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紡績工場に従事する女工の実情がわかる。女尊男卑の世界で生きてきた著書にとって女性は、少し憎らしい存在なのかと感じた。
最後の女工小唄が全てを物語っている。
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「少ない」といわずに「すけない」という著者。そこに時代を感じ、著者が地声で語っているという印象を受けます。
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卒業研究で研究をはじめてほんとに始めのあたりで読んだ。
いかに戦前の日本における労働状況が悲惨であったかを物語っている。日本の労働基準法の歴史を語る上で、欠かすことできない一冊であろう。
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劣悪な労働環境のなかでの女工の労働が日本の産業興隆を実現したのだ。 附録にある「女工小唄」の歌詞が彼女たちの悲惨さを鮮明に表わしている。
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有名な本です。
明治~大正期にかけて富国のために、命を削りながら衣服を紡いだ女工たちの実像を描いたものです。
田舎に住む少女たちが女工になるまでの斡旋の実態や、工場での仕事、生活など過酷な状況がわかります。
女工は有名ですが、紡績工場には著者を始めとした男工の存在は初めて知りました。
著者の言う、人が生活するためには必要不可欠な衣服を作る人達がどうしてこんなに酷い生活を強いられなくてはいけないのかという文言には考えさせられました。
女工は基本的には年季制で働かされていますが、同じようにこの時代は遊郭の遊女たちも年季制で働いていました。以前読んだことのある吉原の遊女の方が書いた本では女工よりも遊女はキツいといった事が書かれていました。一方で、本書では女工から遊女へと転職し長くそこで働いていることを指摘し、女工は遊女よりも厳しいのであると書かれています。
どちらも厳しい仕事ではあるのですが、当事者たちのこういった見方はとても興味深かったです。
現代の労働環境は、この女工の時代よりははるかに良くなってると思います。しかし、依然として自殺者が多かったり過労死など色々な問題が山積しています。将来的に労働環境はどうあるべきなのか色々と考えさせらる良い本でした。
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女工の成り立ちから募集、研修、福利厚生、安全衛生、職場環境、生活環境など細かく書かれている。著者自身にいくつかの工場経験があり説得力がある。
大正末期に書かれた作品であるせいか、はたまた著者自身が労働者であるせいか左翼臭強く読みにくかった。
たびたび出てくる女工の小唄はその時代やその場の雰囲気が感じられて良かった。炭坑節なんかと近いイメージ。ああいうのって現実味があっていい。
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様々な角度から、
取材に基づいた分析、
膨大な資料の引用、
読み応えがあります。
主観に基づいた文章が多いのですが、
人間らしい生活とは、食べて寝て働く
のみで成り立たないこと、
自由な時間が確保できて(ひとりになれる)、
賃金が自由に使えること、
不当な労働をさせられたら、
正当な扱いを要求できるだけの教育を
受けられること。
現代においても、通じる問題がある。
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文章は主観的だが、鐘紡、東京モスリン始めとする複数の紡績工場の膨大な資料を載せた作者渾身の古典名作。後半はいかにして女工の境遇を改善できるか悩んだ作者が「人類にとって衣服はやはり必要だ、この労働を否定できない、いったいどうすればよいのか!?一般の結婚前の婦人に強制するのだ。皆が働くことになれば長時間労働がなくなる・・・」などとおそらく本気で書いているのに驚く。繊維工業が日本の主要産業で、女工の取り合いになるほどの勢いで労働者の権利が確立されていない中、作者なりに悩む当時がしのばれる。社会は少しづつ少しづつ良くしていく努力がいかに大切かあらためて考えさせられる。
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底本1923年刊行。◆現行労働基準法・労働組合法がなければどうなるか。それを雄弁に語るあまりにも著名な戦前労働者哀史である。そして現代において、現実に数多存在する労働基準法が守られない会社(当然だが、サービス残業を当然視するなら、大企業であろうとなかろうと関係がない)においてどういう実情が想定できるかという観点からも読めそうである。さらにいえば、労基法の改正が改正内容如何によって(労基法を骨抜きにする新規立法でも同様なのは勿論)、いかなる自体を招来する恐れあるか。そんな推測・想像を可能にする一書。
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大正後期の女工についてのルポ。募集から寄宿舎での生活、恋愛、教育程度、思考等々想像していたより女工について細かく分析している印象を受けた。
今ではほぼありえない超ブラック企業であるが、このような数多くの女工達の苦難の上に日本が発展していったということは、現代に生きる私たちは知っておくべきことと思う。
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当時の労働者が如何に権利を保障されていなかったかが書かれている。当時経済を牽引していた繊維産業であったが、現在のブラック企業も真っ青な安全無視、長時間労働、借金漬けにする仕組みなどひどい人権蹂躙があった。
とはいえ、この本を読んでいて思うことは、昔から日本の企業は労働生産性が高いわけでなく、低い賃金でシェアを上げている構造は本質的に変わっていないように思った。もちろん、今では高品質とされているが、その高品質も結局は長時間労働に基づいたものだとすると、それができない時代になると競争力は落ちるのだなと思う。
また、作中に守れない生産目標を押し付けられて手抜きが横行する話がでてくるが、今の某鉄鋼会社の不祥事などを考えるとさもありなんだなと思う。行動経済学だと守れないルールなどを課せられると、リスキーな行動を取りがちだという話とも整合性が取れていて、状況はよく理解できたと思う。
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映画や本などで底辺で苦しむ女工のことを知ってはいたが,このようにあらゆる視点角度から詳しく書かれていて,1級の資料としてもすばらしいと思いました.工場の歌まで載っているのには驚きました.
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森崎和江の「まっくら」で明治大正の女子労働の過酷さを知り、女子労働をさらに学ぶために読んでみる。
物語ではなく、調査資料に基づく客観的論説。
これはこれで価値があるのだろうが、データの羅列にさらっと読み流す。
「わたしの『女工哀史』」を先に読んでから、これを読めばよかった!
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近代日本の労働環境を知る目的と、有名な書籍であるので手に取った。
「哀歌」とあるとおり、紡績工場で働く女工の労働環境について、特に負の側面について記載されている。また、本産業におけるルポライターとして初期の書であり、その労働環境について社会に知らしめる役割としては多大な影響があっただろうと推察する。
また、当初の社会背景をある程度理解し、海外の過酷な労働者の立場、現代日本とは事情が大きく異なることを注意して読んだ。
確かに、工場から出れないとか、手紙を閲覧されるとか、病気になって実家に帰るとか、負の側面は多々あったと思われる。これらを反省し、現代の整備された労働環境がある、、と思いたいところだが、1日10時間とか12時間労働はざらにあるし、それほど改善されていないのかもしれない。
当時は、田舎の農家にとって金銭を手に入れるのは大変だったろうし、娘を売るとなると遊郭という時代のはずであり、工場の方がベターだったんだろう。教育や嫁入り修行に必要な修行もあるし、当時の社会環境では好意的な側面も大きかったのだろう。社外に出れないのは、田舎娘がお金持って都会にでれば、散財(ショッピング!)もするだろうし、悪い男にも騙されるだろうし。
いろいろと、考えさせることは多いのである。