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哲学ってやっぱり難しいなぁ!具体例には興味をそそられたけど、これっていう答えはなくて、考え続けなくちゃならない問題なんだろうな。
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近年の出来事を抽象化して道徳と正義の要素を抜き出し、その問題に対してあるべき政治的対応の姿を、ジェレミー・ベンサム、ジョン・スチュアート・ミル、イマヌエル・カント、ジョン・ロールズ、アリストテレスといった過去の哲学者の主張を引き合いに出しながら考えていく。
一つの物事に対する様々な側面からの解釈を学べるという意味で教育的だと思うが、著者自身が示すあるべき姿がないため、この日本語タイトルが適しているかは疑問に感じた。
この本で語られるのは、正義とは何か、という問いに対する人類の思索の歴史だ。
功利主義において正義とは、最大幸福の実現だという。この場合、自動車のリコールにかかる費用と不具合により発生する事故後の補償を比較して、後者の方が安ければリコールをしない判断を下すのが正しい判断ということになる。このような考え方は、犠牲になる誰かを具体的に考えない場合には正しい気もするが、その犠牲が自分や身内になる場合は許容できないだろう。ここでは個人という視点がごっそりと抜け落ちている。
この個人の自由を最重要視したのが自由至上主義(リバタリアニズム)だ。ここでの正義は、他人にも同様の権利を認めることを前提として、自由に自分の行動を選択できることだ。だから、大金持ちと貧乏人に分かれるのも自然なこと。そこには両者の選択の違いがあったのだから、ということになる。
しかし、この自由だけでは何をやっても良いのか、ということになってしまう。それはあまり道徳的という気がしない。そこでカントは、外的要因に左右されず選択できる自律的自由を定義し、自律的自由を持つ人々が仮想的に同意した契約により、道徳的な社会が築かれると説いた。
そこに平等という概念を加えたのがロールズである。人は生まれながらにして平等ではない。金持ちの家に生まれる者もいれば、足が速い者、頭の良い者がいる。それぞれの才能を利用して個人が自由に選択して得られた結果は、全て本人の功績ではないと説くのだ。だからこそ、自分の才能を利用して富んだ者は、他者に分配する義務があることになる。
一方、アリストテレスは、社会の目的を達するためになされることが正義だと説く。人間は集団に属して生きるものなのだから、集団を良い方向に進める人が優遇されるべきだという。ここで許される個人は、共同体に属するものとしての個人だ。
正義や道徳は個人から導かれるのか、共同体から導かれるのか。著者の考えは後者に近い。何故か。
例えば、日本は過去の戦争について謝罪を要求される。正義や道徳が個人に基づくならば、自分は直接関わっていないのだから過去の戦争について謝罪をする必要がない、という見解が成立してしまう。しかしこれは何かおかしい。ゆえに著者は、個人は共同体に埋め込まれた存在であり、共同体の歴史の影響を受けると考えるのだ。
では、具体的に政治はどんな正義や道徳に基づいて行わるべきなのか。それについては著者も未だ答えが見つかっていないらしい。ただ、国家の役割について改めて考えさせられた。
仮に共同体の割合を大きくすれば愛国心の様な価値観を押し付けられることになる。こんな正義がまかり通る国家は息苦しくて生きづらい。一方で、才能や所与の条件、個人の環境や努力による結果を受け入れるだけで、この種の感じにくい不平等が捨て置かれる国家には、共同体の意味がない。
どこまでを国家が面倒見るべきか、何を目指して政治を行うべきか。そして、外に目を向けた場合に、他国との格差を放置することは正義にもとらないのか。現実的に取り得る平衡点を探求するにしても、果たして存在するのかもよく分からない。
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テレビで授業の風景を少し見たことがあったので、興味があり購入。
哲学って難しい。
読みきったけど、わかったような、わからんような・・・
正義って何だ??(笑
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アメリカの大学で政治哲学を教える著者の、講義を元にした本
とにかくベストセラーになってるからもう少し軽い内容かと思っていたらかなり骨のある本だった。あなどっててすみません。
「正義」とは何か?「共通善」はあるのか?具体例を挙げて説明してあるのでわかりやすいけど、全体的に難しい。カントのところが特に難しかった。まぁ大学生向けの講義なんだから、難しいのも当然か。なんとか読了。あと、「ハーバード白熱教室講義録」を読んでいたので、それも助けになった。
「線引き」って難しいし、一体この世の中の「誰」にそれをする資格があるというのか?ということなんじゃないか、と思う。
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哲学の歴史がわかる本ですね。
題材は面白いです。
哲学に答えがないことは初めからうすうすわかっていましたが、
やはりそのようです。
著者も明確に「正義とはこれだ」と断言はしてなくて…
理系の人間としては、もう少し断言してくれていいのに、って思います。
とはいえ、○と×をつけることが重要ではなく、
哲学の観点から(思想の観点から??)
意見を言い合うこと、場合によっては議論することが重要、
正義とは何かを考え続けることが重要ってことのようで…
それはその通りな気もします。
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あなたは幸せですか。
では、あなたのその幸せは、どのくらい「富」に関わるものですか。
全く関わらないと考えた方は、いま、その幸福だけをもって別の国に生まれ直してください。この日本と同じく幸せと言えますか。
これらの問いは、富めることが幸福であり、貧しいことが不幸であり、またその逆を意図して質問したのではない。
ただ、今、「幸せ」というものに、どれだけ「富」が関わっているのか問いたかったのだ。
長らく持っていた疑問に、市場主義、自由経済の正義がある。
歴史上、特権階級が、そうでないものから「搾取」していたことは、多くの国であったことと思われるが、現在は、富めるものはより富み、貧しいものとの格差が広がる一方。これも、「搾取」ではないのか。より悪いことに、全世界的に合法的な。
本書は、そうした疑問の解消につながるもの、とまではいえないのだが、それでも考えるよすがにはなる。
ベンサムからカント、アリストテレスまで、多くの哲学者たちの考えを元に、現代世界の問題を読み解こうとしている。
何より心強く思えたのは、これからの世界の趨勢を担うであろう、ハーバード大学の学生の多くがこの教授の講義を受講し、「正義」について考えているという事実である。
そして、ご存じ、NHKでこの政治哲学の講義が放送されるやいなや、何度も再放送されるほどの人気番組となった。
実を言うと、「正義」といわれるとよく分からない。
しかし、人々が、その「良心」によって考え、行動することこそ、世界の幸福へと近づくと信じる。
最大多数の最大幸福にこぼれた人が、一人もいなくなるように。今、生まれたばかりの赤ん坊まで、「すべての人が幸せであれ」と、人々が願って行動できるように。
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正義、共通善、自由、選択、目的、合意、宗教、道徳、
権利、責務、連帯、帰属。理解したか同意できるかは別として
「マイケル・ジョーダンの金」(自由至上主義の章)
「テニスコートとクマのプーさん」(アリストテレスの章)
身近だったり感覚的に捉えやすい例を挙げての説明で
とても読みやすい。
しかし、この手の話は本を読んで
自分の知識になったと思うのは全くの不完全、思い上がり。
与えられた枠組みと、考え方を使って
自分はどのように考えるのか、同じ考え、異なる考えを持つ他人と
意見を交わしあったり、考え続けてまとめたりしなければ。
お題を提示して、考え方を紹介し、ポイントの整理をして
著者の考えを述べ、一緒に考えることを求めるので
明確な答え・解釈・だけ欲しい人には不向き(?)。
一時期よくTVで見かけた人なので興味を持って購入。
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難しい!が例えはわかりやすい。
読破するには時間かかりそ〜う。
やっと読みおわった!やっぱり難しいしよく理解はできてない;;
ただ自分と違う意見があり議論することの大切さはわかったかな。
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正義とはなにか。生きていく上で直面する困難をどう理解するか。
哲学とは面白いが,抜けだせなくなる怖さがある。
本書は多角的な考え方が示されており面白い本であった。
今までとは違う視点から物事を見つめなおすように心がけたい。
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物事を判断する時
自身にとって心地良いか否かを
判断基準にすることが多々あるが
それらは全て、今ある選択肢の中で
あるいは自分が経験したことの中からのみ
“今の自分にとって”どうなのかが指標になっているのだと思う。
公正であるというのは思っている以上に難しく
「適切なことを『適切な人に、適切な度合いで、適切なときに、適切な動機から、適切な方法で』すること」は難しい。
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やっと読了
難しかった
一つ分かることは、必ずしも正義は、これという断言できるものではないということ。
ある考え方に基づけば、こういう主張になるし、また違う立場にたてばまたかわってくる。
議論では、お互いの拠り所となるものが違えばきっとぶつかり合う。
理解しながら生きていく必要があるんだなあ。
もう一度読み直しても果たして理解し切れるかはわからないけれど、哲学的知識は身につくかなあ。
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素晴らしい。
一般人がちょっと興味をそそられるような導入部の話から始まり、分かりやすい実例と仮説、反証を論理的に展開して行く。功利主義、自由主義、カント、ロールズ、果てはアリストテレスまで。話は前段部をからめとるように展開して行くんですよ。ふむふむと読み進めて行くわけです。
そんでマッキンタイアの物語的な人生の話で、「うーむ、なるほど」ってなるんですよ。いやホントに。
自分、哲学知らないです。でも面白いと思った。
正義っていうより生き方、在り方の話じゃないでしょうか。
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遅ればせながら読んでみました。
きっと誰しもが、正しくありたい
と思って生きているのだと思うけれど
「正しさ」は一様じゃなくて
いろんな正義がある…
だから、僕は僕、君は君…
そんなスタンスが一番スマートなんだ
と(無意識のうちに)考えてたけど
それは間違いでした。
僕は僕、君は君…と言うとき
僕は(やはり無意識のうちに)
自分の正義を絶対化していたのかも…
絶対に正しいことなんて、
本当はないのかもしれないけど
正しさを追求することの中にしか
(暫定的な?)正義はないのかも?
そんな風に考えちゃいました(^^)
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サンデル教授の政治哲学が集約された文庫。これはほんまに読むの時間かかった!笑 理解しながら読み進めるのが新鮮でもありしんどい作業でもあり。
内容としては、例をとりあげながら3つの政治哲学的観点を議論していくもの。最後はサンデル教授の理想論に近い考えが述べられてるけど、この本を読み進めていくにつれてやっぱりそうなるよねーとはなる。
自分がまるでサンデル教授の講義に参加しているような気分になりながら問題に取り組める作品。
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出てすぐに図書館で借りて読みました。そして今日、文庫を見つけたのでまた読んでます。こういう話が大好きで、皆に意見を聞いて回りたくなる。何度読んでも答えはでて来ないし、そこには多少影響を受けた自分の根底にある哲学を再認識するだけ。でも再認識をする機会を本で得られたのは初めて。本当に貴重で何世代にも渡って遺したい本です。
それにしても、こんなに込み入った複雑極まりない話を、整理してとてもわかりやすく書いたサンデスさんの表現力は本当に勉強になります。