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平清盛の武家と公家をひとつにした新しい国家建設の可能性。改めて歴史の流れは必然ではなく、偶然の積み重ねで必然性が生まれて流れになるのだと思った。
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本書では、平成24年の大河ドラマの主人公である平清盛について、様々な史料を引用しながら考察を行っている。
個人的には平清盛をあまりよく知らない。そのせいか、本書に登場する人間関係があまりにも複雑に感じ、著者が言わんとするところを十分に理解できていない点もある。しかし、平清盛の人物像の輪郭を知ることはできるし、いかに血統を重んじていた時代であったかを理解するのも難しくない。また、貴族と武家の分立化が進んだ背景や、福原遷都や興福寺焼き討ちを強行した清盛の意図、清盛の死後に平家が源氏に敗れる理由についても、著者は根拠に基づき説明している。
一般向けの書物にしては難易度が高いが、諸説を列挙したり不明点をそのまま明記したりと、一つのストーリーを作り上げなければならない伝記や歴史小説とはまた違った味わいを持つ一冊でとなっている。もう少し清盛を知っていれば、驚きも多かったことだろう。
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後白河院が中継ぎの立場ゆえに、直系天皇をかつぐ
ことにより正統をもちたい=清盛の外戚戦略との
一致が重なり、一時的な協業だった。
院は皇族の家長としての立場は上だが、天皇が
やはり正統性をもつ唯一の存在である
晩年の清盛の権門への強引な戦略、在庁官人
への平氏登用による地場の武士の権益に
触れたことによる反乱の飛び火
など大変おもしろかった。。
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平氏政権の軍事の動員力が、朝廷に依存しており、鎌倉幕府とは異なるというのは目から鱗だ。◆武家が公家と対立したというのではなく、だんだんと力が移行していったんだ。◆清盛が平治の乱で最終的な勝利者となったのは、たまたま押し出されてしまったということ。◆後白河は帝王学を学んでおらず、異形の王だったということ。◆◆池禅尼が頼朝を助命したのを受け入れたのは、当時は棟梁の本妻にも政治力があったということ。◆北条政子と同じか。
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保元/平治の乱や治承三年政変はある程度知ってたがそれ以後のあまり知らなかった清盛の動きが丁寧に描かれていて興味深い。
著者が言う貴族と武士の一体化した国家が成立していたらどうなってたのかな。
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角川ソフィア文庫 元木泰雄 「 平清盛 の闘い 」
清盛が目指した幻の国家像〜貴族政権を解体し、王権に従属させる公武一体国家〜の試みを論じた本
清盛の人生は、スピード出世して王権の中枢に位置し、クーデターを起こして 王権を掌握するも、すぐに病死して 平家もろとも滅亡。盛者必衰そのもの
平治の乱(1159)から治承三年の政変(1179)までの清盛の盛者ぶりは、圧巻
*平治の乱で 一人勝ちした清盛が、競合する軍事貴族や摂関政治を消滅させ、後白河院主導の政権を樹立
*後白河院との協調により、王権と政情を安定させ、清盛に外戚の座、日宋貿易の成果をもたらす
*建門寺院の僧侶を自在に動員して最大限の法会を行い、軍事政治に続いて仏教界の支配した
*治承三年の政変(1179)によって、後白河院幽閉と安徳天皇擁立により新王権を樹立しつつ、国家の軍事・警察権を掌握
源氏や後白河院との闘い、院政の否定、天皇擁立、遷都など貴族政権や古代天皇制といった王権の権力構造を変えている