古事記上巻は冒険活劇としてのスペクタクルを持つ。
2012/02/04 10:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アヴォカド - この投稿者のレビュー一覧を見る
「古事記」のダイジェストと、それを生みだした古代人の世界観について、わかりやすく解説。まさに「はじめて」読むにふさわしい。
創世の話、アマテラス、黄泉の国、兄のホデリと弟のホヲリの話など、ほとんどの話を知っていて、何かの折に読んだり聞いたりしていたことがわかる。
「八俣のオロチ」など、リッパな冒険活劇ではないか!ファンタジーそこのけである。
妻を失った悲しみで理性を失い、死の世界に入り込んでしまうイザナキの「黄泉の国」。
どんなに愛する人であっても、死者と生者が一緒に暮らすことは出来ない、一度惨い世界に立ち入って戻ってくることでやっと癒される…という展開に、死者と生者の苦しみ悲しみは、こんな古い時代から変わっていないのだな、とあらためて思う。
上巻は冒険活劇として充分に面白い。しかし、中・下巻になると、活劇色は減って、トーンは変わる。「歴史」、それも客観的な記録としての歴史ではなく、「古事記」を作った人たちの歴史観ということになる。
物語としての面白さは上巻のみ、かもしれない。
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日本という国の成り立ちはいつからなのか。その根源的な問いに答えるために神の時代の物語は紡がれ、それは変わることのない絶対的過去とされた。本書は古事記の概要、人間と自然との交わりを日本書紀、風土記から読み解く日本神話の入門書である。
君が代で「さざれ石のいわおとなりて」は「巌となりて」であり「岩音」ではない、というのはとりみきの石神伝説で知っていたが、じゃあ巌ってなんだよ!って疑問を持ったのは相当昔の話。
この本で、巌は「岩穂」つまり、岩の先のこと。つまり「さざれ石の岩穂となりて」という言葉になり、まあ長い間ってことだ。ようやっと疑問解消。
古来の人間と自然との接し方が、神話の中でもどのように変わってきたかってところが面白いし、現代ではこんな自然に対する感性も失われてしまったんだなと思うところもある。
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こうしてみると、まるで「ファンタジー」なんである。スペクタクルである。
「八俣のオロチ」など、冒険活劇映画に出来そうである。(実はある?)「十戒」が映画として充分に成立するのだから、古事記もいけそうである。
「古事記」のダイジェストと、それを生みだした古代人の世界観について、わかりやすく解説している。
創世の話、アマテラス、黄泉の国、兄のホデリと弟のホヲリの話など、考えてみると、ほとんどの話を知っている。何かの折に読んだり聞いたりしていたのだなあ。
上巻は冒険活劇として充分に面白い。
中・下巻になると、活劇色は減って、トーンが変わる。「歴史」、それも客観的な記録としての歴史ではなく、「古事記」を作った人たちの歴史観ということになる。
妻を失った悲しみで理性を失い、死の世界に入り込んでしまうイザナキの「黄泉の国」。
どんなに愛する人であっても、死者と生者が一緒に暮らすことは出来ない、一度惨い世界に立ち入って戻ってくることでやっと癒される…という展開に、死者と生者の苦しみ悲しみは、こんな古い時代から変わっていないのだな、とあらためて思う。
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日本のルーツを読み解く入門書。
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4157230.html
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結婚や恋愛も、本能としては「種の保存」、あるいは性の欲望を満たすための動物的行為でしょう 人と自然との関係は、一方的な収奪の関係です。そこで人々は獲物や作物など、富みの一部を神に供えて祭りを行います 古代の祟り神は、そうした<自然>と<文化>との緊張が臨海状態に達した時にしばしば登場します
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古事記、日本書紀の入門書として最適
イザナギ、イザナミから始まり、推古天皇の頃までの
重点事項を原文を適宜現代語訳しながら、解説が進む。
古代の人の考え方や神話に対するアプローチなど
が学べる。
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わかりやすかった。
日本は神様だらけなんだな~
あらすじしか載ってないんだけど、神様は美女と恋に落ちすぎ
醜女は恐れられすぎ
「すてきな男」「すてきな女」が度々登場するんだけど、表現が素朴で可愛らしいなぁ(原文がどうなってるか分からないけど)
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神宮の遷宮があるということで伊勢に行く前に読みました。
日本神話の入門に適している感じで、面白いエピソードを抜き出して説明してくれます。ただ神様が多くて覚えるのがたいへん。ギリシア神話に似ていますね。他の日本神話の本も読んでみて理解を深めたいと思います。
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伊勢は都を遠く離れた日出づる東の果て、荒波打ち寄せる海辺の世界。アマテラスが永遠の住処としたところ。
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古事記が神々をとても自然的に扱っていることを知った。親子、夫婦、兄弟、男女、などなど人間関係から生じる人の感情を赤裸々に描いているのは驚きでした。面白い。
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記紀神話のあらすじを簡潔に紹介し、神話が人間にとってどのような意味を持っているのかを解説しています。
自然の中に生い立った人間が、自然の中に切断線を引くことで文化と呼ばれる領域を作り上げてきたことが、記紀神話のさまざまなエピソードに即して解き明かされています。ただ、どうしてそのような解釈になるのかということが、本書を読む限りではあまり明確に見えてこないような気がしました。おそらく宗教学や神話学の背景があるのだと思いますが、そうした背景にまで立ち入って解説をしてほしいと感じました。
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日本神話はよくわからない話が多いなと思っていたが、文化と自然、王権など当時の状況を反映していたと読めば理解できるとわかった
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人間も自然の一部であり、文明による弊害は自然に立ち戻ることで、本質的に解決できるはずだ。古代王権は見えない力を利用し、国家統合をはかった。それと同時に見えない力との関係性も見直すべきだと訴えている。
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神話はたんなるファンタジーではない。なぜ古代の人々が見えない神々の世界を想像したのか、“自然”と“人間”の接点を舞台に読みとく。『古事記』の全容がわかる、あらすじ紹介つき。
目次
「いま、ここ」の向こうに
第1部 あらすじで読む『古事記』
・神と人の物語(神々の物語(上巻編)
・神々の子孫の物語(中・下巻編))
第2部 古代人が出会った“自然”
・神と人のまじわる場所(最初の出会い―水と生命がまじわる場所;箸と橋と柱―天と地をつなぐ場所;大地の母胎―死と再生の場所;“食べる”身体―内なる自然)
・再び「いま、ここ」の世界に
著者等紹介
坂本勝[サカモトマサル]
1954年神奈川県鎌倉市生まれ。専修大学大学院博士課程満期退学、法政大学文学部教授。専攻は上代文学