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イギリスのヴィクトリア朝エジンバラを舞台としたファロ警部補シリーズ第1弾。歴史情緒とシェークスピア劇を背景に、2つめの殺人については無実を言い張った死刑囚のために真実を追う。
最初は憐れな出だしでなかなか盛り上がらないなあと思っていたら、中盤からファロ警部補の恋の行方が気になり俄然、猛烈に読み進めてしまいました。(笑)
ただミステリーとしてどうかというと結果としていまいち感がぬぐえない。全体を通じて論理展開が唐突で無理があり、犯人へ到達するまで都合良すぎる展開で、最終的にはこんなので「殺人犯」を特定できるわけがないし、仮に特定したにしても殺人で有罪にはできないレベルの結論なのではないか。そもそも犯人が最初から墓穴を掘り続けており、何もしなければ迷宮入り確実なのだがという思いもある。(笑)つまり、犯人を決めるまでの過程と決定打に欠けるんですね。伏線のはり方がみえみえなのも頂けない。中盤くらいからまあこの人が犯人だろうと・・・。(笑)さらに苦言すると、自分は今回たまたま「あとがき」を最初に読まなかったが、作者が懸命に都合良くミスリードしようとしている容疑者をあっさり消去してしまうような記述が・・・。これは読書倫理違反なので注意してもらいたい。
この作品は、物語背景に漂う雰囲気と義理の息子がパートナーという面白い設定、そしてファロ警部補の内面の葛藤が楽しめたので、まあ良しとしましょう。(笑)
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犯人逮捕で一件落着かと思われた連続殺人事件の真相を、ファロ警部補がその義理の息子ヴィンスと共に追います。
主人公のファロ警部補が事件の再捜査にいまいち乗り気でないので、わたしもいまいちストーリーにのめりこむ事が出来ませんでした。
もっと真相追求への情熱が欲しかった、というのが正直なところです。
事件に乗り気でないファロ警部補も久しぶりに訪れた恋の情熱にはのりのりです。堅物が恋にのめりこむという感じでもないし、このキャラクターは迷走している感じ。
しかし、義理の息子のヴィンスとの絆も素敵で、このコンビでのストーリーはもっと見たいと思わされます。
もともとあまりやる気がない再捜査の上に恋の熱に浮かれているわけですから、事件の解決は都合良く偶然に頼ったところが多いです。
ですが、これまでのファロ警部補の事件そっちのけでの右往左往の恋路がラストの展開に感慨を与えます。
とても読みやすい作品でした。
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ヴィクトリア朝エジンバラを舞台にした時代ミステリということで、さっそく読了。シリーズ第一作のせいか、事件自体より主人公周辺の描写に頁が裂かれているような気が…。展開上こう来るよなーと犯人もすぐ分かっちゃったし…。主人公の義理の息子の新米医師のほうはちょっと魅力的でした。
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エジンバラが舞台というのは珍しいかも。
スローペースな語り口に少々乗りそこねた感じで、主人公の魅力もつかめないまま読み終わってしまった。
宣伝文句ほど、シェークスピア劇が効果的に扱われていたかというと、そこらへんも、「うーん」だなー。
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「修道院の第二の殺人」
煙ただよう古都、ヴィクトリア朝エジンバラ。パトリック・ハイムズは修道院で働く妻と、そこの学校の教師だった女性を殺した罪で絞首刑に処された。しかし、彼は妻の殺害は認めたが、第2の殺人は頑として否認したまま死んだのだった。彼の最後の訴えを聞いたファロ警部補は、新米医師である義理の息子のヴィンスと再捜査を始める。ファロ警部補シリーズ第1弾。
主人公ファロ警部補、この人がこのシリーズのキーです。ファロ警部補はシェークスピアとチャールズ・ディケンズとウォルター・スコットを愛する感性豊かな人で恋に落ちたり、美少年巡査に嫉妬したり、色々チャーミング。しかしファロ警部補には義理の息子がおり、妻を亡くしています。つまり、彼は様々な背景を持つ人物です。
そんなファロがハイムズという殺人犯の最後の願いを聞いて捜査に乗り出すわけですが、その捜査にはシェークスピアの戯曲が散りばめられ、さらに義理の息子も登場し、非常にテンポ良く進んでいきます。また、途中途中にファロが事件を整理してくれるので、私自身も事件を整理しながら読んでいくことが出来ました。
最終的にこの事件の幕はクレオパトラと共に引かれます。そんな最後はとても美しい幕切れ。しかし、ファロの苦悩を考えるとなかなか良しとは出来ません(実際ファロの恋心ぶりは凄まじいw)
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二件の殺人で死刑になった男は、しかし二つ目の殺人だけは認めなかった。
ファロ警部補は遺族の頼みで個人的に捜査を始める。
ヴィクトリア調エジンバラが舞台。しかもタイトルが修道院ときては期待するなって方が無理な訳で。いやー、裏切られたよ。よくない意味で。
修道院の内情なんてほとんど出てこないし、ヴィクトリア調エジンバラもそれっぽいのは馬車がでることぐらい。
も少し細々した描写はあるんだけど、うーん残念。
それではミステリ部分がしっかりしているかといえばさにあらず。
犯人も動機も結末もありきたりで。その分さっくりと読めるのはいいんだけど物足りない。
キャラも思わせぶりなだけで、イマイチ動いてなかった。
ファロと亡くなった妻の連れ子のヴィンスがふたりで上手いこと捜査を進めて行くのかと思ったのだけど、それも違ったしな〜。
なんか全体的に物足りない作品だった。
次は歴史ミステリで面白い!とあとがきにあったのでそちらに期待しよう。
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すれっからしにとっては、もうひとつ。
義父からの視点で語りが進められるせいか、継子のヴィンスが私生児で苦しんだのが伝わってこない。学校でからかわれるからだけとは思えないが、当時の倫理観が肌で感じられないのがマイナス。
セイヤーズの「学寮祭の夜」における犯人の動機の理不尽さに腹が立つくらいのことがないと面白くない。
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2012年8月7日読了。
このシリーズの2作目が面白そうだったので、1作目から読んでみた。読みやすいお話ではあるけど、結構平坦な内容。
エジンバラが舞台なので、地図を頭に浮かべながら読めるのは良かった。
ミステリーとしては、途中ですぐに犯人が判ってしまうのが残念。
出てくる登場人物の魅力についても、この1作目では今一つわからなかった。
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修道院で働く妻と、その学校の教師の二人を殺したとして絞首刑になった男。刑執行の直前に本人から「教師は殺していない」と訴えられ、ファロ警部補は義理の息子の進言もあり、気が乗らないまま真相解明に乗り出します。
墓石に刻まれた生没年から1870年を舞台にした話だとわかりますが、せっかくのその時代の雰囲気や空気があまり感じられませんでした。エディンバラの特徴も言葉では説明されるだけでいまいちどんな場所なのか想像しにくい。これはもともと馴染みがないからで、まぁしょうがないかな、と。風俗や文化もよく分かりませんねぇ。自分の学友や女優の卵たちと遊ぶ場に親同伴でいくとか。被害者を語る上で真っ先に処女性が挙げられるってどうなのかとか。誕生日を前にヴィンスが警部補に放った八つ当たりは正直殴ってやれ!と思いました。
捜査の進行も、先に調べてしかるべき事柄を後回し。いくらやる気がないにしても、まどろっこしさがついて回ります。読んでいてもミスリードにもならないどころか、事件解決にはなんの関係もないんだろうな、と分かってしまう。全く意味をなさない設定もあるし(腸チフスは結局陰謀だったのか?被害者の容姿が似ている必要は?)、分量を増やすために間延びさせているような印象すら持ちました。そんなに人気が出るシリーズとも思えないんだけどなぁ…。
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う~ん、この第1作はかなりビミョーな作品かもしれません。 少なくとも KiKi はこの第1作を先に読んでいたら、第2作「エジンバラの古い柩」には手を出そうと思わなかったかもしれません ^^; 物語の舞台をエジンバラに於いているということ、シェイクスピア劇をふんだんに盛り込んでいるということ等々、KiKi にとって美味しい要素となりうるパーツは満載なんだけど、何かこううわっすべりな感じがする物語だったような気がするんですよね~。
「ヴィクトリア朝時代のエジンバラ」、しかも事件の舞台は「修道院」ということから KiKi が勝手に期待していた趣みたいなものがほとんど生かされていないお話になっちゃっているような気がするんですよね。 その時代特有の雰囲気・香りみたいなものが全くといっていいほど漂ってこない・・・・・と言いましょうか? 捜査手法がクラシカルなことを除くとこれが現代を舞台とする物語であっても全然困らないような描き方しかしていないように感じられちゃったんですよね~。
舞台が生かし切れていないのと同様に、人物描写の方もちょっとねぇ・・・・・。 人物紹介にページを割いている割には、その人物たちに共感しにくいというか、魅力を感じないというか・・・・・。 だいたいにおいてこの連作物語の主要人物であるファロ警部補 & その義理の息子 ヴィンス(この2人がこの物語のホームズでありワトソンなんだけど)が Good Looking の魅力溢れる男性と言われちゃった瞬間に嘘っぽい(苦笑)と思っちゃった・・・・・。 天才的な刑事なんだから、ひと癖もふた癖もあってもいいんだけど、「魅力的」と言われる割にはその描写が欠けているように感じちゃうんですよ。
中年の男やもめという設定のファロ警部補が否応なく感じている「もう若くはないというある種の焦り」とか「若くて如才なく人当たりがよいうえに仕事もできる部下に対する嫉妬心」っていうのは若い人ならともかく、KiKi ぐらいの年齢になれば我が身に照らして切実に理解できるんだけど、そういう感情を持ちつつも魅力を失わない中年男の書き様っていうのはいろいろあると思うんです。 でも少なくともこの巻での描写は魅力とは対極にあるもののように KiKi には感じられました。
さらに言えば、これ、一応ミステリー、推理小説の類の物語だと思うんだけど、そっちの描き方が何とも薄っぺらくて、謎解きのスリルも感じなければゾクゾクするような興奮ともちょっと無縁な感じがするんですよね。 肝心要のファロ警部補はそもそも事件解決に最初からさほど乗り気じゃないうえに、途中からは事件そっちのけ(?)でまるで青少年みたいなうぶさ加減を示しながら恋に夢中になっちゃっているし・・・・・ ^^;
義理の息子 ヴィンスがそんな彼を暖かく見守りながらも事件解決に向けてぐいぐい引っ張っていくのか(実際当初の書き出しはそんな雰囲気もあったりする)と思いきや、彼も途中から事件への関与具合がおざなり・・・・というか、興味を失っちゃったような雰囲気だし・・・・・・。 まあ、彼は医者という別の仕事を持っているから、ファロ警部補と同じように事件にのめり込むわけにはいかないけれど、事件に対する興味の持ち方・向き合い方がワイドショーを見る好奇心旺盛な一般人レベルとさして変わらないような印象です。 で、彼ら2人の熱さが欠けている分、読んでいるこちらも事件解決への興味が冷めちゃったようなところもあったように思います。
大学時代にシェイクスピアを学んだ身としては、シェイクスピアの戯曲を扱っている物語だということだったので、そっち方面の記述もかなり期待していたんだけど、そこもかなり期待外れだったかも・・・・。 シェイクスピア劇のセリフが多用されていることと、ファロ警部補が古き良き時代のシェイクスピア劇(決して現代的な演出のそれではないこと)を愛しているっていうことは伝わってきたけれど、あとは彼の片思いの小道具程度の印象しか残りませんでした。
事件アリ、家庭生活アリ、中年の危機アリ、男やもめの恋情アリと、一つ一つのアイテムはそれだけでも面白くなりそうな要素が盛りだくさんなんだけど、詰め込みすぎちゃっていて何となく散漫な感じがしちゃうんですよね。
訳者あとがきによれば、このシリーズは2008年までで17作も書かれている人気シリーズとのことなんだけど、その人気の理由・長寿の理由が KiKi にはちょっと理解できなかったりします。 まあこれは偏にファロ警部補をはじめとする登場人物(特にシリーズを通して登場することが想定できそうな人たち)に現段階ではさほどの吸引力を感じていないことによるものだと思うんですけどね。 第3作以降への期待をつなぐ要素としては、あの第2作での事件を経た後に、ファロ警部補はどんな風に仕事を続けることができたのか・・・・・というポイントかな??
どちらかというと国家権力側の仕事をする(・・・・という感覚はひょっとすると現代人のそれなのかもしれませんが ^^;)ファロ警部補が、その国家権力の欺瞞・恐ろしさを知ってしまったあの後15冊分、彼がどんな風に仕事へのモチベーションを保ちつづけながら警部補職を全うしたのか?については、半端じゃなく興味をかきたてられます(笑)
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本格推理物かなと思っていたら、どちらかというとロマンスよりのミステリ。
時代はヴィクトリア朝。ヴィクトリア朝(のちょっと退廃美的なところが)大好きなんだけど、私の思う世紀末的な印象よりは爽やかで切ない物語でした。
ストーリーとしては正直結末が読めてしまったんだけど、当時の風俗がちょっと垣間見られて(生まれた階級や地域の問題、それによる登場人物の心の動きなど)、面白かったです。
基本3段階評価で、本格推理物を期待していた分、一つ差し引いて星ふたつ。
それにしても、欧米ではシェイクスピアって一般教養の範囲なのかな?
割とよく引用されている気がするし、登場人物が大体筋も分かっていてすらっと引用したりするけど、それって普通なのかしら?
日本で言ったら平家物語で諸行無常の…って言ったりとか、枕草子をひいたりするようなもの?
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エジンバラで2人が殺された連続殺人事件が起こるが、2人目の被害者には別の犯人がいると、主人公の警部補は再捜査を始める。
この人の本、面白い!
書き方が独特なのか、最初に登場人物の全ての説明がなく、情報が小出しになる。
それまで、小出しにされた情報で色々想像しながら読める。
今回の作品はシェイクスピアのセリフが出てくるが、それがただのミステリではなくまた違った感じを出してくれてて面白い。
ただ、ラストがちょっとなあ。
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ヴィクトリア朝の英国ミステリだが、舞台がスコットランド、エジンバラ。やもめの警部補とその亡妻の連れ子である医師というコンビが探偵役。目新しいところはこのあたりかな。
ただこの設定をみて大誤解。警部補→初老、連れ子→30代かと思いきやとんでもない。親父はアラフォー、連れ子は22歳。何しろ連れ子は亡妻16歳のときの(災難というか今なら立派な事件で生まれた)子どもなので、こういう年回り。そしてこれが意外に本編のかくれたポイント。
もう1つ、誤解ではないがちょっとひっかかったのが名前。親子の名前がつながって出てくると、ついついヴァン・ダインのあの探偵を思い浮かべてしまう。
で、ミステリとしてどうかというと、テイストはカドフェルだけど、そこまで世界にひきこまれなかったので今ひとつ。
シリーズのようなので次にも手を出してはみようとは思う。
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二作目が面白いと聞いたのでそちらを先に読みたいのを我慢して読みました。
二作目が面白い…と思っていなかったら続きは読まないだろうな…という感じ。
いや、面白くないわけでは決してありません。
魅力的な登場人物もいます。美形男子も登場しますしね!
(主人公のファロはいまいちですが)
ただ…主人公の恋愛に読んでてうんざりします(笑)
中年だと思わせる書き方に読みすすめていると三十代だったり。
もうちょっとビクトリア朝エンジンバラという設定をいかせていたら、もっと面白かったんだろうなぁ…という気がします。
犯人は後半になって分かってしまいました。
でも、そこらへんはあんまり気になりません。分かってしまっても最後まで読めます。
重くなく簡単に読めるので、ミステリー初心者にもおすすめじゃないかな。
これに関してはあまり知識がなくても読めますし。
シェークスピアとか知っていればなお面白いんだろうけど、知らなくても問題はありません。有名な作品のタイトルさえ知っていれば大丈夫だと思います。
まだ三作しか刊行されていないようなので、続刊も出して欲しいです。
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「エジンバラの古い柩」の次に読んだ話。ミステリーとしては結構楽しめました。主人公があまり好きになれないのが残念。