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ジョン・ハートの新刊。面白かったです。これまでの作品と違い、主人公は組織ナンバーワンの殺し屋です。タイトルはマイケルと弟が幼年期を過ごした施設の名前。劣悪な環境で職員の目が届かないなか、年長の少年たちに虐待される弟を守り続け、秘密を抱えてマイケルが出奔した場所。弟は議員の妻によって養子に迎えられますが、幼年期に負った心身の傷は深く根を下ろし彼を蝕んでいます。生まれ育った境遇と不幸な成り行きにより選ばずして殺し屋になってしまったマイケルは、愛する女性に妊娠を打ち明けられ幸せの極みに居ながらにして、最愛の人に自らの正体を隠しているというジレンマに苛まれています。敵方のヒロインと恋に落ちたスパイみたいなベタな設定?と、読み始めたときにはやや気がそがれたのですが、読み進むうちにそれもワケあってのこと、他の登場人物たちの気持ちとマイケルの気持ちを重ねて合わせるためのことだっかと納得しました。偉大なボスが亡くなり、頭はキレるが度胸のない息子と、腕は抜群だが冷酷なナンバーツー、そして誰よりもボスに愛され人望もあるマイケルが残され、マイケルは組織を抜ける許しを得ていましたが、ボス亡き後の組織は統率力を失い、抗争に巻き込まれ、恋人や弟に脅威が及ぶにつれ、恋人とお腹の子の命と弟とどちらを守りたいのかと選択を迫られたり、マイケルの正体を知り動揺する恋人をなだめすかし懇願したり、まったく気の休まるときがありません。それでも冷静に状況判断して対応するのは殺し屋ならでは?ここでも設定が生きているのかも。弟の養母がもうひとりの主人公。これまでのジョン・ハート作品に比べると派手というかハリウッド的要素が増えたように感じましたが、見かけが派手派手しくなっただけで中身は変わらず読み応えあり、満足して読了しました。
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アメリカ ノースカロライナの山中にある孤児院で育った二人の兄弟が、孤児院での事件から、主人公の兄は殺し屋として、弟は上院議員の養子になり作家として別れて成長する。
兄が恋人の妊娠を契機に足抜けしようとして、二人とその周囲の人々に事件が発生し、それを切り抜けていく。
かなり凄惨な場面もあるが、孤独な主人公が新しい生活を夢見て、強い意志で行動するところに感銘する。
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ジョン・ハートの四作目。「ラスト・チャイルド」に引き続き、ボケミスと文庫上下巻の同時発売。前回同様、文庫で購入。まずは上巻を読了した。
クライム・サスペンスに鞍替えか?と思わせておいて、どんどん展開が変わっていく。
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週末の日経新聞の書評にあった作品です。今年初めに翻訳版が出ていたので、移動中の時間を利用して、さっそく読みました。施設で育った殺し屋が主人公という話なのですが、展開が早く、派手でどぎついシーンが多いので、映画化するとよいかも、と思いました。
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凄腕の殺し屋マイケルは恋人の妊娠を機に組織から抜けようとする。
マイケルを手放したくない組織は、彼の生き別れの弟を標的にすると脅すが…。
マフィアの血の抗争というのがまず大変苦手でして。
この先にジョン・ハートならではの人間ドラマが待っていると知っていても読み進めるのが辛かったです。
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読み進めるにつれ引き込まれました。下巻を早く読まなければ!まだまだ謎が多くて色んな事が同時に起こっているのでどうなって行くのか期待大です。
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ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。
この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの実の息子、ひねて、出来の悪い息子である。実の息子以上に親父さんが組織を任せたがっていた殺し屋の存在が疎ましい。妬み、嫉みでいっぱいの息子は、若き殺し屋の門出を許さぬばかりか、親父さんという鎖から放たれて一気呵成に殺し屋への憎悪を爆発させるのだ。
街角が轟音をあげて炸裂するシーンにて、活劇はスタートする。殺し屋は愛する女性を救い出し、炎と血と消炎を置き去りにしながら逃げる。まるで激画の世界のように胸のすくアクション。完全なる力の備わった銃撃の美学。ジョン・ハートの他の作品を読んでいる人々はまずこの過激で大胆なストーリー展開と、冒険要素の連続に驚き呆れるに違いない。
しかしそれだけなら凡百のアクション小説に終わりかねないところ、ジョン・ハートはさらなる仕掛けを用意して、作品世界に暗い奥行を与えてくれる。それは殺し屋の弟の存在である。弟は、兄とともにアイアン・ハウスという奇妙で曰くありげな施設に育ち、そこで過酷な暴力に苛まれ精神を病んでしまった。兄は弟を守るが、守り切れない。そこに現れたのが、里子を求めて訪ねてくる美貌の女性である。
彼女は、兄を求めるが、兄は弟を彼女の救いの掌の上に差し出すのだ。そんな過去を背負った殺し屋は、弟の周囲で連続殺人が起こっていることを知る。精神をやんだ弟が、シリアル・キラーとして失踪したのではないか? そんな状況が彼を捉え、なおかつ殺し屋の兄は追われ続け、愛する人を守らねばならない。これぞ四面楚歌の出口なし。
あまりのスピーディな展開と派手なアクションの末、抱えてきた過去の暗闇の深みに見えるゴシック世界のサイコ風味、劇画的との謗りを受けかけないほどサービス精神に富んだノンストップ娯楽小説世界がここに確実にあることを請け合おう。これがジョン・ハートという作家の入口とは言えないまでも、この作家のエンターテイナーぶりに酔って頂きたい掛け値なしの一篇である。
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アイアンマウンテンの奥深く、朽ちかけた少年保護施設に兄弟はいた。
殺伐とした子供社会の中では弱い者は食い荒らされるだけ、兄は牙を磨き、弟は空想の世界へ逃避した。
時は経ち兄はギャングの凄腕の殺し屋として組織に君臨、弟は養子に貰われた後、一部で熱狂的な支持を受ける絵本作家となった。
兄は恋人の妊娠を機に組織からの脱退を申し入れるが受け入れられず、ある時恋人の働くレストランが爆破、銃撃を受け多数の死傷者を出す。
逃亡する最中、組織のボスから弟を殺すと脅迫を受ける。
弟とは20数年会っていない。でも俺にはいつまでも大事な弟なんだ・・・。
ジョンハートさんの4作目。ようやっと入手しました。
まだ上巻なので何とも言えませんが現段階ではラストチャイルドに迫る名作の予感です。
少年達は自分の人生を手に入れようともがいていますが、選びようも無かった少年時代に未だに縛られて先に進めなくなっています。
兄は暴力のエリートとして育てられ組織から抜ける事が出来ない、弟は弱い心を抱えていつか見つかるのではないかと、救いの扉をノックし続けるので有りました。
下巻へ続く
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「キングの死」と同じ作者だったので。
思わせぶりに描かれた愛し合う二人。
さすがにこの作者は4作目なので、
最後の最後にはハッピーエンドになると予想する。
例え男が殺し屋で、女がそれを知らずに妊娠していたとしても。
組織に追われながらも、
愛する女と孤児院で別れた弟の両方を守ろうとする男。
当然何人も人を殺したであろう犯罪者に
感情移入させる手腕はさすが。
(下巻へ続く)