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エッシャーの絵のようというか。
混沌としすぎて、階層を求めるとえらいことになる。
鳥肌が立つくらいで良かったのに。
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五十を迎えた大学教授の「曇天」先生は、助手のアノウエ君からもらった眼薬をさすと絵の世界に入り込んでしまうようになる。
名画の中で出会う奇妙な人たち。そして出来事。
「曇天」先生が体験する摩訶不思議な冒険譚。
変人教授に翻弄される助手のアノウエ君(もちろん本名は井上です)が哀れで可愛らしいな。
あとなぜかマグロ丼と餡パンが食べたくなるな。
先生が作るうで卵も美味しそうです。
ゆで卵じゃないトコがポイントなんですよね、先生。
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すごく不思議な物語。
これから絵を見る時は必ずこの物語を思い出すようになると思う。
もしかしたら絵に感動する度に読み返したくなるかも。
自称鳥肌が立つ男「曇天先生」と曇天先生の助手「アノウエ君」と絵の中の人(だったり神だったり)たちが出会ったり、別れたり、浸透したりする奇妙な物語。
ドキドキもワクワクもハラハラもしないけど、曇天先生に同調して一緒に「なるほど」なんて分かった気になってしまう。
有り得ないことが起こってるのに、曇天先生とアノウエ君の推理(?)には妙に説得力があるから不思議。
同じものを見ているような気にさせられてしまった。
曇天先生とアノウエ君のちょっと間の抜けたやりとりはとても愛おしい。
吉田篤弘さんの語る物語は細部までご馳走のようだとしみじみ感じる。
最初は分からなかったけど、『モナ・リザの背中』というタイトルはこの物語にぴったり。
すごい。
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これまでの篤弘さんとはちょっと変わった、幅広い読者へ向けての発信、とでもいうようなユーモアを交えての作風。これはこれで楽しく読めました。SFでもないファンタジーでも哲学でもない、やはりクラフトエヴィング風というのでしょうね。
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ある日、訪れた美術館で、展示中の「受胎告知」の世界に迷い込んでしまい…。絵の中に迷い込んだ男の冒険奇譚。
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曇天先生は五十歳を迎えてからどうもヘンである。上野の美術館で絵を鑑賞していたはずなのに、うっかり絵の中に入り込んでしまったり、大学の研究室の助手アノウエくん(先生の命名であり、実はイノウエくん)と人形焼を食べていたはずがいつのまにか異世界をさまよい歩いていたりするのである。絵の中の世界では振り向くことができず、ひたすら前を前を目指して歩くのである。そして行きついたところはまた別の絵の奥とつながっていたりする。時間も空間も飛び越えた旅と言えなくもないが、それにしても思考はぐるぐると渦を巻くように先へ進まない。しまいには、いつもと同じ日常を望んでいるのか、未体験の世界を冒険したいのか、自分でもわけが判らなくなってくるのである。要するに、五十歳になって、これまで生きてきた道のりと、これから最期へと向かう道のりについての思考の渦に読者が巻き込まれているだけのような気もしないではないが、誰にも先生を助け出すことはできないのである。軽妙だが深くもある一冊。
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世界観はおもしろいんだけど、なんでだろう、「曇天」先生と「アノウエ」君に、いまひとつ乗り切れなかった感じです。
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今回の吉田さんのこの作品は、日常に一石を投じるイマジネーションによる二次元世界体験と言えるかもしれない。
日比谷地下街の散策を愛好するという語り手は、美術を論じる大学の先生。甘党の助手イノウエ君ことアノウエ君を巻き込みながら、いつしか絵の中の非日常的な世界へと引き込まれていく。
職業的な関心がなせる業なのかもしれないし、あるいは50歳一人暮らしという先生の生活面が原因なのかもしれないのだが、、、そこはあらゆる絵画が奥の奥でつながる不思議な世界。時間も止まり、空間もゆがむ二次元世界だった。
特筆すべきは、絵の裏側世界の解釈とその表現。まず一番最初に迷い込んだのは、ダ・ヴィンチの「受胎告知」。背景の奥に描かれた場所を目指すうちに、先生はいつしかフィレンツェの街角へと紛れ込む。そこで出会った男の謎は、その後に迷い込む作品の中でも深まるばかり。
先生と助手の軽妙な掛け合いの中、語られる著者らしい二次元世界の絵画論がユニーク。
知的なミステリとも言える内容だ。
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じゃぶらじゃぶら。
言葉遊び。
絵の奥に分け入って、見て、見られて、連想ゲームのように次々に色んなものが立ち現われて、境界が曖昧になっていく。
文字で、誰かの言葉で思い浮かべた絵も、この本のように繋がっているのだろうか。
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吉田さんの作品はおもしろいのですが、途中で難解さにはまり、あとは惰性で読んでしまうという感じ。自分の実力不足を痛感します。
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難しかった!
初期の吉田作品が大好きで、最近の哲学めいた作品はうまく消化できないでいるのが悔しい。
風神雷神の喋り方とか、マグロ丼とか、アノウエ君とのやりとりとか、細かな描写は好きな部分もあるのだけど。
時間をかけて、繰り返し読み返して自分のものにしていくような小説なのかな、と。
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ちょっと消化不良気味かな。
読み終わるのにかなりかかった。
先生と一緒に迷い込んだよう。
出口はどこじゃー。
風神のとこがおもしろかった。
なんなのだろう、あの口調。
風、魂、屁、詰まる ツマラナイ、流れろっ
相変わらず言葉でもとからあったものを今までと違う見方で
見せてくれるところが吉田さんは好きだ。
あー、でも今回のはちょっと難しい、とゆーか、うーん
いやもうちょっと気楽に読んでもよかったのか・・・・。
とりあえず、後日またもう一回読んだ方がいいかな。うん。
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歩いてるとき、電車にゆられてるとき、たまに飛ぶ、ここでない世界。
その世界にどっぷり浸かる五十男性(職業教師)と巻き込まれるアノウエ君(助手)。
切り取り方を変えたエッセイではなかろうか!言葉の扱いと先生の(屁)理屈が、いい。
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名画の中に入っちゃって、しかも見えてない部分まで歩いてきちゃう、ありそうでなかった本。実際に中の人と会話したり、現実と絵画の世界があやふやだったり、先生の意識はユーモラスでとても面白い。
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曇天先生、絵の奥へ迷い込む。
煙に巻かれるように、文章が入れ替わり、場面も入れ替わり、
なにがなんやら、不可思議。
枇杷色の装丁が素敵な一冊。
読みながら何度も夢に落ち、夢見ながら頁をめくっていたので、
尚更まとまりのない印象になってしまいました。すみません。
「受胎告知」や「クリスチーナの世界」でも、フージンのときみたいに、
吉田さんの自由解釈で遊んで欲しかったなぁ。
大切なものを語ろうとして、
間違わないように慎重に無難になってしまった感じがしました。
p131.「~ヒトはヒトとヒトの間をつなごうとしたんじゃないですか?時と時の間をつなぎ、空と空の間をつないで時間と空間を発明したように」
アノウエ君、なかなか良いこと言いますな。
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絵の中に迷い込んでしまう「先生」の冒険譚。現実と絵の世界を行き来する先生と、その弟子「アノウエ君」との問答が素敵すぎる。
名画の中を彷徨っているかと思えば、気付けば現実世界でマグロの解体ショー。そんなスラップスティックな展開を、ユルいけれど哲学的な会話がグッと抑える。読後感も好し。