投稿元:
レビューを見る
+++
『サラダ記念日』から25年、人生の秋を迎えた俵万智が女性として母としての今を歌う。東日本大震災後を綴る書き下ろしエッセイも収録。
+++
写真がまずあり、そこから著者がイメージを膨らませて歌を詠む、という趣向の一冊である。日本や海外の子どもや自然の写真を通して著者が見たもの、著者の心のフィルターを通して広がる世界を堪能できる。歌にまつわる思いもエッセイとして綴られていて興味深い。著者の大切なものの一端に触れた心地の一冊である。
投稿元:
レビューを見る
奥宮誠次さんの写真に合わせて、俵万智さんが歌を詠まれた短歌集。ときどきエッセイあり。
仙台在住だった万智さんは、あの日、東日本大震災が起こった日、東京出張中だった。シングルマザーとして、一人息子を育てる母親でもある万智さんが、どんなにお子さんのことを心配されたか想像に難くない。その後、親子で石垣島に引越しをされるが、その辺りのいきさつや島での暮らしの内容も本書に触れられている。
地震後の暮らしと並行して書かれているのが、「自分探し」についてだ。石垣島での暮らしについては新聞のコラムで毎週読んでいるので、私にはこの「自分探し」についての万智さんの視点がとても興味深かった。
「今の自分を肯定できたなら、実は遠くに「自分」を探しにいく必要はないのかもしれない。」
「自分は何ができるのかではなく、短歌には何ができるか、ということ。それを、たいしたことのない自分なりに、やってみたい。人生の秋の考えかたかもしれない。」
人生の実りの秋、収穫の秋を迎えた万智さんならではの視点に、はっと気づかされた。
投稿元:
レビューを見る
素晴らしい本ですね。
人生の秋。
――短歌で自分をどう表現するか、ということよりも、短歌は何を表現できるのか、ということに関心は移っていった。(P62)
と書かれているとおり、この本は俵さんの短歌の可能性をまた一つ切り拓いた作品ではないでしょうか。
心揺さぶられる、そして本当に豊かな時間を過ごしました。
東日本大震災の話も含まれていますが、『サラダ記念日』『チョコレート革命』などを愛読した私は、俵万智さんがこのように母であり、そして歳を美しく重ねた歌集を読むことが出来ることに感動しました。
どの歌も素晴らしく、付箋だらけになりました。
また、恋の歌も一層深み、そして若い人たちの恋を
鮮やかに思い起こすような歌があります。
不遜な言い方ですが、この本が素晴らしい本になったのは
一つには写真の効果が大きいでしょう。
俵さんも書いていますが、この本は俵さんが初めて写真が先、そこから想像した物語を紡いだというのが特徴だそうです。
写真と歌の親和性がすごいです。
何度も見ていたい。
何度も読みたい。
大切な本になりました。
投稿元:
レビューを見る
いろいろな風景や思い出を蘇らせてくれる作品が多々。
最後はよい気分に!
ゆっくりとした時間が流れた。
投稿元:
レビューを見る
俵万智さんの短歌が載せられている。わが子に対するあふれんばかりの愛情や写真の情景がユーモラスに、そして優しい表現で描かれている。
投稿元:
レビューを見る
公立図書館で ふと手にとり、何気なく開いて目にした歌に、思いがけず目が潤んだ。一瞬にして・・・
こんなことは初めてだ。
貸出しの手続きをして、家に持ち帰って開いてみれば、もう目が潤むことはなかったが、思い至る。
そういえば、我が娘たちを含めても、もう何年も誰かと寄り添うことがない。。。
投稿元:
レビューを見る
3.11のことにも少しずつ触れながら書かれているがメインは写真家の写真に俵万智さんが短歌をつけていくこと。
景色に関しての俵さんのつむぐ言葉はとても素敵で、時間のある時にゆっくり読んでいきたい作品。
投稿元:
レビューを見る
『サラダ記念日』の俵万智が震災後に奥宮誠次の写真を見て詠んだ短歌集。写真と短歌の絶妙な距離感からくる美しさを感じられる一冊。
熊本学園大学:職員 (みーちゃん)
投稿元:
レビューを見る
少しずつふくらんでくる思いあり桜の季節にえらぶ便箋
会うならばある日五月の雨あがり水玉模様のワンピース着て
青空の青と同じく吾輩は猫であるなりここにいるなり
無垢、無邪気、無心、無防備
笑顔とは無から生まれるものと思えり
ランチでもディナーでもなく朝ごはんを一緒に食べる人になりたい
背中からあったかくなる日だまりを分けあいたいね、恋でなくても
投稿元:
レビューを見る
はんとうに、人生は⁇?だらけだ、と思う。
自分なりに答えを出していくしかないけれど、
それが正解だったのか、確かめる術さえないことも多い。
あともどりして、もうひとつの道を選びなおすことができないとなから、しかたない。
…
けれど結局は、これでよかったのだと思えるよう、一日一日を積み重ねていくしかないだろう。
忘れられない春になってしまった。
会うならば ある日五月の雨上がり 水玉模様のワンピース着て
紫陽花の花言葉何と知らねども 「待つ」という語を想ふ六月
ひとりじめ できない人を5分だけ ひとりじめする コーヒータイム
ランチでも ディナーでもなく 朝ごはんを 一緒に食べる 人になりたい
水色の 風生みながら 走りゆく 少女が開く 朝のカーテン
これまで、写真というのは、瞬間を切り取るものというイメージが強かった。けれど、物語を内包し、見る人を旅に連れ出してくれる写真というものもあるのだなと知った。私の心は躍り、揺れ、旅をし、そして沢山の歌が生まれた。
投稿元:
レビューを見る
写真が素敵です。
それに添える形で俵万智さんの短歌が記載されています。
肩に力が入ってないかんじで、ふわっとあたたかいイメージなので、読んでいて癒されました。
お子さんへの愛情が感じられて、もしも子どもが生まれたら読み返してみたい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
1962年生まれ俵万智さんの「風が笑えば」、2012.2発行、写真は奥宮誠次氏です。春夏秋冬、たおやかな万智さんの感性が輝いています。
①川べりの道を散歩に選ぶ午後 風が笑えば水面が笑う ②四万十に墨絵の時間流れおり 沈黙の川沈黙の橋 ③ランチでもディナーでもなく 朝ごはんを一緒に食べる人になりたい 俵万智「風が笑えば」、2012.2発行、再読。
投稿元:
レビューを見る
写真先行の歌集だそうで面白い試みだと思った。
大震災のあとの刊行ということで、最近だと思ったら2012年。そりゃそうなんだけどびっくりしてしまった。時が経つのは早い。仙台から避難して沖縄に行った話があったかど今はどうされてるんだろう。
いくつかは名刺SSを彷彿とさせられて、やっぱり親和性はあったのだなと思った。
911.1
投稿元:
レビューを見る
お母さんになって、恋のパワーよりも暖かくてキラキラした歌が多かったのが印象的だった。写真も美しくて好き。
投稿元:
レビューを見る
サラダ記念日が出た頃からずっと、俵万智さんの歌が好きです。
いつだってストレートに心に響き、わかりやすい。
わかりやすいけれど絶対に彼女にしか出来ない表現ばかりだから。
ここで、「自分なんてこんなもん、そうたいしたもんでもない、そのたいしたことのない自分を、わざわざ表現してどうするねん」などと記されているがなんのなんの。
本書ではたくさんの恋を経て母となり、また新たな愛の表現力を遺憾無く発揮している、生き生きした彼女の歌に次々に出会え、サラダ記念日と出会った頃と似た、けれど違う、そんな印象に心震えた。
これまで沢山の、彼女の歌と写真とのコラボレーションを見てきたが、本書は初の写真が先、の1冊。
ここにも彼女のこだわりがしっかりと記されているが、たおやかで柔らかそうに見えて、芯の恐るべき強さのようなものも、しっかり健在だった。
生きづらさも沢山あったであろうといつも思うが、だからこそわたしは彼女が好きなのだ。