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(2012.03.06読了)(2012.02.16借入)
【東日本大震災関連・その60】
被災地行きを志願した延べ5000人のナースら医療・介護者からの数千本におよぶ現地報告を抽出して編んだ東北支援の最前線奮闘記!
トイレ掃除も、花植えもしました。
東北の人たちとまた会いたいです。
キャンナスと名乗るボランティアナースたちが東日本大震災に際して、気仙沼から石巻に渡る範囲で、被災者たちの生活環境改善活動を行った記録です。
3月から9月まで、被災者の生活支援活動を行う中で飛びかったメール(メーリングリスト)が収録されているので、臨場感あふれる読み物となっています。
「日頃のキャンナスは、在宅で介護をする人の支援を行う団体です。できる(CAN)ことにナース(NURSE)が取り組んでいこうという活動」を行っています。
避難所にいる被災者や自宅被災者たちと医療関係者の間を取り持つ役目を果たすとともに、避難所の衛生環境の改善にきめ細かくときには大胆に取り組んだ。
各自現場を見て、自分でできることを自分で考えて動く、ということがモットーで、実にすごい人たちだと思う。自分のためにやっているのだという。
家族や職場の了解を得たうえで休みを取って駆け付ける人たちだ。なかには、退職して駆けつけた人もいる。
ナースとはいっても、看護師だけでなく、介護福祉士、ヘルパー、理学療法士、歯科衛生士、栄養士、医師、と広範囲にわたっていて、各自の得意分野の支援を行います。ただし、トイレ掃除などは誰もがやりました。
被災者が仮設住宅に移っても、活動は続けるということです。支援が必要と思える間は続ける、自立を妨げないように配慮しながら。
目次
東日本大震災とキャンナス
第1章、キャンナス災害支援医療チーム出動
第2章、できることを精いっぱいに
第3章、石巻に入ります
第4章、一人ひとりが自己判断と自己責任で
第5章、支援の始まりはトイレ掃除から!!
第6章、GWの被災地
第7章、梅雨をひかえて環境整備
第8章、医療チーム、相次いで撤退
第9章、避難所から仮設住宅へ
第10章、ありがとうにありがとう
日本の医療・介護の未来を東北から
●現地へ(20頁)
皆様も、できることをできる範囲でやりましょう!!!現地に行ってできることを精一杯やりたい方は、是非、現地に飛んでください。AMDAかJENで、キャンナスの菅原の紹介といえば受け入れてくれます。思うことは誰でもできますが、行動に移さねば結果につながりません。日本の一大事です!!!
●ごみ屋敷対応(28頁)
気仙沼には、介護の手が回らず劣悪状態になっている精神病院があるそうで、1週間おむつ替えがされていないとも言われています。ごみ屋敷対応ができるヘルパーやナースが必要な模様です。単発での参加も歓迎。
●男はうつろ(33頁)
まず目に入ったのは、子どもたちや女性たちが明るく気丈に振る舞っていたこと。それとは反対に、男性は疲れ切って目がうつろな表情をされ、ボーっとされている方が多かったこと。
●被災者の声を(39頁)
いま、避難所で必要なのは被災者に分け入り、一人ひ��りの声を聞くことです。このためのスタッフがものすごく不足している。
●阪神大震災との違い(46頁)
今回は神戸の時と違い、津波に遭った人はほぼ全員亡くなり、津波に遭わなかった人は元気なのです。従って、避難所にいる人たちの医療ニーズは救急疾患ではなく、風邪やインフルエンザ、便秘や低体温、うつ、縟瘡などのプライマリ・ケア疾患です。
●歯科衛生士(48頁)
中には被災してから一度も入れ歯を外したことが無い方、入れ歯が流されてしまった方、清掃していないので舌苔が多く、食事がおいしく食べられない方がいました。口腔ケア後は皆さん笑顔が戻り、嬉しい限りでした。
●余震発生(67頁)
石巻すべて断水、停電しています。携帯の充電ができず連絡手段が途絶えてしまいそうです。本日来る方、ソーラー充電器あれば持ってきていただけると助かります。
(モーターを使って水をくみ上げているため、停電すると断水します。)
●発電機(73頁)
ライフラインが全くなかった湊中学にも、今はキャンナスから発電機が入り、トイレとキャンナスのスタッフルームには夜間灯が灯ります。
●ローラー作戦(79頁)
「世帯等家庭訪問票」を用いて、地図に載っている各世帯を1軒ずつ回り、どんな生活しているのか、どんな健康上の問題を抱えているのか、生活支援の供給状況などの情報を取って、医療や行政につなぐという作戦です。
このローラー作戦で、居宅には全く支援物資が無いことが分かりました。親類縁者から食料品を送ってもらって生活している。降圧剤などの薬も切れていて受信する場所もわからない、行政からの広報もないなどです。行政はインターネットで情報を取るように広報しているそうですが、パソコンがどれだけあるか?
●避難者と一緒に(98頁)
体育館の真ん中に設けられた詰所らしき場所に、ずっとナースが24時間常駐していたとのことで、私たちもそこにいざるをえない状況。冷たく固い床の上で生活している避難所の状況や、地鳴りする余震の怖さ、また咳をしている人の多さ、気になる物音等々、避難者さんと一緒に生活してみてわかることが多かった
●自分の頭で(108頁)
現地はまだ余震が続いています。地盤は緩み、瓦礫があり、道がふさがっています。土地が冠水し、時刻によって道が閉ざされます。自分の身は自分で守る覚悟でのご参加をお願いします。
キャンナスでは自分の感性を生かし、自分の頭で考えて行動しています。現地では指示待ちにならず、手が空いた時には、提案、行動してください。
●仮設住宅へ(148頁)
仮設住宅入居に関しての思いはそれぞれでした。入居すれば食費・光熱費が自己負担になり、仕事や家族を失った今の状態では負担大きく、避難所では生活全般の支援が受けられるため、避難所生活を続けたいと切に願う様子がうかがえました。
●枕も敷布団も(160頁)
枕や敷布団が無く、避難所の方が使用されずに眠っておられるということが分かりました。敷布団が無いため「起きたら体が痛い」という訴えもよく耳にします。
●カモメとハエ(171頁)
今回活動した中で、ある意味衝撃的だったのは、ハエの多さ。しかも大きい!!何度か私に突撃してきました。震災後太ったのは、「カモメとハエ」とのこと��
●キャンナスの(182頁)
キャンナスのよいところは、住民と何でも一緒にやるところ。入浴一つとっても、介助浴の時は送迎車の手配や場所や時間の確保、必要な時は一緒に入りますし、キャンナス・カフェでも一緒に音楽聞いて、一緒にお茶を飲む。
☆関連図書(既読)
「ふたたび、ここから-東日本大震災・石巻の人たちの50日間-」池上正樹著、ポプラ社、2011.06.06
「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」久志本成樹監修・石丸かずみ著、アスペクト、2011.09.06
「石巻赤十字病院の100日間」由井りょう子著、小学館、2011.10.05
「奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」」中原一歩著、朝日新書、2011.10.30
「海に沈んだ故郷(ふるさと)―北上川河口を襲った巨大津波 避難者の心・科学者の目」堀込光子著・堀込智之著、連合出版、2011.11.05
「さかな記者が見た大震災石巻讃歌」高成田享著、講談社、2012.01.06
(2012年3月7日・記)
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB08265633
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https://library.tenshi.ac.jp/opac/volume/133890
★「できる(can)ことを できる範囲で行うナース(nurse)」それがキャンナスです。
普段は在宅介護のお手伝いをしているキャンナスが
東日本大震災の現場で活動した記録が
この本につまっています。