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新社長の「社長に指名された後に読んだ本」で挙げられていたので読んでみた。「資本主義はなぜ自壊したのか」は立ち読みしただけだったと思うので中谷さんの本として読むのは実質初めての本となる。
ポイントは以下、
欧米の資本主義はフロンティアの収奪に価値の源泉があった。
欧州危機とは通貨の統一のみによって、EUの辺境(フロンティア)が中央に収奪され、ウェストファリア体制が前提としていた国家観では回収できない問題が生じているということ。
そのなかで中国が投機的な資金の流入を防ぐ保護主義を意識的に選択し、実需に基づく成長を実現したことは評価すべき。不動産バブルも一定以上抑制効いていると認識。
グローバル人材とは語学力だけでなく世界のみ歴史文化に深く洞察を持ち、相手との個人的な信頼関係を結ぶことのできる人間。背骨になるような世界観を持つことが必要と理解。
贈与の経済を復活させるためにはなにが必要か?(ここは懐古主義的だが趣旨は納得)
原発については脱原発を掲げ規制のなかで技術を発展させてきた日本の力を信じて新エネに傾注すべきとの議論。中沢新一を中心に引用。
一方で安全保障の観点からは核が捨てられないため部分的には政策的に維持するべきというのが現在のポジション。自ら分裂を認める苦しい書き方には非常に共感。
総じて不識塾を主宰するなかで培われたと推察する、広い視野からの教養のストックが伺えバランスがよい。思考をキックしてくれる良書。
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「グローバル」とか「資本主義」とか「競争社会」とか「一神教」とかそういうものに何となく違和感を覚えていて、「信頼」とか「和」とか「多神教」とか「降りてゆく生き方」とかそういうものに何となく惹かれているのだけれど、何でと問われるとうまく説明できない人が読むと勇気づけられるのではと思う本でした。
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資本主義以後の極近代の日本とそれを取り巻く世界の状況、世界と日本の比較を解説し問題点を指摘している本。欧米に追い付け追い越せからこれから先の時代再び日本が日本らしく国際的な折り合いや進む方向を今一度考えかせられる。ただグローバル化をするに当たってなにを残し何を変えるのかとても難しい問題である。が、日本の日本らしさ、地域コミュニティ、農村の役割等誰かが見つめ直し、人々に訴えかけていかねばならないと感じた。西洋の神と自然についての考え方は興味深かった。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長の中谷氏の著書。
「資本主義以後の世界」がどのような世界になるかという問いに、著書が答えを提示します。
著書が考える答えは、「交換」から「贈与」への転換。そして、それを日本主導で行なう、というもの。
その答え自体には、特に新鮮さはありませんでしたが、資本主義について深く分析した内容には、勉強になるポイントが多くありました。
本書によると、そもそもコロンブスの新世界発見以来、西洋主導の資本主義が驚異的な発展を遂げたのは、世界に巨大なフロンティア(アメリカ新大陸、アフリカ大陸、オセアニア大陸、インド、中国、中東産油国など)が開けていたからです。
しかし、戦後世界においては、それまでの時代と違って、西洋による非西洋諸国からの一方的な富の収奪、蓄積は困難となり、世界のフロンティアも次々と消滅していきました。
これによって、先進国の資源支配力は弱まり、先進国から見た「交易条件」は次第に低下し、先進国経済の利潤率、ひいては、経済成長率を低下させていったのです。
そして、今や、世界の資源価格は新興国の勃興とともに高騰し、かつて先進諸国が享受した余剰利益をひねり出す好都合な世界は消滅したと言えます。
このように領土的な意味での成長のフロンティアは第二次世界大戦終了をもって消失しました。
では、覇権国アメリカはどうしたか。
アメリカは、「金融空間」という新たなフロンティアの創出に成功したのです。
それによって、20、30年の栄華を楽しむことができました。
しかし、それもつかの間の夢。
リーマンショックによって、「金融空間」という新たなフロンティアも消失しました。
「領土的」なフロンティア、「金融空間」としてのフロンティア、ともに失った資本主義諸国は、明らかな成長の限界に到達したのです。
これまでのように順調には成長を続けることができなくなった訳です。
それが今我々が置かれている厳しい世界経済の現実に他ならないのです。
本書を読むと、我々が当たり前のように受け入れていた、「資本主義」というシステム自体を見直さなければならないタイミングが来ているのだということを強く感じされられます。
確かに、近年の世界情勢、経済状況などを受け、多くの人が本書と同様に、資本主義の次へ進むべきだと訴えていますが、ここまで過去の歴史を振り返り、体型的に資本主義を分析した本はありませんでした。
やはり、未来を見つめるためには、過去を見つめることが非常に大事だということです。
是非多くの方に本書読んでもらいたいと思いました。
なぜなら、実際に資本主義の次に進むのは、我々なのですから。
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2013/12/19:読了
読んでいて為になった。
70ベージ で紹介されている 「銃・ 病原菌・鉄」は、
読んでみる必要がありそう。
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基本的に、ちょうど手前で読んだ本と根本は同じ、というか同じところろを参照にしてるから当たり前やけど。
結論としては、「交換」による市場経済をこれ以上押し進めるのではなく「贈与」に基づいたものを取り戻すべきではないか、そのために日本はこの転換を率先する能力がある。
って感じ。
確かに、交換のみの市場経済だと「値がつかない・つけれない」ものは無価値、であり、本来価値のつくべきではない「人」にも値段がついてやり取りされてしまっている。ここにアクセスできなければ、社会から容易に排除される仕組みになっている。と、筆者の中国の西から東への横断旅での経験をもとに述べている。
そしてこのまま排除の状況が進むと、社会が成り立たなくなってしまう、ってのは直感的に理解できる。
他には一神教と原発を関連付けていたりするなど、他では見れない理論が述べられていて興味深かった。原発政策については良いところやと思う。マイクログリッドで再生可能エネルギーでの効率は上げることができる、しかし一方で安全保障の観点から原子力の研究は続けるべきだと思う。むしろ、日本だからこそ研究は続けるべきだし、新聞にも出ていたけど、完全にゼロにするとプルトニウムの大義名分が消えるらしい=他国から危険。
という経済理論の一方、グローバル人材・企業、日本企業の強みなどについても述べられてありとても魅力的な本だと思えた。教養主義者ではないけど、やっぱりいろんなこと知ってないと、英語が喋れるにこしたことはないけど、だからといってしょうもないことばっか喋るくらいなら、通訳でもつけたらいいし、そもそもそんな人が海外へ行く必要はないと思う。帰国子女でもない限り、日本語で考えられる⇒英語、という順序じゃないと。
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資本主義以後というよりも3.11以後よ方が名前としては正しい。過去の歴史を紐解き、ジャック•アタリの提示する未来予想を筆者の視点でまとめたものである。
私は経済や政治に疎い。というよりもどちらかと言えば避けてきた方である。筆者の主張は、対米国•対中国のスタンス、そして、反原発らしい。それを3.11を受けてまとめたものである。
個人的に気になるのは、途中から根拠は特に示されずに、筆者の主張の羅列になってしまっていることである。また、提案もしているし、自分としてもなるほどと思える主張なのだが、そのメリット•デメリットの考察が不足していると感じる。
今の時代、世相を感じるための本であろうか。
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自身に対する自戒の念を込めながら読者に発想の転換を迫ってくる。感覚的な物言いも多くて拒否反応も出てしまうけど、納得できる点も多かった。
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資本主義の発展の歴史をスペイン、オランダ、英国、アメリカの盛隆とともに解説しつつ、バックボーンとしての一神教との関連を解りやすく解き明かす前半部分はとても参考になる。また、欧米の資本主義が日本に進出する結果として必然的に起きた摩擦(戦争)や、戦後の米国の経済力の低下とともに日本に対する米国からの経済的圧力が高まったという歴史的な流れについての解説もわかりやすい。
著者は新自由主義経済ではなく、いまいちど日本の古来の和に基づき自然と共生する社会を取り戻すことを提唱する。特に震災後、いろいろな人からよく聞く主張であるが、本当に具体的に政策、施策として落とし込むことを考えると、どこまで現実感のある提言なのか、この点については若干の疑問はある。
大きな流れの中で資本主義や歴史を捉える教養書としては、優れた1冊だと思いました。
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地理・金融・自然フロンティアの消失で資本主義が行き詰まり、所得再分配の余裕がなくなった。危機克服には、市場取引を正義とする交換の思想を改め、人類固有の贈与の思想への転換が必要。西洋的人間至上主義から、自然に対しして敬虔かつ謙虚になるべし。
私塾で10年、講師、企業の中堅である250名を越える卒業生との議論の成果というのが、あり得る未来なのかということに対して、希望を感じさせてくれます。
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【由来】
・「はじめてのマルクス」で佐藤優により言及されていた「資本主義はなぜ自壊したのか」をMediaMarkerで登録しようとしたら関連本(?)で出てきた。
【期待したもの】
・「なぜ自壊」よりこちらの方が面白そう。ブックオフで妙に安いので、これは買って書き込んでいいかも知れない。興味のスコープは、「アメリカ以後」のパワーバランスというのをあちこちで目にするようになった昨今、「資本主義」すら「ポスト」が語られるようになっているのか、しかもそれを近経の大御所が、どんなことを言ってるのか知りたい、ということ。
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
・
【ノート】
・
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著者は銀行系シンクタンクの理事長。経済情勢というより、文明論のような内容で、歴史認識も述べられている。本の引用が多くレファレンスとしても役立つが、議論は具体的な裏付けに欠ける部分が多かった。後半は読み飛ばした。
モノづくりで日本やドイツに勝てなくなり、金融立国にシフトしたアメリカは、グローバル資本が国境を自由に出入りできる金融市場を構築するために、小さな政府、民営化、規制撤廃の3原則を基本とするワシントン・コンセンサスをグローバル・スタンダードとして浸透させる外交を進め、IMFや世界銀行による支援の条件とされた。
日本に対しては、1980年代に構造改革の呼び声の下に企業系列の解消と市場開放を求めはじめ、1990年代には年次改革要望書を突き付けてきた。著者は、90年代の官僚つぶし、田中角栄や小沢一郎の失脚もアメリカが裏に潜んでいるとみている。
西洋が新大陸の開拓を進める際、国家は商人から資金の融通を受け、商人は国家の軍事力を頼る形で、国家と商人が結託し、この形は帝国主義や植民地主義でも続いていった。現在のアメリカでも、金融と国家はほぼ一体化している。
中国では、隋の時代に導入された科挙による官吏登用システムが続けられてきた。門戸は広く開かれていて、合格すると莫大な富を手にすることができたが、世襲は許されなかったため、西洋のような大富豪は生まれなかった。国家は蓄積された富を没収したため、その前に海外に財産を移して華僑となった。
西洋の資本主義は海外から富を収奪することによって発展したため、資本集約的になった。一方、中国では資本は不足し、労働力が豊富だったため、労働集約的になった(勤勉革命)。
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資本主義の歴史、特徴、影響等を確認し、経済体制のあり方について述べられた本。欧米社会に根付いている資本主義一辺倒の体制を批判し、日本的経営の良さについて強調している。中国経済も評価している点が印象的。
「現在、競争力の残っている日本企業の多くは、取引者間の信頼関係や長期的取引関係を重視し、日本企業ならではの競争力の源泉を崩さずに維持している企業が多い」p128
「失われた20年と言うが、この20年の期間に本当に失われたものは、「長期的な信頼関係に基づく日本の経済システム」「優秀な官僚機構」「大銀行のパワー」なのではなかっただろうか」p138
「エリート・マネージャーがとてつもなく高い給料を取り、現場にもろくに出ていかないという欧米型企業組織に比較すれば、「勤勉革命」によって支えられた日本や中国の場合は、比較的階層性が少なく、現場が強い平等な組織になっている」p178
「(中国の不動産について)住宅ローンも普及しておらず、高額物件になればなるほど、現金決済が多くなるという」p183
「たまたま浮動票によって人気を集めて当選した民主主義国家の政治家に比べて、長期にわたる厳しい選抜を受けてトップに上り詰めた中国共産党幹部の方が、政治家としてはるかに優秀である可能性は高い」p187
「はっきりしているのは、中国経済が言われているほどに脆弱ではないことだ」p189
「現代の日本経済における最大の病気は、地方の疲弊である」p245
「日本の企業人は真面目だし、能力の高い人が多い。しかし、世界を見る目がない、世界に通用する見識が不足している。まずもって、日本のことを知らない」p263
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1.この本をひと言でまとめると
資本主義の転換点が来ますよ。いつか分からないけど。
2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度
・中国共産党のように、長期のテストを経てトップが選ばれるような現実的な制度の開発が必要ではないか(p189)
→衆愚政治に陥る点がないところは一考の余地があるのかもしれない。日本、ギリシャがよい例。
・ 経済的価値と社会的価値に共通の価値を創造することこそ、企業のあるべき姿(p242)
→ポーター教授の転向は知らなかった。社会のことを考えない企業が生き残れないのは当然のことと思う。
・脱原発という理想論一本やりではサバイバルできないという現実がある以上、私のような折衷案も存在意義がないとは言えない(p298)
→現実をみない脱原発には反対なので、とても現実的な案として受け入れられた。原発を2〜3基残すのではなく、原発なくして原子力潜水艦を持つという案もある。
3.突っ込みどころ
・日本は「文明の転換」を主導できるか について、どのようにすれば転換できるか具体策が少しでもほしかった。
・「99%対1%」の対立(p56)を批判的に書いておきながら、「真のグローバル人材」は、・・・5〜10%いれば十分であろう。いや、現実には1%でも十分かもしれない。」(p258)というのは矛盾しないか?
・中国における投機資本の取引規制が、実物取引のための資本流入を阻害しているという証拠はない。(p330) →これは中国が巨大なマーケットを抱えているから、取引規制に文句を言えないだけではないか?日本が同じことをすれば報復処置をとられ、実物取引に影響与えるはずである。
・日本の食糧自給率40%(p336) →これはおそらくカロリーベース。カロリーベースの自給率で比較する国はほとんどない。金額ベースなら70%程度。
4.自分語り
・反グローバリゼーションの偏った本かと思いましたが、現実的で受け入れられる考え方もあったのでこれまでと違う視点を学べたという点ではよい本でした。
5.類書
・反書として
「グローバリゼーションを擁護する」ジャグディシュ・バグワティ (著), 日本経済新聞社 (2005/4/21)
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資本主義の発展、グローバリゼーションには、西洋による非西洋の収奪の側面があり、その第一段階は1945年の日本敗戦で幕を閉じた、という世界史を俯瞰した視座は興味深い。それらいわゆる欧米列強の提唱する資本主義は、一神教が支配宗教であるという社会的背景にも要因を求めている。
CSRの考え方は経営そのものであり、専門組織を作っているようでは、まだお飾りに過ぎないということ。経営をとおしてCSRを実現するという、近江商人の三方よしの考え方に立ち返りたい。
後段のグローバル人材とドメスティック人材の区別には賛成。自らは前者でありたいが、求められる人材要件・期待される成果は極めて高い。日本発のグローバル企業として、何を強みとするか、さらにはそれを誰がマネジメントするか、は常に問い続けたい問いである。
東日本大震災以降、日本の社会・経済を見直し、世界的に交換思想から贈与思想にシフトしていくべき、というのは、日本の知識層における潮流なのだろうか。