投稿元:
レビューを見る
芹沢光治良「巴里に死す」
極限状態の魂から絞り出たかのような祈り、言葉の数々に何度も震え、涙を流した。その力強さはエミリーブロンテ「ワザリング・ハイツ」を彷彿とさせるが、この作品には、文学において最も重要な「悪」の要素がない。母と娘の時空を超えた出会いを通して、真正面から「愛」という対象に向き合い表現し尽くしている。下手をすれば明治の日本文学的なしょぼい綺麗事、ヒューマニズムに陥りかねない程に。
しかし、この作品が他と一線を画し、これ程の深みを持ち得たのは、愛の表現がきちんと魂、祈りと結びついているからだろう
投稿元:
レビューを見る
妊娠中の私へと友人から頂いた一冊。
今の私と重なる部分もあり、読みやすかった。
愛される側から愛する側に変わっていく様子が繊細に描かれている。
母の愛とはここまで人を変えるのかと、関心しつつ、自分もそうなるのかと不思議に思う。
投稿元:
レビューを見る
芹沢光治良の人生は大河的
時代背景も面白い
光治良自身は村上春樹の「騎士団長殺し」の中に出てくる「雨田具彦」と少し重なる印象。
現在はあまり話題にならない文豪であるが、再注目してほしい作家。
特に「人間の運命」は必読。