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誤訳と悪訳の違いの記述が大切だと思った。
「誤訳は文法的・事実的に間違っているもの
悪訳は文のこなれが悪いもの・意味がつかみにくいものを指す」
としている。
これは少し,乱雑な定義だと感じました。
文法的に間違っているが,原文も文法的に間違っていれば,誤訳ではない。
原文が事実的に間違っていれば,訳文がどうするかは,文章の趣旨によって判定しないといけない。
悪訳は,こなれが良いものがあったり,意味がつかみやすいものがあればいいが,ないと評価しにくい。
著者自体が揺れていて,著者が意味を捕まえていないこともありうる。
訳者の理解と,原著者の理解の間にどれだけの隔たりがあるかを明確にしていれば,文章の掴みやすさは気にならないことがある。
訳者後書きの効能かもしれない。
4つの事象を定義しないと,定義したことにならないのではないかと思う。
1 誤訳で悪訳。
直した方がいいもの。
2 誤訳ではないが悪訳。
直すか,立場の違い,理解の違いが訳者後書きにあればいいかもしれない。
3 誤訳で悪訳でない。
訳注または訳者あとがきで,正しさよりも読みやすさを優先したこと,原著者との違いの記録があるとよい。
4 誤訳ではなく,悪訳でない。
文句のつけようがない。
誤訳,悪訳だけをあげていても,十分ではないと感じている。
具体例はとても参考になったので,何度も読み返したいと思った。