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文庫で復活したとのことで、ほら話好きにはたまらない内容になっています。
体に死体の一部を埋められた4人の兄弟を追いかける形になっていますが、
その理由がいまいち納得できません。それでもって納得できないまま、終わります。
それが不満かというと、全くそんなことはありません。
細かい話の積み上げで、かなり持っていかれます。ちょっとトランス状態。
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医者である父親に殺された母親の体の一部を体内に埋め込まれた四人兄妹。彼らのその後の数奇な生涯とは……。
ダークな想像力によって紡がれる、グロテスクで歪な物語が心地よい。こういうの大好物だよ。幾つもの語りを積み重ねることで虚実のあわいを曖昧にし、”物語”や”わたし”といったテーマを浮かび上がらせる構成も見事。『隠し部屋を査察して』の幾つかの短篇とリンクしてるのも嬉しいね。
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1/2 読了。
新年度一発目の読了本がこれって…と思わないでもない。中井英夫のとらんぷ譚の「幻想博物館」と重なり合うところが多い。オチの感じは三島の豊穣の海っぽかったり。ジェラルディン・マコーリアンの「不思議を売る男」も構成はすごく似てる。
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内容がどうとか言う以前に翻訳が所々酷い。参考書かと思うほどに機械的に訳しただけのような文章がチラホラ。
途中から慣れてきたせいか、後半は気にならなかったけど、物語に引き込む力は無かった。
この厚みで1000円!?と思ったけど、気になってた作品だったし、内容がよければいいかと思って購入したのに残念。各兄弟のエピソードは良かったけどラストが良く解らなかった。レビュー見てると伏線や仕掛けがあったみたいだけどそれも解らないまま。文章に気をとられててスルーしてしまったのかも。翻訳文のせいなのか作品自体が合わなかったのか判断できない。
元々海外の小説はあまり読まないので気にしてなかったけど、訳者って大事。翻訳家も「作家」なんだよね。今度から気にしてみよう。
作者本人の文章が合わないのは仕方ないけど、翻訳文で左右されるのは嫌だなぁ。
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わりとグロい。死んだ妻の遺体の一部を子どもの腹に埋め込んだ医者の話を聞いた主人公が真相(と言うよりその事件後を)探索する。終始怪しい雰囲気で良かった。オチが理解できなかったけど。
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多くの女性は読んでいて気持ち悪くなるそうですが、私はさくさく読めた。
2回目は登場人物をメモしながら噛みしめるように読みたい。
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アンチミステリというよりはポストモダン。そう。それには同意するのだが、ポモと言い切るのもどこか違和感。
異様なイメージ、グロテスクな細部の描写が秀逸。
身体に根差した気持ち悪さと、なぜかしらのさわやかさ。
繰り返しとズレ。語り。騙り。
虜になりそう。
……
「わたしはわたしではない。哀れなわたしの物語よ」
……
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ミステリウムが存外好みで読んだら少し残念。不条理でシュールなところはあるのだけれども、霧がかかったような美しさがあまりない。物語や構成を意識しているせいだろうか。ただただ好みな文章をずらずら読んでいたいだけなのに。
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冒頭からずっと、本当かどうか分からないけど面白い話が連作のように綴られてゆく。
私にとってはそれが事実だったかはあまり重要ではなくて、ひとつひとつの物語の面白さで十分楽しめた。
オチは賛否両論だけど、上記の理由で私にとっては瑣末な問題である。
ややグロ系なのでライト層には勧めない。
痛覚と悦楽の境目について考える。
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昔ある事件で、父親が母親を殺害し、体の一部を4人の子供の体内に埋め込んだ。その話を聞いた主人公がその後の4人の子供たちのことを偶然人づてに聞き、調査してみようとする話。終盤まで順調に読み進めていたのだが、最後の結末に驚く。全部ウソだったのか、主人公はどういう状態なのか、なにも明かされずに終わる。騙されたと同時によくわからないままもやもやが残る。わからないのは私だけなのかな。。
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すべてはそこにあるけれど、まやかしのようなもの。正しいと思ったことが真実とは限らない。自分自身が不安定になる不思議な小説です。面白いし、読書会向きかも!!
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とある田舎の炭鉱町に越してきた医者一家。ある日彼らの子供は奇妙な歩き方で学校へ行き、教室で倒れ、次々と病院へ運ばれる。子供たちの腹部にはそれぞれバラバラにされた、行方不明となった母親の遺体の一部が埋め込まれていた。犯人はもちろん医者である父親。
その四兄妹のうちの一人に、主人公の祖父は放浪の末就いた船乗りの職で出会い、衝撃的な事件が語られる。けれど、その祖父の語りも実は嘘で、祖父は放浪なんてせず、ごく近い町で勤勉に30年働いていただけだと知らされる。けれどその祖父の告白を聞いた後、主人公は「偶然に」、次々とその四兄妹の消息、異様な死に様を旅先で出会った人から聞き知ることになる。真相は、とか考えない。ただただひたすら面白く、豊穣でちょっとだけ過剰な小説。最後はなんだよ、と思わなくもないけれど、とにかくこの世界は面白いし、これもまた現実の捉え方として魅力的だと思ったり。
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これは困ったなぁ。
背表紙に掲載されている紹介文を抜粋すると「ある一家の奇怪で悲惨な事件。一家の四人の兄妹は、医者である父親に殺された母親の体の一部を、父親自身の手でそれぞれの身体に埋め込まれた」となっている。
かなりショッキングな内容ではあるが、実は物語とは全く関係がないと断言してしまおう。
別にこんなにショッキングな内容でなくても、「幼いころに生き別れた四人の兄妹」でも事足りる。
乱暴に言ってしまえば、グロテスクで奇妙なエピソードが積み重なった長編の体を真似た短編集みたいなもの、ってところだろうか。
上のショッキングな内容は、そんなエピソードを一つの流れの中にくっつけておくための漆喰の役割を果たしているような印象。
ただ、短編集にしてしまうと、それぞれに設定をしなおして、お膳立てをしていく手間がかかるし、読者もその都度、頭を切り替える必要がある。
だから、悪口を書いているように思われるかも知れないけれど、実は「この形式っていいじゃん」と感心したりしている。
ショッキングな内容そのものも一つのエピソードといえるし、それぞれのエピソードは文字通り「挿話」としての役目……冗長にならず短く要点が凝縮されたピリっとまとまりのある……を果していると思う。
だから読んでいて面白いのだ。
どんどんと先に先に読み進められる。
で、ラスト……。
しょっぱなに「困った」と書いたのはこのラストをどう受け止めればいいのか、それに困ってしまっているのだ。
受け取り方によっては「これ、タブーじゃないか!」と激怒すること必至。
星なんて一つも献上したくもなくなるだろう。
でも、それまでの面白さ(そこにはかなりのグロテスクさと、流血と、痛みと、奇妙な味が多く含まれている)を鑑みると、許してあげたくもある。
そもそも「許してあげたくもある」と受けとっていいのかどうかも分からないのが、このラスト。
はてさて、このラスト……このラスト……どう受け止めればいいのだろうか。
ま、僕自身はかなりいい加減で頭の悪い読者なので、「とにかく面白かったんだからいいや」と星を五つ献上しちゃいます。
ただ、生真面目な読者がこれを読んだら、きつねにつままれたように感じるかも知れない。
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こういう小説のことをどう書けばいいのだろう。
讀後すぐ書こうとするのが無謀かもしれないが・・・(読み手には整理する時間が要の小説なのです)
主人公はエズラという男性で、中年の彼は海の見えるパラダイス・モーテルの枝編み細工の椅子に座って少年時代のあることを回想しはじめる。
彼の祖父は突然家族を置き去りに失踪し、死期が近いことを察して自分の故郷、捨てた家族のもとにひそかに帰ってくる。
屋根裏部屋に横たわった死の数日前、老人は孫のエズラにこのような話をする。
失踪して、多種の職業に就いた祖父だったが、甲板員で雇われてパタゴニアに行った時のことだった。
その船で機関士として乗船していたザカリー・マッケンジーが語った話だがと祖父。
自分の小さな頃、住んでいた小さな町に南部訛りの医者一家が越してきた。
その一家は外科医と妻と4人の男女二人ずつの子供たちで、妻は美しく円満な家庭のようだった。
事件は、一家が越してきてから一月もしないうちに起こる。
それは想像を絶する事件だった。
外科医は自分の妻を殺害し、妻をバラバラにして、その妻の両手首と両足首を4人の子供たちの腹部に埋め込んだのだ。事件の発覚後、外科医は死刑になった。
その話を終えた機関士のザカリー・マッケンジーは、白いシャツをまくりあげた。ウエストラインのすぐ上に真横に走る長い傷跡が見えた。
パラダイス・モーテルで寛ぐエズラは、その子供たちのその後を知りたくなる。
ふつうは、この4人の子供の運命を辿っていく過程を書いていくものだが、いえ、書いてはいるのだが、そのエピソードたるやその冒頭の意表をつくショッキングさを凌ぐもので、
少年に蜥蜴を飮込ませシャーマンが釣り人のように糸を手繰って取り出すイシュトゥラム族の儀式の話や、
からだに植物が生えた話や、
串を身体に25本貫通させ、26本目で死んでしまったカーニヴァル藝人の話。
とにかくその筆致の滑りはすざまじく、まるでジェットコースターに乗っているように絶叫もののストーリーが続く。
その4人の子供たちのその後の運命は悲慘なものであったが、
この物語の最後は最初と同じくパラダイス・モーテルの枝編み細工の椅子である。
そして読者のわたしたちも、見たことも掛けたこともないその椅子の上で著者に騙され続けていたことを知るのであった。
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タイトルのセンスが良いと思った。パラダイスモーテル、良いですよね笑
一つ一つの話がとても面白くて、読めたけど、自分の理解力が無くて本質とか読めてない印象です。
メタメタな感じが面白かったのかな。
あと、個人的に人が人に話し伝える、みたいなシーンとかシチュエーションが好きなので、読んでてワクワクした。
茶の味という映画で浅野忠信が子供に話を聴かせるシーンとか思い出した。
結果、どういうことかわからなくても面白かったと思えるならそれはいい本なのではないでしょうか。
映画でいうとマルホランドドライブも意味わかってないのに最高に刺激的だった。