紙の本
ホラーというよりは幻想文学
2012/02/08 02:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さとる - この投稿者のレビュー一覧を見る
乙一氏の別ペンネームであるとのこと。
ホラー・幻想文学とも言うべき作品が集められている。
『黄金工場』『鳥とファフロッキーズ現象』に見られるおぞましさ、得体の知れなさにそれらしさを感じ、とてもクセになる。
最近はすっかり中田永一名義での恋愛小説の印象が強くなっているけれども、こういった仄暗い作品ももっと読ませて欲しいと思わずにはいられない。
このクセのある恐怖や感覚の異常というものも、氏の作品の驚異的な点であったと、デビュー作を思い出さずにはいられない。
山白朝子名義での更なる活躍を期待せずにはいられない作品集である。
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読み終えるのに時間がかかった。
『鳥とファロッキーズ現象について』が好き。と思ったらこれ、いつもの乙一だ。
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乙一さんのホラー! 暖かく民俗的な雰囲気のムラに突如現れるグロテスクでわけのわからない『なにか』。文体がやさしいから、怖いのに不気味なのに読まさせられてしまう。井戸に住む美女の話はなんとなく『砂の女』を思った。食人鬼の話が一番怖かったが割とお気に入りの話。
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怪談というより、おとぎ話という感じの短編集。
直接的なショックよりも、じわじわ来る怖い雰囲気が満ちている。
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たんたんとした幻想的な世界が広がります。
未完の像では夢十夜をおもいだしました
鳥とファフロッキーズ現象のラストがとても切なくなります
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恐ろしいながらもどこかしら優しさを感じさせる、幻想的な怪談短編集。
お気に入りは表題作「死者のための音楽」。この音楽、聴いてみたいような気もしますね。もちろん怖いのだけれど、惹きつけられるものもあります。きっとこのうえなく美しいような気がする……。
「黄金工場」も好き。これはこの中で一番怖いと思った物語。欲と嫉妬と復讐と、すべてが満たされてしまうあの手段は……しかし目論見どおりでないというところもまた読みどころ。
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怪談という事で、この表紙(怖い・・・)。
さぞや怖いのだろうと思ったら、そうでもなかったですね。
どちらかというと、「幻想的」かなと思いました。
親子・兄弟などの絆が描かれた短編集。
切なく静かに淡々と語られる感じで、じわ~っと沁みてきます。
一番好きだったのは「鳥とファフロッキーズ現象について」です
1番現実的かつミステリー要素もあって面白かったです。
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乙一の別名義短編作品集。
親子・兄弟の「愛」を謳った作品で、特に母と娘の対話形式で描かれた、表題作でトリを飾る「死者のための音楽」は、相手を思う気持ちがストレートに伝わってきて感動しました。これだけでも一読の価値あり。
あと、「鳥とファロッキーズ現象について」も良作です。
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怪談話集かと思って読んでみたら、奇譚話集だった。
人の心の奥底をくすぐるような、ちょっと不思議な7つの短編が収められている。どのお話もどこか悲しく優しい。叙情的で懐かしい気分にさせられる。社会的な弱者に寄り添う視点も共感できる。
ただ、どれも面白い発想ではあったが、お話の展開に毒とヒネリが弱く、なんとなくそのままの流れの中でフェードアウトしていくような感覚があった。つまらなくはないが、物足りなかった。
「長い旅のはじまり」
ふむふむ。なるほど。子供を身籠った原因が面白かったな。
「井戸を下りる」
ふむふむ。なるほど。下りたんだね。
「黄金工場」
黄金に比するものは生命しかない。不条理物の秀作。
「未完の像」
やはり悪を通してしか神や仏には近づけないのかもしれない。
「鬼物語」
守る。守られる。そこに命を懸けた、また懸けられた責任がある。
感情移入のない鬼の所業の描写が怖い。
「鳥とファフロッキーズ現象について」
鳥が愛しくなる。そこにあるのは善悪ではなく、忠心。善悪の判断は立場によって変わるが、忠心はどこまでも変わらない。
「死者のための音楽」
残された手紙。綴られた音楽。甘美な死への憧れ。ふむ。
正直、乙一だと思って読むと期待はずれ。新人作家だと思って読むと今後に期待できる感じ。全体的な世界観はむしろ「夜市」の恒川光太郎を思い出した。
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特に期待もなく買って読んでみたけれど、読み進めて行くうちに…お、面白い!
怪談なのかミステリーなのかはともかく、どの短篇も引き込まれるような世界観、居心地の悪い不安感、そして何かが取り残されるような結末というとてもすっきりとは言えない読後感でありながら、なぜか妙に満足感は感じられる。
これで処女作かよと思ったら、著名作家の別名義の作品とのこと。なるほど。
どうも乙一さん説が有力らしく、自分も多くは読んでいないがどことなく通じるところも感じられるので乙一さん説に一票入れたい。
が、今まで読んで乙一さんの作品よりこの作品の方が面白かった。
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乙一のホラー名義の著作。
もともと乙一すきなこともあるが、心に残る感じは健在。
暗い、淋しい、雰囲気が全般にありながら、
ただそれだけで終わらない。
面白かった。
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著者のことなど、全く知らないで読んだのですが、うーん星はふたつかなあひとつかなあ、名前は聞いたことがないからデビューしたてでこれから成長の余地はあるのかも知れないけれども相手はプロなんだし、それにこのもやもや感はどうしてくれる、という辺りで星一つの暴投です。別名義の著者名だと知ってたら、好みの世界観と同じようで微妙にずれているのが明白だったので、購入を再検討しただろうなあと思いました。……しかし、それを込みで別名義ならば、星一つでごめんなさい。作者の世界観と似たようなところが好きな分、好みでない部分がもの気になってしまいました。
後半は尻上がりによくなっていったのですが、前半、とみに冒頭の「長い旅のはじまり」は、テンポも速ければ展開も早く、描写も粗いように感じました。会話文で展開を引っ張って行っている点も初々しく拙い感じ。クライマックスで明らかにされる処女懐胎の理由は、それを神秘と感じるかどうかで好みが別れそうですが、自分はあまり良くない・神秘ではない、という判断だったので、冒頭からげんなりです。
続く「井戸を降りる」も、井戸の中の女自体の描写は美しいのですがやはりヤった犯したの話が重要な要因となっており、二作続けての展開に読むのをやめようかと真剣に考えました。妊娠する、子供を産む、というのが全編に通底するテーマなのではないか(「未完の像」と「鳥とファロッキーズ現象」に付いては外れる物の、後者は父と娘の日常生活、及び税理士との恋があるので、かかわりが無いわけでもない。「未完の像」については気の中から仏像を掘り出す≒誕生、と少し遠め)と思うのですが、なんだかなあと思ったのも事実。とにかくこの二作品が大きなマイナスのように思えます。
続く「黄金工場」はミダス王の逸話を思い出させる一編。妙に社会問題を感じさせる点が引っかかりはしましたが(社会問題を取り扱うことについては良いも悪いも無いのですが、短編という短さや、工場についての説明がややあっさり過ぎる気がして物足りなさ、都合の良さが感じられないわけでもないとう欠点もある)黄金になっていた黄金虫が再び生き返って飛んでいくというひねりは面白い。ただ、その結果発生したぐちゃぐちゃどろどろの死体をわざわざ描く必要はあったのかどうか疑問。ここもやはり好みが別れるポイントでしょうか。
「鬼物語」については結局何だったんだ、という感。うーん、これは人物を愛でるタイプ? 鬼の正体がさっぱり分からない(描写はあるのですが、出現する理由について今ひとつ腑に落ちない)ので、ダンゴムシが丸まったと言って泣く弟に萌えるくらいしか楽しむ余地がないような。視点を切り替える意味が個人的には把捉し辛いです。
「鳥とファロッキーズ現象」は割合に良く、つきもの系統の定石に則って中盤は展開されていますが、それに至るまでの序盤の鳥の描写が丁寧で好感が持てます。終盤で明かされる犯人の正体とその後の展開は若干チープ、ただし鳥は悪くない、といったところ。
表題の「死者のための音楽」は語り口のその技巧から、ものすごく乙一っぽいな――と思った一作。乙一が好きな方は��常に楽しめるかもしれません。悪くはない、技巧としては非常に上手いのですが、自分にはどうも苦手な感じの文章です。
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怪談というより、ホラー小説でした。物語は静かに進むのに、物を言わせぬ恐怖を感じるところが魅力だと思います。
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いつもと違う乙一が読めたなーってかんじ
乙一って名前のプレッシャーを捨てて自由に書いた話も良かったけど、いつもの書き方のがやっぱり好きだなと思った
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怪談、と言うには、美しく、切ない、7つの短編集です。
半分ネタバレをすると、某作家さんの変名での作品なので、読んでいると、ああ、それっぽいな…という感じがします。
どれも、怖い、というよりも、悲しい、切ない、という感じが強いので、読後、ふっと、泣きたくなりました。