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顧客ニーズを超えた顧客が本当に喜ぶ価値とは・・・
2019/06/22 13:21
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
■日本企業の価値づくり
価値づくりは、優れたものづくりへの対価として利益を得るプロセス
ものづくりにより独自性・差別化で真の顧客価値を創出していかなければならない
■生産財の価値づくり
価格とコストの差異を最大化するモノづくりが価値づくりのポイント
生産財では、ソリューション・サービスを付加することで商品価値を超えた顧客価値を提供し、全体として統合的に価値づくりする必要がある
■独自性と顧客価値
・企業独自の技術的優位性に顧客価値を新たに付与する
・顧客価値を維持しつつ、持続的な差別化を実現する
日本企業が価値づくりができないのは、真に顧客が求める商品やソリューションを提供できていないからである
顧客企業の商品、事業、開発・製造プロセス、エンドユーザーについて熟知しなければ顧客価値創出はできない
■意味的価値の論理
商品価値には機能の高さによって客観的に決まる部分(機能的価値)だけでなく、顧客の解釈と意味付けによって創られる価値(意味的価値)が少なくない
意味的価値の特徴
・暗黙性が高く、形式知化しにくい価値
・価値の中身が非分割的(不可分)
・主観的価値であり、潜在的である
技術的な機能がもたらす価値と比較し、意味的価値は顧客の気持ちの深層部分に訴えかける
うまく創りだせば、極めて普遍的な価値になり、多くの顧客を引き付けることができる
■消費財の意味的価値
・暗黙的な感性や好みに訴えるため、分析的アプローチで創り出すことは難しい
・流行やマスメディアに影響され、不安定で不確実性が高い
意味的価値の2つの枠組みは「自己表現価値」「こだわり価値」
潜在ニーズを探り出すというより、顧客が喜ぶ価値を新たに創出し提案することが求められる→iPhone
機能的価値と意味的価値の相乗効果を生み出すことが持続的成功の鍵を握る
■生産財の意味的価値
顧客企業にとって経済的価値をもたらす必要がある
顧客企業がより大きな価値づくり(利益・付加価値)ができるような商品を提供しなくてはいけない
顧客企業も気づいていないようなソリューションを提供することが、生産財供給企業の存在価値である
顧客の業務を顧客と同等か、それ以上に知ることが必要となる
また、顧客企業に提案・コンサルティングできる人材を育てなくてはならない
■組織能力の構築
安定的に付加価値を創出し続けるためには、競合企業に対する優位性を維持しなくてはならない
その骨太の底力が組織能力である
組織能力は組織学習の成果
技術力を戦略的に蓄積し、模倣されない競争力に結び付けるためには、組織能力の効果的なマネジメントが必要
革新技術
これまでにない新しい技術
積み重ね技術
長年積み重ねられたノウハウ・経験知のような組織能力の高さに支えられた技術
■積み重ね技術のマネジメント
積み重ね技術を構築し、持続的な独自性を実現するための戦略がコア技術戦略である
コア技術戦略成功には、勝ちながら育てることがポイント
・短期的には、その商品を成功させる
・長期的には、その商品開発を通して、組織能力を効果的に蓄積する
■価値づくり
ものづくりを徹底的に鍛えつつ価値づくりに結び付ける
日本企業は機能的価値のみをベースに横並び競争をしている
価値づくりには長期にわたり持続できる独自性・差別化が必須
企業として存在意義を発揮すべき分野を戦略的に選び、愚直に鍛えあげる経営が求められる
自社にしか創出できない新たな顧客価値を提供することが、社会貢献である
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日本でものづくりに関わる人(特に昔からある企業)には全員に読んでもらいたい。消費財と生産財に分けて説明をしているので、どの人にも当てはまるはず。
技術の価値を、機能的価値と意味的価値ということで分けて表現することで、どのようにものづくりをしていくべきかを具体例を用いて説明していてわかりやすい。単に、「顧客に感動を(共感を)与えれば」とかありきたりな書き方でなく、一つづつ細かく論理的に説明しているので納得ができる。
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ものづくりは得意でも高い業績に結びつけることができない状況を打破するための”価値作り“提言。「差別化されていない商品は社会によっては重複投資となる」の表現にドキリとさせられる。顧客にとって真に価値の高い商品、わくわくするような価値提案をすることで、顧客の共感を得よ。そのためには、コンセプトリーダーの存在と、持続性の保障されていない技術革新にのみ頼ることなく、積み重ね技術を蓄積することが重要。
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これからの日本企業にとって積み重ね技術による意味的価値を比重をおいた価値づくりが重要であることがよく理解できた。ただ、意味的価値の掘り出し方や評価方法、ターゲット規模程度など課題は多い。
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闇雲にコストダウンに突っ走っているであったり、自らが競合とのスペック競争に挑んでいるであったり、コストと品質のバランスからどこまで品質を下げられるかであったり、安価なものは外部に求めるであったり。。。 日々 価値づくりから遠ざかることにエネルギーを消費していることが不安になり、情けなくもある。
一昔前から、魅力的品質を高めねばならないとよくいわれたものであるが、一体魅力的品質を上げるにはどうすればよいか?のヒントがこの書籍にはある。ここでは 意味的価値 と表現されているが、あらためて顧客が何を望んでいるか、期待しているか というよりも、別次元で機能的価値のレベルでの過度な意味のない競争を続けているなと反省した次第。
価値づくり。。。いい言葉である。
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意味的価値の創造は、積み重ね技術・組織能力での成長戦略を描くことが大事ってことか。さて、自分に置き換えると。。。具体化は、大変だなぁ。
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高機能化を追い求めるのではなく、独創性のあるものづくり、ブランド形成により継続的な差別化を実現すべし、という内容。
価値作り、と言葉を変えているだけで、内容はありきたり。
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「価値づくり」「コトづくり」などのテーマで書かれた本の中では、比較的学術的な考察がきちんと行われている。もしこのテーマで一冊だけ読むのであれば、この本を読むのが一番無難だと思う。
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○生産財においては、顧客の効率や利益が高まらなくては、顧客から十分な対価を支払ってもらうことはできない。つまり、顧客の事業やオペレーションに対して、ソリューションを提供しなくてはならない。(118p)
○真に優れた企業は、顧客の現場に入り込み、顧客と同等かそれ以上に顧客の業務を知り、顧客が抱えている問題点を深く理解している。(182P)
○自動車の内装材(天井やドアトリムなど)をボディに取り付ける方法として、樹脂面ファスナーを新たに提案して大きな成功をおさめた。(中略)住友スリーエムの技術者は、自動車の内装にかかわる問題点についても詳しいうえに、自社の技術についても知り尽くしているので、このような顧客企業も気づいていない解決策の提案ができるのである。(184p)
★論理展開が明解で分かりやすい。ある意味分かり切ったことのように感じる部分もあるが、頭が整理される感がある。
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日本の製造企業の競争力が弱くなった。
「失われた20年」という言葉とともに、このような評価が、近年では定着してきた感があります。
この本は、日本の製造企業が弱くなった理由を、「ものづくりの力を高めることには注力してきたが、”価値づくり”に注意を払っていなかったから」だと、主張しています。
そして商品の価値は、技術(機能) 的価値プラス、意味的価値だとして、意味的価値を高めることの大切さを説いています。
さらには商品を消費財と生産財に分けて、それぞれで意味的価値を高める方法を、企業の成功事例を交えて、紹介しています。
特に生産財についての部分を興味深く読んだのですが、「顧客以上に顧客のことを知る」ことの大切さを強調している点が、印象に残りました。
そして自らの強みとなる技術は何かを定義し、その技術を地道に磨いていくことの大切さも、再認識しました。
意味的価値の特性の一つが「暗黙性」ということもあって、感覚的な表現が多いのですが、企業の価値を高めるとはどういうことなのか、気づく部分の多い一冊でした。
『新しい「物流」の教科書』湯浅和夫
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4569818730
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機能的な価値だけではすぐに模倣されてしまう
意味的な価値が必要だ
擦り合わせ技術が日本企業には適している。なぜなら、長期的な技術者個人の修練、技術力の高さが、必要だから。
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やや冗長。
意味的価値のあたりは私程度のビジネス知識の者でも聞いたことがあるような、ある意味ふつうの内容だと思います。
積み重ね技術を鍵として日本の製造業ならではの未来を描くにはどうしていけばいいか、という点が、もう少し詳しく書かれていたらよかったです。
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顧客の業務を顧客以上に知らないと付加価値の高い提案はできない。
顧客がなにしたいか把握していると楽だけど、付加価値が高いものは提供できんというか、ボッタクリとしか思われない。
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Vol.130 さらば儲からないものづくり!日本の製造業の生きる道とは?http://www.shirayu.com/letter/2011/000258.html
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【きっかけ】
研修の書評宿題で、他のひしが読んでいた内容をよんで、トライ。
事業化推進会議で、塚田常務が推薦したという。
◆近年すぐれたものづくりが、必ず価値づくりに結びついていない。
【一章のまとめ】
優れた技術を使って高品質・低コストの商品を開発・製造する「ものづくり」を頑張っても、
利益・付加価値といった経済的な価値の創出、つまり「価値づくり」に結びつかなくなった。
逆に、外部資源をうまく活用して、企業内部でものづくりをしなくても価値づくりができる
企業も増えた。ものづくりと価値づくりの間に乖離が生じたのだ。その中でも、日本企業は、
ものづくりにこだわった価値づくりを目指すべきだ。そのためには、ものづくりによって
独自性・差別化を実現し、さらには真に高い顧客価値を創出しなくてはならない。日本企業
は、それらをうまく実現できていないために、価値づくりができていないのである。
【二章のまとめ】
価値づくりとは付加価値の創出である。企業が創りだした付加価値によって社会は潤う。
付加価値は、企業の利益だけでなく、雇用賃金や基礎研究にも分配される。利益からは
法人税が、雇用賃金からは所得税が支払われ、社会の福祉、教育、インフラを支える。
さらには、基礎研究によって、将来にむけた基礎基盤が構築される。日本の製造企業は
1990年代中盤から価値づくりができなくなった。特に優秀な技術者を集めた電機産業の
価値づくりが、過去20年以上にわたり低迷している。これが財政悪化や基礎研究の弱体化
の一因にもなっている。一方で、自動車は比較的大きな価値づくりをしてこられた。電機
企業と自動車企業の価値づくり能力の差が、価値づくりを実現するための示唆を与えてくれる。
【三章のまとめ】
いくら優れた商品を開発しても、独自性・差別化が実現できなければ、価値づくりはできない。
しかし、近年、世界中の技術レベルが高まり、中国企業でも十分に商品力の高い薄型テレビ
や太陽電池を開発・製造することができるので、差別化はとても難しい。しかも、何とか新
技術を駆使して差別化できたとしても、顧客にとっては普通の商品で十分なので、独自性に
大きな対価を支払ってくれなくなった。このように差別化とそれに見合った顧客価値の両方
を実現することは難しくなったが、それを実現しなくては価値づくりはできない。このような
状況で、実際に成功しているのは、単純な技術や機能を超えた顧客価値をできている企業だ。
【四章のまとめ】
客観的な評価基準による機能やスペックを超えて、顧客が主観的に意味づける価値が意味的
価値である。消費財では、顧客の好みや感性によって意味づけられる。生産財では主に、顧客
が置かれた状況・文脈に適合し固有の問題が解決されることによって、意味的価値が創出される
価値だ。顧客も気づいていない潜在的な価値であり暗黙知の特徴を持つ場合が多い。意味的価値
を創りだすためには、擦り合せ���の技術が適している。また、日本企業の得意な擦り合せ技術
を残すためには、意味的価値の創出が必要になる。(4)
【五章のまとめ】
消費財の意味的価値は、自己表現価値とこだわり価値の二つに分けて考えることができる。
たとえば、自動車はそれからの両方が高いので比較的大きな価値づくりができてきた。
このような単なる機能を超えた意味的価値を創出するためには、顧客の要望や顕在ニーズを
超えた商品開発をしなくてはいけない。しかし、通常、日本企業では、技術スペックを主体
にした商品開発プロセスになっているので、意味的価値の創出には適していない。優れた商品
コンセプトリーダーを育成・選抜し、そのリーダーへ権限を委譲することが求められる。
また、長期的な意味的価値の発展には、アップルが実施してきたように、機能的価値と意味
的価値の間に相乗効果をもたせながら相互発展させる戦略が適している。
【六章のまとめ】
生産財の意味的価値は、顧客企業の現場に入り込み、顧客企業の価値づくり(利益・付加価値
増加)を助けるための問題解決(ソリューション)を提供することによって創られる。その
ような意味的価値を提供するためには、顧客企業以上に顧客企業の業務のやり方を熟知し
顧客の立場になりきらなくてはならない。その上で、顧客企業に対してコンサルティングが
できるだけの能力が求められる。これを実現するためにはまず、顧客企業に対してこのような
提案・コンサルティングができる人材を育てなくてはいけない。
そのためにも、顧客と深い擦り合せを実施する場が必要である。キーエンスを含めて、生産財
の意味的価値において成功している企業は、そのような仕組みを持っている。
価値づくりをするためには、技術的な強みによって、独自性を持続させることが必要である。
そのために最も重要なのは、長期間にわたり鍛えられた技術者の開発・設計能力を含む
問題解決能力である。特定の技術分野において、そのような問題解決能力を組織として蓄積
したものが積み重ね技術である。長年にわたり鍛えた積み重ね技術は、競合企業から簡単に
模倣されることはない。革新技術や特許以上に、積み重ね技術が高い競争力と業績を長期間
にわたり持続させることに貢献する。また、近年必要とされている意味的価値を創出するため
にも、積み重ね技術が必要とされる。日本企業は、積み重ね技術によって高度な擦り合せ型
商品を開発し、意味的価値を創出することによって、国際競争力を高めるべきである。
積み重ね技術を戦略的に活用するのがコア技術戦略である。シャープの液晶技術や、キャノン
の光学技術などがコア技術である。それらの技術は、長年にわたり、多くの商品に活用され
ることによって鍛えられ、模倣されない積み重ね技術になってきた。コア技術戦略を成功
させるためには、戦略的に選択したコア技術をブレることなく長期的に鍛え続ける場の設定
が必要である。そのためには、「勝ちながら育てる」戦略が適している。商品開発の際には、
その商品を市場で成功させ���ことと、長期的にそこで使う技術をコア技術として鍛えていくこと
の二つを同時に達成しなければならない。
271/本書の論点の根幹は、ものづくりを徹底的に鍛えつつ、価値づくりに結びつけることである。
機能的価値を追求しても、価値づくりはできない。意味的価値への広がりが必要。
273/戦略的かつ愚直にに鍛え続ける。
特定分野における企業・組織としての強みを長期間にわたりブレることなく鍛え続けるのが必要。
簡単に真似されない組織における真の底力(組織能力:コア・コンピタンス コア技術)は
長年きたえつづけなければ鳴らない。
274/顧客は意味的価値の提案を待っている。