0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の最も得意とするところと推測する、ノノウの役割を、天地人よりも更に明確に掘り下げ、真田の情報量の多さ正確さの源を明らかにする。本書は、あまりなじみの無い幸隆の苦闘を出発点としている。三代の三者三様に描く火坂マジックに堪能。上下巻の厚みを感じさせない。
親を超える息子たち
2011/12/05 22:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある程度成長すると、息子は父親を批判的に眺める。そして考える。「俺は親父のような生き方はしない」と。そして不思議なことに、彼等もまた息子をもったときに、そうと知らず息子から同じような感想を抱かれているのだ。当然と言えば当然だ。息子は父親がどんな苦労をして現在(いま)を築いたかを知らないし、気付いた時には身の周りにあった豊かさを得るために、父親が何をしてきたかを推し量るなど及びもつかない。
真田三代の男たち―幸隆・昌幸・幸村―を描いた本書にも、現代に通じる親子の認識の違いが描かれる。武田信玄が攻めても落ちなかった砥石城を、奇策を用いて落とした真田幸隆は、武田譜代衆に気を使いながら、やっとのことで手に入れた領土を守り、三男源五郎(後の昌幸)を信玄のもとへ人質として送り込む。いつも朋輩にへこへこしている父の姿しか見ていない昌幸は、砥石城を得れば念願の領土が貰えると言われて「おのが道を切り拓くとき、目の前に立ちはだかる壁は、高ければ高いほど見返りも大きいものよ(p10)」と高揚する若き日の彼を知らない。だから「同じ命を懸けるなら、天下を相手に喧嘩をするほどの大勝負がしたい。それでこそ乱世に生を受けた意味がありまする(p163)」と保身に汲々とする父に反論する。ところが幸隆の死後、武田家滅亡により、昌幸は頼りにしていた兄も失い、父と同じように真田家を背負って立たなければならなくなる。その時初めて、自身の甘さに気づくのだ。そしてまた昌幸の生き方も、義を尊ぶ息子幸村から批判されるようになる。
現代社会の父子像とどこか重ね合わせて読んだ。
弱小一族の悲哀を感じながらも、真田家の意地を通そうとした男達と、彼等に寄り添った女達を描いた歴史小説。著者の『天地人』で登場したあの方も再登場。
投稿元:
レビューを見る
真田幸隆、真田昌幸、真田信之・幸村兄弟と続く真田三代記。
上巻は幸隆が信玄に仕えてから、武田家での地位を確立していくところから、昌幸が信長死後の上州での領地安堵に奔走するまでが描かれています。
知略・謀略に優れた真田家という解釈からか、人物描写中心で合戦そのものは軽く扱われている関係上、今ひとつ躍動感に欠ける気がします。
投稿元:
レビューを見る
武田、織田(徳川)の時代の流れに上手く渡りあって信州の小土豪:真田家を守り抜いて生きた幸隆→昌幸→信幸、幸村兄弟までの3代を描く、武田家の信玄、勝頼に従い武田家滅亡と共に上手く織田に取り入り秀吉時代までの信州で徳川、北条、上杉の狭間で生きる時代までが上巻だ。何だか時代の風を読み立ち位置を選んで生き抜く姿は、肌に合わずいまいちの内容だ。
投稿元:
レビューを見る
真田幸隆・昌幸・幸村の三代にわたる物語。
人気のある真田だけに読む方の目もシビアなので、レビューを見ても結構賛否分かれているようですが、私は割と楽しく読むことが出来ました。
ただ、上巻は幸隆から昌幸にかけての物語でまだ幸村がほとんど活躍しないので、『真田十勇士』で育った世代にはちょっと物足りないかも知れません。
それと、信玄を“お館さま”と呼ぶのが幸村じゃないのが『戦国BASARA』ファンとしては寂しいところですね。
投稿元:
レビューを見る
弱小勢力が3代に亘って上野の所領を守るために隆幸、昌幸と「表裏比興の者」と言われながら武田、織田、北条、徳川、上杉、豊臣と主君を次々に変えて弱小勢力を守ってきたが、幸村が直江兼続との親交を深め「義」の何たるかを知る。
己の義を天下に示すために、関ヶ原、大阪冬の陣、夏の陣で徳川家康と正面切って戦う姿は痛快。
真田家を地方の土豪から大名に成長させた昌幸、それと対照的に「義の人」と言われる幸村が己の筋を貫いたという一点は共通していると思う。
投稿元:
レビューを見る
人は信用してはならない。しかしたまには義を重んじるべし。
策略家の真田氏ですが、幸村は義を重んじる…のか(←下巻を読もう)。
「知恵のいくさなら、小が大を倒すことも十分に可能と」幸村
投稿元:
レビューを見る
作家得意のフィールドの作品で、冒険が無かったです。自分が持っている真田家のイメージ通りで、伏線もインパクトが薄かった。手堅いと言えば、手堅い作品です。
投稿元:
レビューを見る
真田幸村が直江兼続をあが崇め過ぎ。
猿飛佐助・霧隠才蔵・三好兄弟等の真田十勇士が出てくるので歴史小説ではなく時代小説というべき。
事実に即した歴史小説を期待していたのだが、その点は個人的に少し残念。
しかし、それならそれで時代小説として読めば良いのだが、真田十勇士の名前を出す割には、真田十勇士にほとんど活躍の場面は無くて、幸村との会話は佐助を相手にしたものだけ。消化不良な感じ。
投稿元:
レビューを見る
真田幸隆⇒真田昌幸
上杉、武田、北条といった大勢力の狭間で
必死に土地と人と名前を守った小土豪。
上杉・武田が衰退したと思ったら、織田、徳川の台頭。
知恵を絞り、人の心を利用して生き残った。
兄弟関係が、なんだか好きです。
兄・真田幸隆 と 弟・矢沢頼綱
兄・真田信綱 と 弟・真田昌幸
兄・真田信之 と 弟・真田幸村
兄弟には、仲良くいて欲しい。
最近、忙しくて本を読んでいる暇がない・・・。
投稿元:
レビューを見る
真田三代というと、真田幸隆、昌幸、幸村(信繁)という組み合わせが多く、昌幸の長男である真田信之があまり目立たないです。
が、この本では昌幸の時代にいくつか活躍の場面があったので、うれしかったです。
全編に渡って語られているのは、小大名である真田家の誇り、信じる道についてです。
この誇りは、各人によって内容が異なるのですが、根底には小さな勢力である真田家をどう絶やさずに過ごしていけるか、というところがあったように思えました。
↓ ブログも書きました。
http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-37b9.html
投稿元:
レビューを見る
真田三代…昌幸・幸村を中心として物語か展開されることが多いが、武田に仕えた幸隆の時代は中々ないが、でも昌幸の生き方はこの人の生き様からきているのかもしれない。いかに乱世の戦国時代を生き抜くか…悪い言い方をすれば長い物には巻かれろ的な生き方はある種賢く緻密な考えだと思う。真田の所領である沼田を奪われ、家康との因縁、そして上田城の築城…さあ下巻、よく知る家康との戦いへ繋がっていく。