紙の本
踏み込まないとダメだけど、踏み込み過ぎると戻れない
2015/08/24 10:12
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
雨の月曜日。玄関を開けると傘も差さないずぶぬれの女の子が立っていた。その少女、幡ヶ谷月夜は、ラブレターを突き出して来て、ストーカーは止めろという。…すみません、不肖・仁庄助、昨日まで一週間の記憶がありません。都合が良過ぎるようですが、記憶喪失です。
学校に行けば、美人生徒会長の神谷日向が近づいて来て、自分たちは恋人同士だと言ってくる。…すみません、距離が近いです。いろいろ当たっています。
何やら訳知り顔で中途半端な助言をしてくる藤森文子の忠告を無視し、一週間の記憶を取り戻して、美少女二人と友好的な関係を築きたいと都合の良いことを願う仁庄助だったが、実は二人とも、表面的な人格とは違う、別の人格を抱える厄介な少女たちだった。
一体どうして彼らは一週間の記憶を失ったのか、一体先週の彼は彼女たちにどんな粗相をしてしまったのか。しかし残念ながらミステリーではないので、全ての謎が明らかにされる訳ではない。あくまでもこれはラブコメ。彼と彼女たちの関係がどこへとたどり着くのか、あるいはたどり着かないのかが興味の焦点なのです。
一見すると、よくあるラブコメ的な男に都合の良過ぎる展開を排除したラブコメの様に感じるかもしれないが、やっぱり色々と都合が良い。ただそれは、誰にとって都合が良いかが違っている。どちらかというと、ヒロインたちに都合の良い様に、現実が書き変わるのだ。
一週間前に何があったのか、本当のところははっきりとしない。ある程度は分かるけれど、核心部分は“呪術”というファクターで靄がかけられてしまっている気がする。ただ、その靄をかけた存在は、先週の彼ら3人の関係の行きついた先が不満だったのだろう。ゆえに今週、彼らにやり直しを命じたのだ。
そのやり直しの結果は、八方美人の少年を生んでしまっただけかもしれない。きっと彼はこれから毎日神経をすり減らして生きることになるのだろう。だって、見た目は可愛いけれど、女の子には怖いところも、理解できないところもあるのです。
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二人の女の子に挟まれて四苦八苦する感じを存分に楽しめた。
ベタなラストなはずなのに、最近こういうのを見ないせいか、逆に新しく感じた。
読んでいる間、二人のヒロインを好きになったり嫌いになったりしながら、最後の最後にはどっちもかわいく思えてしまったのは、著者の掌で踊らされてしまった、というところか。
ただ、記憶喪失の間のお話のディテールを、もう少し知りたかったところ。
続刊があれば、語られることもあるのだろうか。
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一週間分記憶がない少年と、2人の少女のラブコメ。
ゴスロリちっくな月夜さんと、明るくて二面性のある日向さん。
2人の少女に挟まれて、もにょもにょする話。
会話はテンポよく、女の子たちは魅力的。
日向さんもなかなか好みだし、もう一方も可愛い。
だけど、なんかもの足りない。
主人公の消えた一週間の記憶があんま実体を伴って伝わってこないせいかな?
ちなみに、ふたりとも全然悪女じゃないような気が。強烈な悪女が、昼と夜で主人公を振り回してくれる系だったら楽しかったんだけどね。
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突如女の子に振られた、と思ったら、学校では
自分に笑顔で近づいてきた別の女の子。
気が弱いのと、優しさは別次元です。
この情けなさっぷりが素晴らしい主人公は
一体何なのか、と聞きたいくらいです。
とにかく、主人公にいらいらしっぱなし。
どっち付かずな態度を取られれば
どちらの女の子もそれは怒るでしょう。
記憶がない、というのは、不安でたまりません。
どうすればいいのか、どうしたらいいのか
にっちもさっちもいかないでしょうけど、これはない。
徐々にきちんと自己主張してくるのを
最初と比べてしまうと、感動ものですが。
一応きれいにまとまって終了してますが
現実にいたら、ここまでいくものでしょうか?
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『菜々子さん』風なミステリ
文章「上手い下手」は音楽絵画の質高低と同じく未だわからないが
この本の文章はかなりつらい
話の筋や登場人物挙動はそれほど変と思わないが
文章表現に違和感ありあり
たいていの小説においてそうだが
人間というのは小説の中の登場人物のように
頭の中で周囲の状況を記述し自己心理をそこに投影しているわけではない
文字ではもちろん「考え」てすらおらず追認することすら稀
そから小説 いや文章描写というもの自体がつくりごとなのだが
こんなことを思っているはずがないとその描写を読んで感じるかでなく
そう思ったはずと追認できないことに同じ人間として許す範囲が個々に存在する
違和感というあいまいなものでごまかすが
そう思うところをまた文章で自らにすら解する困難さは
感性とか理性とかいうことばで判じがたい文芸の奥深さである
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全3巻完結。
不思議な事に巻き込まれた男子が三人の女の子にもみくちゃにされる話し。呪いとか妖怪とか伝奇っぽさを交えた、可愛くて切なくて、残酷で優しい三角関係(プラス1)ストーリー。
とにかく、幡ケ谷月夜(はたがやつくよ)、神谷日向(みたにひなた)、藤森文子(ふじもりふみこ)のヒロイン達が可愛い!Tivのイラストも神!1巻目の日向さんの男モードはラノベ史上最も見せてはいけない場面なのでは?
主人公の気持ちが揺れ動く上に女のコ達も本心を隠しているのでやや難しい。
ラストが素敵 それが悲しくても