紙の本
見えなくなる自分の心
2015/08/25 10:53
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
特にまとまった予定のない夏休みをゴロゴロと過ごしていた成田真一郎のもとを、幼なじみにして生徒会長の竹原岬が訪ねてきて、強引に予定を入れていく。向かった先は、山奥にあるモノクロの洋館。同行するのは夏休みでずっと会っていなかった佐々原三月だ。そしてたどり着いた先には、サトウ(仮)のいつもの中学生と、和装メイドの格好をする仙波明希がいた!
その洋館、万鏡館の当主である寄絃芳花は、サトウ(仮)の友人らしく、そのツテで明希が、そして岬が声をかけられたらしい。そんな友人の暮らす洋館なのだが、そこは名前に反して、ひとつも鏡が据え置かれていなかった。
鏡の持ち込みも禁止され、書庫の整理のお手伝いをすることになるなるたまたち。やがて芳花から、ちょっとしたクイズが出されることになる。それは、寄絃家に隠された秘密にまつわる物語だった。
ミステリーといえば閉鎖系の洋館というわけでかどうかは知らないが、迷わない子ひつじの会のメンバーは、生徒会室から郊外へと出張する。当然、安楽椅子探偵役の仙波明希も、ちょっとだけ行動派の探偵にクラスチェンジして活躍することになる。
今回は、他人の主観から見た自分がテーマ。鏡のない生活で、自らの主観による自分が失われた時に、確かに残る自分は何なのか、というようなお話だ。そんなちょっとした特殊な環境に放り込まれて、いつもの自分とは少し違ってしまう女性陣の戸惑いが肝となる。
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読み始めてビックリ!いつもの子ひつじは迷わないじゃない!
毎回相談者の相談から始まるのが今回は一切無く、1章で一つの相談を解決していく連作短編だったのが、今回は長編で章ごとに登場人物の視点が変わっていく。
今回は「謎」も一味違ったものに。あとがきの通り怪奇小説的な要素が入っていて、鏡のない館・万鏡館の謎に仙波が挑む。
今回も会長が素晴らしい。館になるたま達を館にぶち込んだり、なるたまを誘惑したり次回もまた思いつきで振り回してくれそうだし、そこにシビれるあこがれるゥ!ってやつだな。
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いつもとちょっと違うスタイルでのミステリアスな長編。謎解きの舞台も役者も良くできてて読み応えのある一品でした。匿名妹メイドの存在感や、なんかちょっと胸のボリュームがアップした感じの悩める佐々原さんとか、普段の学校編では見られない一面が多くみられたのは面白かった。
ただちょっと、サキ姉の感情を揺さぶった割には放置気味だったのが不満かなぁ。
次は学園祭っぽいですな。しかもなんかメイド喫茶っぽいにおいなので期待してるよ。
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今回は学校からは離れ、夏休みを利用しての避暑地バイト編。
そこでは仙波妹の学友であり、古から予言や助言といった事を生業にしている一族の
当主となる寄絃芳花が仙波姉らの学校での活躍を聞いて興味を示し、
仙波姉に芳花の亡き母が記した奇妙な日記に残された謎
及び万鏡館に鏡のない理由の解明を依頼する事になります。
何時もの人間関係の縺れを解く活動とは異なり、大分ミステリアスな展開であり、
流れも言葉の持つ意味合いに多々触れられ哲学的な様相。
それはそれで考えさせられる部分もあり、私には興味深くもありましたが、
何時もの不可思議な状態に陥った人間関係の縺れを解決する事を期待している読者には重いかも。
ですが、名称とは裏腹に全く鏡がなく、他にも微妙に細工が施されている建物の中にあって
環境が人間の心理にも垂らす不安定感が、いつもの面々の関係にも微妙な波動を送ってもいます。
それが恐らく学校へ舞台に戻しての続きで活かされるのであろうと期待します。
今回の物語は仙波姉の何時もの謎解きがやや趣向を変えられてはいるものの
鋭い見解を示して見せます。ですが、舞台の異常性が却って通常の日常の中の非日常よりも
意外性を損ねている様にも感じられました。
芳花自身もその事は織り込み済みであったようで、
寧ろその後に繰り広げられると伝え聞いている成田少年の
身勝手で積極的なお節介焼による、都合の良い平和嗜好による更なる突っ込んだ方向性提示を
期待しているらしき様子が感じられ、それに応えて示した成田の“答え”が
家の伝統風習に縛られ続けてきた女系の現当主である芳花にどう響いたか。
その点が何時も以上に成田の占める存在感が重さを増していたかも知れませんね。
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初版読了。
今回はシリーズ初の長編的内容でした。
が。
前作までの連作短編的なお話の内容が秀逸に感じたせいか、今回の長編的内容は、平凡に感じました。
ミステリーにありがちな「館モノ」でのちょっとした謎を解き明かす展開に、オーソドックスさを感じてしまい。なにかしらの真新しさを感じることができなかったせいかもしれません。
とはいえ、作者の独特な文章表現は、各キャラクターの一人称を通じていても個性的であり、その部分の新鮮さは今作でも健在でした☆
次回は再び、学校を舞台にした内容なので、次にどんな謎を描いていくのか楽しみにしています☆
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誤植。
初版。23ページ8行目。
・・・ようやくしゃべるタイミングを「とらまえた」・・・
おそらく、「とらえた」と「つかまえた」が混ざったのではないかと。
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なんという本格ミステリっぽいラノベミステリ……もどき(笑)
これは謎解きを楽しめばよかったのかな。
でも、なるたまと、いつも通りの仙波と、安定しない佐々原さんに、今回は会長まで加わって面白い人間関係を見せてもらいましたよ。特に例のシーンの会長には胸きゅんでした。
それにしても、佐々原さんは可愛いなぁ。
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シリーズ初長編。館ものですが殺人はありません。
これまでは連作短編形式だっただけに長編形式を読み進めるのに時間がかかりましたが、クライマックスの落書きシーンで子ひつじらしさが出ていてそこは満足。
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勝手に決定されたバイト先で、夏休みだから会わない、と
思っていたいつものメンバーと遭遇。
今回の子ひつじは1匹だけ。
場所も閉鎖空間(?)ですし、その謎だけにかかりっきり。
初・1冊長編になっています。
最初の白雪姫話から、固定観念を捨てろ、という話?
いや確かにあの話のまま想像してしまうと
その解答には行き付きません。
一体何が『鏡』で、どういう事なのか
どうしてそうなのか。
実行したらできそうな気もしますが
本人にやる気がないとこの手は…。
しかし、いまだに気が疲れてないのがすごい。