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・米国による官僚つぶしと銀行つぶし
・中国に敬意を持って中国を学ぶ
・東北を知る、日本を知る、中国世界を知る
・共価値の創造
・不識庵
・贈与の浸透
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構造改革路線の生みの親であり、「構造改革」の急先鋒として知られた中谷巌氏。1月18日のある講演会でも「私は間違っていました」といきなり陳謝したことが話題になっていました。その真意を垣間見ることができる一冊。普段、日経新聞を欠かさず読んでいる方々には、これまでの価値の転換を迫る書になるかもしれません。グローバル資本主義がもたらせたもの---所得格差の拡大、地球規模で進む環境破壊、崩壊する社会の絆、その延長としての原発事故---ウォール街で起きた「99%デモ」も例に出し、今まさに「文明の転換期が来た」として、宗教的な論点も交えて、日本人にとっての本当の幸せとは何かを問いかけます。ただ、最後の主張の、日本こそがこれからの「文明の転換」を主導できる資質を持つとの指摘はかなり飛躍を感じましたが、デフレ20年ですっかり自信喪失の日本人にとって、そうした思いを抱くことは悪いことではないかなと思いました。
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著者の中谷巌氏は、2008年にグローバル資本主義との決別の懺悔の書「資本主義はなぜ自壊したのか」でを刊行したことで注目していたが、本書を読んでこれをどう評価したらよいのかと判断に迷った。少なくとも大いに興味深い書であるとは思った。
第1章の「資本主義はなぜ自壊したのか」において「グローバル資本主義」の根源的欠陥を指摘している。2008年のリーマン危機以降、アメリカのQE2、ヨーロッパのユーロ危機、日本の超円高が進行している現在において、その分析と主張は説得力がある。本書では「資本主義世界は大きな壁にぶちあたった」と主張しているが、これに同感するものは多いと感じた。
第2章の「資本主義はいかにして発展し、衰退したのか」において本書は「先進国経済が構造的長期低迷に陥った根本的理由」を1492年のコロンブスの新世界発見以来の歴史的考察から展開している。著者は、この考察について「水野和夫・茅野稔人『超マクロ展望~世界経済の真実』(集英社新書)、水野和夫『終わりなき危機~君はグローバリーゼーションの真実を見たか』(日本経済新聞出版社)」から啓発されたと記載している。この本は前者を2011年6月25日、後者は2011年12月30日に読了し、レビューに記載しているがタイムスケールが「超長期の内容で難解」であったと記憶している。本書を読んでこのような文脈で理解するのかとあらためて驚いた。本書では、「資本主義はすでに成長のフロンティアを失った」と歴史的使命を終えたと分析しているが、これはどう評価すべきか、あまりにも話が大きすぎると感じた。
本書では「西洋主導の資本主義、アメリカ主導のグローバル金融資本主義が行き詰まりを見せ」ている状況の中で、「文明の転換」が必要と主張している。その新たな文明についていくつかの視点を提起し、「株主資本主義からの脱却」「共通価値創造」などがあげられているが、その内容はあいまいであると感じた。「一神教」についての考察は、おそらく安田喜憲氏の影響を受けているのだろうと思われるが、これは文化人類学の範疇であるし、中国の分析等を読むと、日本ナショナリズムの匂いを感じる。また「戦略的脱原発」は政治的には左と一般には見られるだろう。まさに渾然一体であると感じた。
本書は前半は、経済書として興味深く読めたが、後半は文明論や中国論等がちりばめられており、評価は???とならざるを得ない。本書を読んで、「ここまで思考を広げなければ現在の経済危機は理解・克服できないと考えるべき」か、それとも「著者はここまでいっちゃたの!」と切り捨てるべきか、いろいろと考えさせてくれる本であると感じた。
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産業革命は近代合理主義のたまものでなく、海賊行為や奴隷貿易でなし得たなど歴史を多様に振り返ることも出来る名著
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・資本主義はどのように生まれ今まで来たのか、西欧の非西欧文明からの減量を安く仕入、付加価値を付けて高く売る、奪う側と奪われる側がいて成り立つ。
極東である日本もその西欧化の目的だったが抵抗にあい、1945年の敗戦までかかった。しかもその後は植民地の開放により、以前のやり方は通用せず、その結果、バーチャルなフロンティアを金融に求めていった、それで一旦は成功したがリーマンショックで不安定になり、今までの西欧・先進国は今後も低成長が続く。
その中で日本がどのような立ち位置になるのか、砂漠から生まれたユダヤ教は自然は敵で征服すべきもの、自然が恵みである日本は自然との共生、価値観が違う中で今後は日本が新しいものを発信していく必要があるのでは。
原発も自然の生態系から外れたものであり、扱うべきではない。
今後の世界を考えていく上で日本の持つ役割はとても大きいものであるし、それができるのも日本人である。
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筆者の意見には必ずしも賛成ではないが、資本主義の発達史を俯瞰する意味でとてもわかりやすく勉強になった。
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現代人は、市場を通じた「交換」が人間を幸福にすると考え、「贈与」の精神を忘れ去った。その結果、人間関係や自然と人間の共存関係が壊れ、社会の荒廃、環境の破壊などを招いた。
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今旬の話題が分かりやすい。どこかで聞いた論が多い気がしないでもないけど、整理されるのがよかった。特に中国については、点の情報だけしかないので、全体的にとらえて考える糸口になった。原発の安全保障については新たな観点だったわー。今後の提言の部分はやはりちょっと弱い感じはするけど、一人ひとりが当事者意識を持って考えていくこと(お上任せにしないこと)が一番大事だなあ、と思った。
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脱原発と安全保障―悩ましい課題に“超理想”の答え示す《赤松正雄の読書録ブログ》
中谷巌『資本主義以後の世界』は、前作『資本主義はなぜ自壊したのか』(09年2月21日付け読書録ブログ)につぐ姉妹編。この二作の間に、東日本大震災があった。もはや「文明の転換」が不可避であろうとの立場を表明する論者は多い。しかし、その多くは感情論の域を出ていない。そんななか、中谷さんは、絵空事ではないかとの現実主義者達の批判を承知の上でこれを書いた。
最終章の「日本は『文明の転換』を主導できるか」で、結論として「贈与の精神」を忘れているとの一点を挙げている。「資本主義という『生態圏』にとって異質なシステムを人間社会に持ち込み、本来商品化してはならない労働や資本、土地を商品化し、それを市場における『交換』の対象としたことこそ、現代世界の諸問題を生み出す源」として、「近代社会が『交換』思想に『汚染』され」てきたことを厳しく反省せよ、と。この指摘、共感する。
原発は、資本主義の具体的ツールとして位置付けられる。日本は、「『生態圏』の外から持ち込まれた異物である原子力エネルギーに依存するようになり、地上の太陽といって崇めてきた」と述べ、「戦略的脱原発政策のすすめ」を説く。脱原発が日本を再生エネルギー大国として蘇らせる可能性も小さくないと言い切る。ここまではいいが、最後に落とし穴に嵌っているように思われる興味深いくだりがある。
「日本だけが原子力発電をやめ、原子力技術から完全に手を引いてしまうと、原子力潜水艦や核兵器を作る能力を失ってしまう」として、二基でも三基でもいいから日本に原子力発電所を残す必要があるとしているところだ。「全面的に原発を廃止すれば、日本はプルトニウムを保有する言い訳を完全に失ってしまう」と。本人は、こう主張することに、「やや論理的に分裂気味」と議論の一貫性に疑問が投げ掛けられることに覚悟は示している。脱原発と安全保障のアポリアというのだが、はたして解決不可能な難問と棚上げしていいのか。
勿論、この問題は政党にとっても悩ましい。核の抑止力に依存してきた日本は同時に原発がその抑止力維持の裏付けをなしてきたからだ。一方で「核の廃絶」を主張しながら、他方で「脱原発」を言わないのは徹底を欠き、その姿勢が本物かどうか、疑問符が付けられよう。私は、「ポスト3・11」の今こそ日本は唯一の「被爆国であり、同時に被曝国でもある」という立場を真正面から掲げる時だと思う。
この書は随所に参考文献からの適切な引用が目立ち、知的興味を掻き立てられることもつけ加えたい。
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グローバル資本主義には、次の3つの根本的欠陥がある。
①資本の国境を越えた移動が、世界経済を不安定化する。
②資本の自己増殖のため、地球環境が汚染・破壊される。
③グローバル競争の結果、所得格差の拡大が起こる。
現代人は、市場を通じた「交換」が人間を幸福にすると考え、「贈与」の精神を忘れ去った。その結果、人間関係や自然と人間との共存関係が壊れ、社会の荒廃・環境の破壊などを招いた。
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最近、いろいろなところで21世紀は日本の出番とか、日本の役割が大きいというふうな話を聞くが、何をどうすればよいのだろうかと考えていた。本書にひとつの答えを見つけた。その答えとは一言でいうならば、
『「贈与」の精神を世界中の人々へ示すこと』だと思う。
印象に残ったところ
大事なのは、日本が「交換」から「贈与」への「文明の転換」を意識し、
資本主義が行き詰まった後の「資本主義以後の世界」を主体的に
構築していくことができるかどうかだ。世界史の大きな転換期にあって、
日本人が「文明の転換」を主導するためには、日本人自身が近代化の
過程で置き忘れてきてしまった日本の伝統的価値観を思い起こすこと
が必要不可欠なのだと思う。(346ページ)
市場主義=交換。交換が個人主義⇒孤立化を生んでいる。
過剰な「交換」の思想から「贈与」の精神への「文明の転換」こそが
現代社会のさまざまな問題を克服する上での前提条件。(344ページ)
新渡戸稲造「武士道」を書いた時、自身の労働の成果として報酬を
受け取るという考え方(成果主義)を唾棄すべきものとして否定した。
労働はそれ自体が「徳」なのであり、「徳」である労働をすること自体が
喜びであるはずだ、それなのに、労働の成果に対して報酬を期待する
という考え方は武士道に反するとした。(308ページ)
「成果主義」はもともと日本人になじみに薄い考え方。
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近代ヨーロッパが生み出した「等価交換」に基づく資本主義システムは、実は第三世界からの「略奪」により成り立っていたのであり、第三世界が縮小してしまった現代においては、新たな価値観に基づく経済システムを構築しなくてはならない、と主張する本。等価交換と略奪に代わる価値観は、「信頼」と「贈与」らしい。内田樹氏が昔から言っていることと同じように聞こえるが…。全体として何を言いたいのかよく分からない本だけど、局所的には日本人を心地よくさせるフレーズが散りばめられていて、読ませるのが上手いなという印象。
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考えさせられる事の多い一冊です。
そして数々のヒントも得られました。
過去の歴史からとらえる中国に対しての考え方。
今回の場合はこれが一番自分にとっての収穫となりました。
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ここ何年か読んだ中で、自分にとって最も意味があった本のひとつ。そこには、「グローバル資本主義は世界の人々を幸せにするのか」という自分の問題意識が、きれいに表されていた。しかし、この著者の書いていた処方箋は、自分にとって十分納得できるものではなかった。その代わり、他の本からヒントを得られた。
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読了。資本主義とは交換経済。歴史からみた資本主義の仕組み、宗教、外交問題などを分かり易く説明している。何回も読み返す事になるだろう一冊。結論は良く分からなかったけど、個人的にはそれでも資本主義の中でどうにかしてくしかないのよね、と思うけど・・・