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冨高辰一郎 (著)
日本の自殺率は50年前より高い?現代はストレス社会である?几帳面な人はうつ病になりやすい?うつ病には正確な基準がある?うつ病の薬は多ければ多いほど効く?『なぜうつ病の人が増えたのか』の著者がうつ病の「常識」にふたたび挑む。
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日本は今自殺者がかつてないほど増えている。これは社会が云々、というのは冷静に調べると正しい事実ではなく、社会の問題と断じるのは自殺防止の観点からも好ましくないという。
うつ病について基本的なことだがまだよく分かっていないこと、さらには常識が実はあまり正しくないこと、などを分かりやすく書いてある。
前の本に続いて良書。
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報道されていたりして知っている我々の常識となってしまっている「うつ」の常識が全くとまでいかないが、かなり異なっており、日本の医療の現場における投薬が危険ですらあるというような内容が書かれています。
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バブル崩壊後に社会が低迷したため自殺者が増えている。
真面目な人はうつ病になりやすい。
抗うつ薬は標準最大量投与しないと効果が十分にでない。
ほんとうか?
画一的かつ大きく報じられる内容が、冷静さを失わせ柔軟な思考をできなくさせることに警鐘を鳴らし、考え方が硬直した部分に同化するのではなく、疑問を持つことにより、柔軟性を回復させることを目的とした、というアプローチは白眉だと感じる。
宗教、文化といった土壌面からも国際比較がなされ、時代別のストレスのあり様の変化を示し、現在の定説を生んだデータ切片の脆さを指摘する。
本書にもあるが、うつ病という病気は人間について様々なことを教えてくれると思った。
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うつ病について云々という本ではなく、
統計やメディア、情報をどう捕らえるのか、という考え方を
軸にして読むと、なかなか面白いと思う。
日本の自殺者数は年間3万人を越え、以前の3倍になっている。
でも、10万人当たりの自殺者数は殆ど変わっていない。
メディアは結構こういうことをする。
センセーショナルな数字だけを出して、その数字はウソではないが
誤った感覚を引き出すように誘導する報道の仕方は、
ニュースを際立たせる為に必要なのかもしれないが、
私達は受け取る側として、鵜呑みにせずにもう少し賢くなる必要が
あるのではないかと思う。
また、うつは真面目で利他的な人がなるという常識も、日本とドイツ
だけでまかり通っていて、アメリカでは相手にもされないことについての
検証も非常に興味深い。
まぁ、だいたい24時間365日ずっと真面目で利他的な人がいたら、
うつ病云々よりも、そのこと自体が問題な気もしますね。
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自殺者は増えているのか、ストレスは増しているのか、うつ病になりやすい性格というのはあるのか、などなど、うつ病とそれに関連する事柄の「常識」を疑う一冊。
正しい知識と思い込んでいることが、間違った現状認識であるというのは、うつ病に限らずほかでも多くあると思います。
なにが正しいかを見極めるのは難しいことですが、疑いの目を向けてみることで思い込みがなくなり、視野が広がるかもしれない、と思いました。
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自殺者が増えているのは、自殺年齢の熟年男性が増えたからなのです。
各年齢別に補正すると自殺は、決して増えていません。
むしろ明治時代や大正時代の方が自殺率が高かったことがわかります。
これからの人口構成の変化を考えると総人口が減り、熟年男性人口も減るためにメンタルケアなんかしなくても自殺者は減ることが予測できます。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11717029243.html
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自殺率がもともと低い国は、不況になっても変動しない。
イタリア、ギリシャ、メキシコ、スペイン、英国、イスラム諸国は低い。
フィンランド、ハンガリー、ロシア、日本、韓国は高い。
死亡率を考慮するには、人口構造を考慮する必要がある。
日本では、ガンの死亡数は倍になったが、ガンのリスクが増えたのではなく、人口構造が高齢者が増えたためで標準化死亡率は低下している。
宗教的文化的背景によって、自殺率が違う。イスラムやキリスト教は、自殺は禁止。
社会が厳しくなったから自殺が増えた、というのは誤り。
擬似相関に注意する。
人間は、快適さや安定にはすぐ慣れる。不快にはなかなか馴化しない。これは、生き物が生き延びるためのメカニズム。
ネガティビティバイアス=良い情報より悪い情報に反応しやすい。
社会が快適になっても、その中の悪い点に反応してストレスを感じやすい。
ストレスに気づく、だけでなく、ストレスに過敏になっている自分に気づく、必要がある。
プラセボ群のプラセボ効果はほんとうか。ニセの説明は出来ないから、逆効果もありうる。
一日中憂鬱な気分が2週間以上続いた場合をうつ病とする。
日本人は、几帳面で他者配慮性が高いことが原因か?
逆に、享楽的な部分もある。パチンコ、アニメやゲーム、カラオケ、漫画、アイドルタレント、銀座のクラブやキャバクラ、プロスポーツ、世界の料理が食べられる、など。宗教的な縛りがない分、楽しむことにも貪欲。
人間は、複雑な性格を理解するためにステレオタイプ化するようにできている。
精神科医で唯一ノーベル賞を受賞した人はフォンヤウレック。脳梅毒の人にマラリアを感染させて光熱でスピロヘーターを死滅させた。
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日本の年間自殺者3万人以上10年続いているのは特に不思議なことではない。少子化により、人口の構成が変化してきたため。バブル時代の一時期を除けば自殺率は変わってないと言える。
日本、ロシア、韓国、中国が自殺率が高いのは宗教的な理由もある。
イスラム教は自殺を禁止している。
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前の本はちょっとあれな感じがしたのだが、これは統計資料などにもとづいてしっかりしている。なんで「メランコリー親和型が日本でばかり議論されるのか」みたいな話もあり。
診断基準のドイツ式「心因性」「内因性」の話や、DSMの成立と変貌もおもしろい。おそらく良書。