは。どうしようもない性質を生まれ持った悲しさ、そうしてストーリーがまた始まる。終わりなき夜、という題が沁みます。
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「名作」と名高いが、こういう話だとは思わなかった。ノンシリーズなのでいつもの探偵は出てこないし、事件も全然起きない。でも時折「ん?」と引っかかる違和感が散りばめられている。そして本当の恐ろしさは読後にやってくる。「あの台詞の意味って!」「あそこでもうわかってたのか⁉︎」と読み返さずにいられない。