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夢違、なかなかおもしろかった。夢の世界を題材にした物語で、夢で見たものを映像化し、見直すことができる。本来見ることができなかったものが目に見えるようになった世界。その中で繰り返し予知夢を見るが、その思わしくない未来を変えることができない板挟みに悩まされる古藤結衣子の苦しみが主題。そしてその苦しみが現実世界に様々な現象を引き起こしていく様は、異様でとても興味がわいた。「夢は外からやってくる」このフレーズが一番印象に残った。最初は怖い小説かなと思いながら読んでたけど、後半以降はそれほど抵抗もなく読めた。おもしろかったです。
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最初に読み始めた時、清水玲子の「秘密」と似たトーンを感じた。泉鏡花の「外科室」と同じ「無意識を他人に見られたくない」という秘密を保ちたいというトーン。
しかしながら読み進めると甲殻機動隊の草薙素子の「ネットの海は広大よ」という言葉が思い浮かんだり、ブギーポップは笑わないの水乃星透子のような「世界中に偏在するもの」のような気もする。(それこそ古くは「スターレッド」の星のような)
予想通りだったけど、相変わらず落ちは続きがありそう。「夢札を引く」という言葉や、和風の言い回し、雰囲気がステキな小説である。
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先週読み終わって、今日は吉野行ってきた!吉野の神秘的な雰囲気が増してよかった。夢札を引く、って言い回しがいいよね。ドラマの原案なんだってね。確かに分厚い割りには、ストーリーとして大きなうねりがある小説というよりかは、世界観の提示、贅沢な原案、って感じだった。夢と一緒でいろいろ起こるんだけど、読み終わったら雰囲気しか覚えてない、みたいな。テーマが夢だから、それもありなのかしらね。
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夢を可視化、面白いとグイグイ読めたんだけど尻すぼみな感じ。
たくさんの子供たちが泣いていた理由がいまいち分からないし
オカルトな感じなのかと思いきやラスト恋愛に持っていったのが残念。
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え、そこで終わるか?と感じた。
まとまりがなくて、話を記憶しにくい。雰囲気を楽しむの、推奨。
この作者が古都の闇とか、古の日本のもつ空気感などに傾倒しているのはよくわかった。この感じは素敵だ。八咫烏などが出てくるところは、ネクロポリスと同様。この現実に重なる世界を感じさせるような、それは昔から認識されているもので再発見の時を予感させるような。
しかし、ミステリーもとい小説として、やはりどこかに帰着させなければならなくて、今回はその落としどころが気に入らなかった。尻切れトンボになるのなら、無理やり落とさなくてもいいんじゃないか。
人間は進歩するにつれて、産業化や科学の導入によって一度決別したはずの「この世ならぬ世界」に、再び近づいていくのかもしれない。現実というか実体のある世界の充実によって、精神的な何かに興味を持つようになったり、それを無視できないような人間の在り方が広まりつつあるということか。
どことなく懐かしい、セピアな雰囲気が好きなので、次も期待している。
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久々に出た恩田陸の新作。ジャンルとしてはSFとサスペンスが融合した作品。しかし、ネタバレすると淡い恋の物語という感じの話。舞台はH市と奈良県が主体となるのだが、その情景が自然と思い浮かばせる所が恩田先生は上手い。また、夢札という今回のキーとなるギミックも読んでいるうちに分かるように上手く表現されている。流石に長年の経験と読書の数がこれらの表現を可能にしている。ただ、今回はどちらかというと文学よりの作品。エンタメ作品を期待していた自分にとってはちょっとがっくしの部分はある。今度は恩田先生の極上のエンタメ作品を期待。
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まさに恩田ワールド。
夢か現か幻か…「何か」の気配にぞくぞくしながら読みました。
…んが、最後がなんだか肩
透かし。
恩田さんにはこの手を何度も喰らってるんだが、ラストまでの吸引力が好きで、読んじゃうんだよなぁ。
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著者の「光の帝国」や宮部みゆき「燔祭」が好きな方には楽しめる一冊ではないでしょうか。「夢」という現象のとらえ方に超能力プラスアルファで量子論的なところもさりげなく含まれているような気もします。
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えええええええ!
わかんないわかんないわかんないよ!とか思いつつ、すごく、ぽわーんとしてしまう読後感。
ゆめについて、みえないものがみえていくことについて、ぼんやり考えてしまう。
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夢が、可視化された世界。
予知夢をみる女性は、本当にしんだのか?
相変わらず面白すぎてやめられない。(オチはいつも通り(笑))
そういえば「獏」は海外ではなんと呼ばれるんだろう。
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「らせん」みたいで,これでは賞は獲れないな~野田浩明は夢判断だ。G県の小学校でクラス全員が白昼夢に悩まされて教室から校庭へ出て倒れ,その後に悪夢を見るようになったという事件が起こり,夢札を分析することになったが,どれもこれも似た内容で,一塁で惜しくもアウトになる野球やサッカーの情景の後に,何かが教室に入り込むのに怯えるというものだった。一人の女子だけが三本脚のカラスの着ぐるみの胸元に女性の顔が覗く鮮明な夢を残していたが,彼女は山全体が桜色に染まる風景を頭に焼き付けており,女性の顔は浩明と懇意にしていた古藤結衣子としか思えない。結衣子は予知夢を見ることが知られており,不安に駆られた彼女は婚約者の弟である浩明を呼んで眠るのだが,最後の予知夢は炎に包まれる大惨事であり,北関東で行われる上司の葬式に出掛けようとした高速道路のSAで竜巻による大惨事に彼女自身も巻き込まれたのだ。結衣子の消息は不明,死亡したものと判断されたが,どこかに生存していると思っている人間は少なくない。そんな中,奈良の小学校で児童と教師80名が神隠しに遭うという事件が発生する。結衣子の遠縁のフリーライターは結衣子も神隠しに遭い,それから予知夢を見るようになったという。結衣子の古い夢札を見ていると,昔から禍事を夢見ているのが分かる。奈良に濃い霧が出た夜信号待ちをしていた車からドライバーが消え車が炎上した。結衣子の目撃情報がある天理へ向かうレンタカーで霧の中を通ると霧の中に失踪した少年の姿が見えた。警察庁から派遣されている岩清水が遂に打ち明ける話は,結衣子の希望で体内にチップを埋め込んでモニターを続けていたが,あの事故の時にチップ自体が消え去ったが,最近チェックすると弱い信号を送り続けているのだ。夢判断を職にしている人間は夢と現実の境をなくす夢札酔いをし,昔から馴染んだ結衣子の幽霊を見ていると感じているが,結衣子は事故の衝撃で未来へトリップしてしまったのだろう。3月12日吉野の蔵王堂に行くと,行方不明の小学生が現れ,あの人の頭の中にいたのだという。GPSを手掛かりに車を走らせると木蓮寺という廃寺に結衣子はいた。しかし,起きているのは数日に一度となり,今は夢の世界が殆どとなっている。この世が結衣子にとっては辛い場所であるからを浩明は分かっていた。結衣子は自分の見る恐ろしい夢を変える方法を探していたのだ~ 読み始めてからも主人公の名前も定着せず,話題の中心となる女性を巡る不可解な事件の内容も分からずという按配で,あれ?読み飛ばしていたのだろうか?という不安を感じさせる。名字は後で,事件の内容も中段ではっきりするのだが,読者に不安を与えるという意図があるならば大成功だ。SFとオカルトっていうのは馴染めないなぁ・・と思っていたが,読んでいる時期の変な夢を憶えていて,あれあれ影響を受けているぞっと自覚する。この本のタイトルは「ゆめたがえ」かと思い続けていた
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ニヤニヤが止まらない。好きだ。大好きだ。道中ずっと次の展開が予想できなくて、「次はどうなるのどうなるの?」ってわくわくして、でも同時に物語全体をまたぐ得体のしれない不気味さにドキドキしながら、一人悶えるように読んだ。
ただ、読み終わって初めてわかることなのだけれど、この話は恋愛小説なんじゃないだろうか。ストーリーの雰囲気や奇妙な事件に隠れているけれど、それを取っ払ってみると兄の婚約者との禁断の恋ですからね。
この夢と無意識を題材にしているところが個人的にツボだ。集合的無意識を背景にした「夢は外からくる」ってのは私もかねがね思っていたけれど、逆に夢を通して干渉する発想は無かった。
恩田さんの物語にはよく花が使われる。
花の名前とかは覚えていないのだけれど、「花が出てきた」という事実だけは強烈に印象に残っている。映像演出でしばしばあるモノクロの世界に一点だけ色がついているみたいに、花が浮かび上がってる。
本書では白い「水仙」だけれど、読んでいる最中に水仙の文字がずっと頭にこびりついて離れなかった。
もしかして恩田さんは花から発想を膨らませているのかな、と感じる。あるいは、物語作りの初期段階で花を結び付けていたり。登場する花の花言葉を見ているとそう思ってしまう。
意識と無意識は、しばしば海に浮かぶ氷山に例えられる。海面から出ている氷山はほんの一部に過ぎず、後の大部分は海面下にあるってやつ。だけど、海面みたいに「意識と無意識の境界線」はそんな明確にあるわけじゃなくて、むしろマーブル状に混沌とした混ざり方をしている。夢を通して、人々の集合的無意識に干渉できるならば、幽霊が見える(意識)できるようになるってのは、あながち間違っていないのかもしれない。
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眠った時に見る「夢」を映像として再現して見ることができるようになるという設定。
そう書くと、自分の夢を見られちゃうなんて恥ずかしいわという気分になるけれど、この物語はけしてそんなうれしはずかし♪な雰囲気ではない。
あくまでもSFっぽいミステリーっぽい、ホラーだ。
最初の章の「幽霊」を読んだ時に、ゾクッがマックス最高潮に達してしまった。
続きを読むのが怖すぎてつらい…。
でも、続きを読まないと気になって眠れない…(いや、サクッと寝ましたけれど)
ストーリーの中で、ラスト以外は少しも気が休まる瞬間がない。
「古藤結衣子」という予知夢を見てしまう人が、とある事故で亡くなったのか亡くなっていないのか。
彼女の気配がいたるところで感じられるのだ。
どこからともなく聞こえてくる音楽であったり、窓ガラスに映るものであったり、監視カメラの映像であったり、子供たちの夢の中であったり、さっきあったはずの花が違うものに変わっていたり、その花の匂いがふっとしてきたり、突然音もなく少女が教室に現れたり、神隠しのように人が消えてしまったり、吉野の桜が夢にも現実にもパッと広がったり、霧で前が見えなくなってその中に… とか
もう、とにかくゾクッの連続で、ここまで五感を刺激してゾクッとさせる恩田氏を、改めて尊敬してしまう。
しかし伏線がありまくるわりに、その回収もれが多くて最後まで読んでもスッキリしない。
結局、山科早夜香という少女はなんだったのだろうか?
忽然と消えた奈良の学校の子供たちは、なんで消えてなんでまた現れたんだろうか?
このスッキリしない感じがいかにも恩田氏という気もするが、スッキリさせてくれたほうが読後感はいい気がする。
ちなみに最後のほうの舞台が、以前住んでいた奈良だったので、情景が浮かんでイメージしやすかった。
あと、表紙の絵が見れば見るほど怖すぎる!!
朝起きたときに最初に目に飛び込んでくると怖いので、ソファーの上に本を置いておくも、クッションで隠しておいた私だった。
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恩田さんの作品はなんでこんなにひきこまれるのか?
本当に不思議・・・
恩田さんは、人が無意識に恐れているものを抽出する。
「怖いもの」として意識してなかったけど、
話の中に出てくることで、
「あっ私これが怖いんだ」って気づかされる。
読んでいる間ぞくぞく感がとれないから
こんなに一気に読んでしまうのかなぁ。
八咫烏怖い。。。
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久々の恩田陸。ちょっと微妙かなあ。いい雰囲気の世界なんだけど、テーマは何?という感じ。雰囲気はあるんだけど、一本筋が通っていないと言うか、ねえ。