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今から学芸員になれないかしら。。と思うここ数カ月。
学芸員・絵画・そして大原美術館と、最初の数ページに興味が惹かれるワードがちりばめられていて、思わず手に取った一冊。
しかも、以前一冊読んで、そのストーリーの美しさにひかれた原田マハさん作。
MoMAが所蔵するアンリ・ルソーの「夢」とほぼ同じタッチの絵が、伝説のコレクターの手元に。
はたしてそれはルソーの手による本物?それともよくできた贋作?それを見極めるために召集された二人の学芸員。
彼らには、ヒントとして一冊の手記が手渡される。
手記の中で表現されるルソーと、絵のモデルであるヤドヴィガのやりとりが生き生きと描かれていて、その手記に引き込まれる学芸員の気持ちと自分の気持ちが重なるような、不思議な感覚に。
ただ残念なのは、、登場する二人の学芸員はルソーを愛してやまないのだけど、、私にはルソーの絵が理解できないこと。ルソーの生きた時代の世間の目と同じように「お絵かき」にしか見えないんだなぁ。。
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安直に「絵画ミステリー」と言い切れない魅力が詰 まっていました。
ミステリーとしても最後まで驚かされるし、静かに 燃える系の情熱的な物語にもやられるしで、一気に 読んでしまいました。最後の方は、もう半泣き。
謎解き要素のある本って、一度読んだらそれっきり になりがちですが、これはまた読み返したいです。 いやー、良かった。
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表紙にひかれて手に取った本。大好きなルソーの「夢」。
読み進むうちに、2006年のパリグランパレでの展覧会での、痺れるような感動が甦りました。
画家アンリ・ルソーの不器用でひたむきな人生が、謎の物語の本の中で少しずつ語られていく仕掛け。その語り口も、彼の作品のように素朴で優しく率直で、ルソーのアトリエの隅で私もずっと見守っていたような気分でした。20世紀初頭のモンマルトル、美術界が大きな変化を見せたその時代の熱気に、どきどき手に汗を握って。
画家の対象への愛情と創作の情熱、取り巻く人々の画家と作品に寄せる崇拝、そして美術界事情が引き起こすキュレーターたちの様々な思惑。私たちが美術館で向き合う一枚の絵に、これほど多くのドラマと想いが込められているなんて。絵への向き合い方がちょっと変わるかも?
それでも堅苦しく考えず、これからは「友達に会いに行くつもり」で美術館に足を運んでみよう、と思いました。
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間違いなく、本年最高傑作。この本に出会えたことをこの上なく幸せに思う。そしてこの作品を世に生み出してくれた原田氏に心から感謝したい。私もpassionと共に「夢」の中へ…
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MOMA(ニューヨーク近代美術館)のチーフ・キュレーターであるティム・ブラウンと、大原美術館の監視員である大原織絵を軸として、ルソーの作品の真実に挑むミステリー小説。
一つの物語を通してルソーが生きた時代を追随する場面は圧巻であり、まるでその時代にタイムスリップしたような感覚に陥る。
作品を読んでいくに従って、ルソーと美術全般に対する知識の豊富さに感嘆し、筆者のルソーに対する、そして美術全般に対する深い情熱・愛情がありありと伝わってきた。
『ダヴィンチ・コード』を初めて読んだ時に味わった知的欲求を久々に味わうことが出来たし、美術に対して無知な私でもどれほどの想いを掛けて執筆したのかがありありと伝わる作品。
全てのミステリー小説好きに、是非。
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作者は美術キュレーターの仕事をしていたという事で、その経験を生かした美術ミステリー。部外者が窺い知れない美術界の内幕など楽しめる。もちろんそれだけでなく、ストーリー的にも工夫が凝らされている。すぐに気付くのは、物語の枠組みがあちこちで多重構造になっている。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201205/article_6.html
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もやもやとした気持ちを抱えた中で
手に取った一冊が本作品。
さすがキュレーターだけあって
美術作品に傾ける情熱が
作品の序盤から溢れ出していて
ぐんぐんと吸い込まれる。
芸術を解しない私でさえも
芸術家の苦悩、喜びを感じられる内容で
絵画に魅せられた絵画をとりまく人間模様が
とても面白く一気に読み上げた。
原田マハ氏の作品、
伏線とは読めないほどおかしな
登場人物名に疑問を抱きつつも
作品の面白さに興味を抱いて読み続けていた。
この作品を通して感じたことは
著者の心にはいつも絵画があって
その作品を通じて思い描く世界があって
それを作品として映し出しているんじゃないかと
ふと思う。
こんなにも素晴らしいものがあるよ
と、著者の心がそこに描かれているようで
私はそこに惹かれてしまう。
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原田マハさんの作品はハートウオーミング系の「キネマの神様」しか読んだことがなかったので…驚きました。
経歴を拝見して納得。本領発揮といったところでしょうか。
ドキドキしながら一気に読んでしまいました。
そしてアンリ・ルソー「夢」は特別な絵になりました。
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稀代のコレクターが愛蔵している一点の絵画。これは幻の名作か、それとも贋作か。
絵画の真贋を問うというシンプルなミステリー軸に、この絵画、あるいはルソーという画家に強い思い入れのある人々の情熱が交錯し、最後まで目を離せない展開。絵画を全く解さないわたしにとっても、ルソーの「夢」が特別なものになってしまうくらい、おいしげる植物の息苦しくなるほど活き活きとした匂いや、野生の動物のひそやかな息づかいをずっと感じながら読んでいた。
読み終わっても、まだ気持ちを絵の前に置いてきてしまったような感覚。しばらく他の本を読めないかも。素晴らしい!
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織絵とティムがスイスのバーゼルにあるバイラーの館で繰り広げる一週間の真贋コンペ.アンリ・ルソーの「夢」に「詩人に霊感を与えるミューズ」と同じようなほぼ同一の作品があるのか.バイラーが保有する「夢をみた」は本物なのか.ルソーと同時代を生きたピカソのルソーに対する友情やルソーの絵にのめり込むジョゼフとその妻のヤドヴィガ.人物の面白さと名画が巧みに配置された作品だ.
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ルソーとピカソの名作の秘密にせまる二人のキュレーターにもドキドキしましたが、絵画に詳しくないので一つ一つの作品を調べながら、ゆっくりじっくり読みました。贅沢なひと時となりました。
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ルソーという画家を初めて知りました。ノンフィクションとフィクションがいい具合に混ざっていてどこまでが本当でどこまでが造りものなのか・・・。ダヴィンチコード以来の感覚に陥った。孫だけど、子孫が絡んでくるあたり似ているなと。個人的には再会した二人がどうなったのか、(くっつくのは難しいかもしれないけど)気になるところではあるけど、それよりも娘ともう少し歩み寄れたらいいなと思う。大原美術館が比較的近いのでまた行きたくなった。
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アンリ・ルソー、パブロ・ピカソ、ゴッホなどなどの著名な画家の
絵の題名を聞いても、どんな絵かわからなくても
今の時代、ネットで調べたりできるのでとてもリアル
そして、美術の世界でおきている特殊なこの事件というかなんというか
小説の世界にひきこまれて、毎日ベットの中で本を持ったまま
睡魔と闘いいつのまにか気絶する、夢のような日々を過ごしました
ドキドキして、悲しくなって、またドキドキして
多分、何度も読んでしまうだろう大好きな小説がまた1冊増えました
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原田マハさんのファンですが、この1冊は、完全に原田さん直球ど真ん中の真骨頂!!詠みごたえありました。実在する絵画と物語が絶妙に交錯して、まるで夢のような世界が繰り広げられて、すっかり虜になっていました。
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少女マンガを読んでるような感じ。多分そっちの方が判りやすかったと思う。
ルソー作品の謎に迫る体裁でスタートするが、中身はリスペクト大会である。ルソーとピカソへのリスペクトを再認識し、挙句には好敵手へのリスペクトで、ふわっとしたままキレイに終わらせようとする始末。描きたかったテーマなんだろうな。だからこういう着地になるのは理解できるけど、どこを見ても作品に対して甘いイメージしかなく、引き締まった感がゼロ。
過去と現在が混在する展開や作中作はよく目にするが、本作品ではミステリ的な使われ方はされていない。単にそのまんまの現在と過去。キャラはイメージ通り、言い換えれば厚みがなくて軽薄なだけ。ドラマチックに見えるけど、よくよく思えばご都合主義。散々やりたいことやって結局最後は“愛”ですか。
ミステリファンはもちろん、絵画ファンにもあまりお勧めできないような気がします。