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▼「黒と白のジャズ史」中山康樹。2011年平凡社。中山康樹さんは自分などが読む<シロート向けのジャズ本>でよくお名前を拝見しますし、何冊か読んだことがあるんですけれど、これはとても面白い一冊でした。主に、ブルーノートと言うレコード制作会社の歴史について書かれたものですね。
▼アルフレッド・ライオンというドイツ人(当然白人)が、1940年代から70年代くらい?レコードとしてのジャズの黄金時代に、白人から社会構造として差別されてきた黒人たちがそのメンタリティをどこかしらかぶつけたジャズ音楽を好んでプロデュースしてレコードを作って世界に広げた・・・というような言ってみればとある文明の数奇な歴史物語ですね。
▼唯一、ちょっとタイトルが違和感ありますね・・・読了して見ると。黒と白、という対立項の前提にあるべき差別という歴史物語と、その当時のアメリカ社会での現実・・・についてはほとんど触れていません。まあそういう取材をしてきた訳ぢゃない、あくまでジャズの話だってことなんでしょうけれど。
▼中山さんが別のところでも書いていた気がしますが、謎めいた<芸術至上主義>の音楽の歴史よりも、<どれだけレコードが売れたか>というリアリズムから、あるいはそのリアリズムへの目線も忘れない歴史という物語の楽しみ方は、ジャズを楽しむ上でも素敵ですね。