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刑事事件専門の弁護士である著者が、実際の事件をヒントに書いた15編の短編集。前作をほぼ踏襲した形になっているようだ。
前作同様、物語の描き方もかなり断片的で、その描写についていくのにある「慣れ」が必要だったのは私だけだろうか。
突然転換する場面にいちいち自分の頭を整理しなければならず、ストーリーの流れが中断するような感じになってしまうのが、今回もちょっと苦手だった。
翻訳のせいもあるのかもしれないが、著者がそのような文章表現をあえてしているのだろう。
非常に冷たく、すっと背筋が寒くなるようなストーリーがほとんどで、後味も悪い。
私には読みにくいタイプの文章なのは前作でもわかっていたことなのに、描き出されている薄暗い人間模様に奇妙にも引き寄せられ、つい手に取ってしまった。
この、癖になるような筆致、というのもこの著者の魅力なのかもしれない。
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弁護士の「私」が語る、15の「罪」。
淡々と語られる「罪」は、どれも最悪だ。罪を犯した者も、巻き込まれた者も、犠牲になった者も、誰も救われない。
弁護士の「私」までその「罪」に犯されているようにみえる。
不思議な距離感のある文章が、感情を乗せることを拒んでいるようで、読むのが癖になりそうです。
前作の「犯罪」も読みたくなりました。
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弁護士である作者の
武勇伝的話ではないところがいい
解決したものもあれば
ぽわんとしたまま終わらすのとか
ただ、前作ほどの濃さはないかも
最後そのあとどーしたの!?
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さまざまな人間、さまざまな犯罪を弁護士=著者が湿度や熱を感じさせない語り口で…というのは前作「犯罪」と同じ、それはそれは面白い小説集なのだけど。
人間が愛おしく哀しく描かれていた前作とは異なるテイスト。
「やりきれない」とか「なんて理不尽な」と苦味や辛味が増量された物語が多くて、読んでいる間中ヒリヒリと痛かった。
それでもやっぱり3作目が楽しみ。待ち遠しい。
タダジュンさんの装画が今回も素晴らしくカッコ良いです。
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15 の作品からなる短篇集。
前作「犯罪」と比べて、
よりシンプル、軽量で淡々と読ませる。
次作も読みたいと思わせる作家だな。
不思議な傍観視点がちょっと癖になる。
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独特の語り口、切り口、そして視点が衝撃的だった前作。今回も同じような短編が並び、どの作品も読み終えて余韻が残る。一気に読まずに一作一作、間を置いて味わいたい感じ。
ただ、前作より洗練された印象で、それゆえに衝撃度は薄まったかな。
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おもしろい!上手くできすぎた作り話では全然ない。全貌が見えて初めて「くわあ、もうちょっとこう」というもどかしさを感じるのが新鮮で、淡々とした文章からも「どうにもならなさ」が感じられる。
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前作の犯罪ほどの深い思いを感じる事は
無かったけど、やはり、佳作。
短い話の中に、人間の寂しさ、侘しさが
常に漂っている。残虐な心も。
どこかで、何かが、ほんのきっかけで
罪深い人間になってしまう怖さ。
ドイツという舞台で起こるからか
余計に暗澹なる気持ちに
なってしまうのかも。
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あるものを持っていた人物、それが最後まで謎で終わる「アタッシュケース」、短い話なのにまるで映画のような味わいのある哀しい共犯罪の「精算」などミステリー満載で楽しめる。あいかわらずだが、これが実話とはね。
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シーラッハ「罪悪」読んだ。http://t.co/HRdLuOGi 15の短編集。主人公と作者が重なる。どの悪事も然したる動機はなく言わば「太陽が眩しかったから」の種類で、だからこそ一線を越えてしまうことについて考える。でその悪事を弁護することについても。
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傑作だった前作と比べると小粒になった。贅肉なしの文章、ただの傍観者である語り手のスタンスは変わらず。
帯の、“この世には、裁くことのできない「罪」がある”、が示すように、事件の顛末よりも罪の質について語ってあるように思える。そのせいか、後味の悪い話、未解決作が増えた。不穏で不条理な世界観、しかもミステリ色は前作より薄いので、「シーラッ派」向きだと言えるだろう。前作が合わなかった場合はスルーをお勧めします。
最長編の『鍵』が一番ミステリしてたかな? 『秘密』はラストに相応しいショートショート。次回は長編とのこと。この筆致の長編がどんな風に仕上がるか、大いに期待してみたい。
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罪人になるのは簡単なのに
世界は、何も変わらない。
前作「犯罪」と同様に、弁護士である「私」が聴き及んだ事件が淡々と述べられている。
「…だった」などの過去形の「た」で終わる短い文章を多用しているのに、
なぜか読み心地は悪くはない。
今回は15の短編を収録。
「罪悪」の割には前作の方が悪を描いていたように思う。
「精算」と「秘密」が秀逸に思えた。
ドイツの刑法にも少し触れられているので、話によっては
時にやるせなく、時にはなるほどとも感じた。
ミステリ:☆☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
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シーラッハの「犯罪」に続く第2弾
今回は、犯罪と立件されたものも、されななかったものも含めて、その中核にある”何が罪悪なのか” という点がクールに、描き出されている。
人間の営みのなかでの、怠惰やちょっとした悪意が引き起こす悲惨な結果、運命の皮肉など、クールな描写が、本作でも効果的である。
その中でも、「清算」という一編は、どんでん返しの妙もあり、面白かった。
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前作の『犯罪』と同様、淡々とした文章が人はいつ罪を犯すかわからない怖さを表現していたように思う。ただ、前作のような冷たさの奥の温かみが感じられず、またうまく書こう、洗練させようというのが見え見えで、その部分は残念だった。
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1冊目も好きだったけど、これもまぁ~好きかなぁ。
けど、1篇目の衝撃は 大きくて、世の中そんなものかぁと
いまさらながら残念でショッキングな内容だった。
犬の出てくる一作は、まるでドタバタ喜劇映画を見ているように面白く笑ってしまtった。映画化される????かもね。