紙の本
現代の生物学にはたくさんのおもしろいことがある
2011/12/24 11:50
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターに所属する世代の違う三人の研究者による鼎談である。同じ部署で発生に関する研究を行っていても専門分野はそれぞれ異なるそうである。「生命とは何か」「情報と時間」などといった大きなテーマについて、「細胞の時間」「発生の時間」「形の時間」「進化の時間」「脳の時間」といった生物学の多種多様な分野について、縦横無尽に話しあっている。
次から次へと話題になってくる事項の間に、なにやらネットワークのようなつながりが見えてくる。素人目にもそれらの関連性がなんとなく感じられる。世代と研究分野の異なることによる相乗効果か、現代の生物学にはたくさんのおもしろいことがあるのだということが、細かいことや具体的なことは分からなくとも、理解できる。
若い人が本書を読めば、生物学者たちが何を知りたいと思っているのか、なぜそれを知りたいのか、も理解でき、自分も生物についてこのようなことを知りたい、それを自分の力で知ってみたい、と思うようになるのではないだろうか。
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理研CDB(理化学研究所発生・再生科学うんちゃらなんちゃらセンター)の研究者である三人の対談形式で綴られる、生命と時間についての話。
私が特に印象深かったのは、次の二つ。
まず驚いたのが三人の会話の知的レベルの高さ。
生物学史的な話から、専門外に近い言語学の話、さらには絵画の話、サッカーの話まで。それらを通して、生物と時間についてのトークが展開され、その裏にある核心へ迫っていく。
……ありえない、ありえない。
きっとこれを最先端というのかもしれない。
そう思った。
そしてもう一点忘れてはならないのは、生物と時間について、色々な生物の次元で語られていること。
今では時計遺伝子と呼ばれているように、生き物の時間は分子レベルで解明されつつあるが、生物と時間の関わりはそれだけではないことを、この本は教えてくれる。
発生における胚の時間。
個体の時間。
生態学的な時間。
今まで、意識してこういう目で見ていなかったことが、とても恥ずかしくあり、勉強になった。
個人的には、この本は多少の生物学の知識がないとキツイように思う。
もしあなたが生物学に献身するつもりであれば、是非一読することを強くお勧めしたい。
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数回読み終わってるんだけどw 自分で理解できてないだろうな、と思うから☆みっつ。注釈もあるし、テーマ毎の前書きがあるので、イメージは浮かべやすいのだけど、賢い人々の対談なだけあって、ちょっとやそっとじゃ理解できないのです。わたしには。生物って生きてるってどういうことだろなーって、今までと違った目線で物をみられるようになるわくわく感はあると思います。あと数回読んだら、人が読みたくなるようなレビューが書けるかしら(^_^;)
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鼎談(三人での会話)って好きなんですよね。それで、最先端のこととかをいろいろとしゃべってるんだけどよくわからない。でもそのよくわからない話を聞くのが心地よい。ファミレスで聞き耳を立てる感じ。生物学に構造主義を入れてそれで偉くなった人がいるとか、そういった情報が好きな人にはおすすめ。私は大好きだからこの手の本はいくらでもよみます。新書の醍醐味。(チーズ味)生命の意味を専門家が語る。これは、鼎談じゃないと怖くてできないよね。なんか、中身もう忘れちゃったけど、刺激は受けた。ゾウムシって宇宙で冬眠する無敵の生物みたいなのがいるんだけど、つまりそれは、ある構造がコールドブートしていきなり生物になる。その、ブートしていないとき、それは生きているのか死んでいるのか?まあ時間は止まってるんじゃあないか?みたいな話。
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吉村先生が出てきてびっくり。
ゲノム解読は新たな言語の獲得にすぎないのかな。分子レベルでの解析も有意義なこととは思うけど、もっと大局観をもって大きく捉えた方が、概念というか枠組みを捕まえるには近道のような。
でもその視点に立つと、科学でなく哲学に帰結する。
そもそも今や科学と哲学を区分して論じる段階にあるのかないのか。
はてさてふむー。