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スウェーデンのエーランド島を舞台にした四季四部作の二冊目。島の北の果ての灯台を舞台にブリザードの吹き荒れる冬のさなかの物語。
日本語版は、詩的な優しい感じの表紙だけど、スウェーデンや英語版はかなりおどろおどろしい雰囲気の表紙になってる。内容的には、ソッチの方が正しいのかもと、読み終えて思った。かなり生臭いし、後味はかなり苦い感じ。
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『黄昏に眠る秋』につづく、エーランド島シリーズ第2弾。
実は先に第3弾である『赤く微笑む春』を読んでしまったのだが、ストーリーは本当に緩く繋がっているだけなので、問題なし。
ヨハン・テリオンの作品は、作品の底に諦観や哀愁が流れているが、本作は衝撃的な序盤のストーリー展開もあって、特にその感が強い。
幽霊譚でありながら、きちんとミステリとして成立していて、さすがのデキ。
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エーランド島三部作の二作品目。
一作品目の方は女性が主人公だったためか、
もう少し過去ベクトルな言動でイライラしても受け入れられたのに、
本作品は男性主人公だったためか、
なんかメソメソ感がげんなりとしてしまいました。
一作品目でも登場したおじいちゃん探偵イェルロフがまた登場して
応援するも、ダーヴィッドソン家の過去も明らかになったりで、
単にワクワクとはしません。
悲しい過去、嫌なことする人間、全部内包して未来が紡がれていく
という、時間感覚の描写が圧倒的にすごいです。
コセコセした空間・場所で生まれ育った感覚では培えない感性で
描かれる、静かなミステリです。
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長かった……。
重すぎというほどではないけれど、
ずっしり、若干、じっとり?と重量感があるお話でした。
これから「黄昏に眠る秋」を読んで見ます。
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前作「黄昏に眠る秋」の続編。
気分を一新するために転居した古い屋敷で、家族に不幸が訪れる。事故か事件か、悲嘆にくれる主人公。
日光の恵みの少ないスウェーデンならではの、陰鬱とした雰囲気が生きている。登場人物は皆、どこか後ろ暗いものを抱え悩んでいる。閉鎖的な古い屋敷に死者の気配が漂うあたりは、どこかスティーブン・キングの「シャイニング」が思い起こされた。
次作、春も読んでみたい。
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1作目の『黄昏』同様、ゆっくりゆっくり進む。でも『黄昏』よりもミステリー度が少なく、主人公男性の後ろ向きさ加減が読むペースまでスローダウンさせる。いや、長いわー…。
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スウェーデンのエーランド島を舞台にした4部作の2冊目。
前作に出ていたイェルロフ老人はまた登場して、いい味を出しています。
事件は繋がっていないので、前作を読んでいなくても、差し支えはありません。
エーランド島の北端ウナギ岬の家に越してきたヨアキム一家。
人里離れた一軒家だが、自分達でリフォームする能力がある夫婦で、子育てにはいいと思っていた。
ところが妻カトリンが突然海で亡くなり、自殺か事故か?わからない。
途方にくれる夫は家で何者かの気配を感じ、幼い子供たちは母の帰りを待ちわびる‥
古い灯台のそばにある屋敷はさまざまな歴史を秘めていて、ややホラーがかったそういうエピソードが章ごとに語られ、一つ一つに掌編小説の趣があります。
いぜんヨアキムの妻の家族がここに住んでいたこともあり、妻の母ミルヤも強烈な個性のある芸術家。
島には警察組織もなく、久々に女性警官ティルダが赴任するが、一人でてんてこ舞いすることになる。
このティルダが実はイェルロフの兄の孫で、父親や祖父のことを知りたいとイェルロフを訪ねてくる。
元船長のイェルロフは彼なりの視点と人脈で捜査に一役買うことに。
一方、人のいない別荘を荒らして回る強盗も計画を練っていて‥?
さまざまな人間の思惑が、この土地特有の激しいブリザードの夜に集約する‥!
荒涼とした風景と、そこで限りある命を思い思いに燃やす人間達。
哀切という言葉がこれほど似合う作家も少ないでしょう。
きらっと光るものも点在し、独特な読み応えでした。
スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長編賞、ガラスの鍵賞、英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞と3冠に輝いた受賞作品。
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テリオンのエーランド島のミステリーである。イエルロフのおじいさんの推理とあとがきに書いてあるが、それほどそれが中心ではないように感じられる。
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スウェーデンの小さな島を舞台にしたミステリー。寒そうな様子がよく伝わってくる。
人の少ない島に引っ越してきた一家。主人公の妻が海で溺れて死ぬのだが、不審な点があった。別の窃盗事件を調査していた婦人警官が絡んでくる。
北欧という世界が個人的にとても新鮮だった。構成が緻密でデリケートで、厳かな読後感に満たされる。
途中までは展開がスローだが、日本の量産ミステリーに飽きてしまった人に、是非お勧めしたい不思議な魅力のある本だった。
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「黄昏に眠る秋」の続編にあたるスウェーデンミステリー。「黄昏…」から判断して、重くゆるりと進むストーリーと思ったので、なかなか手をつけずに未読のままだった。
といっても、読み始めればやっぱりページをめくる手は止まらなかったので、さすがだなあ、と感心しきり。
ただ、ページをめくってもめくっても、なかなか話が進んでいる気がしないのは予想通り。内容がないわけではないのだけど、雰囲気とか幽霊とか過去話の挿入などが絡まって、肝心の事件も、殺人なんだか事故なんだか、かなり後半にならないとはっきりしないんだよね。
でも、今回は脇役的なイェルロフ船長が、見事に最後に存在感を示し、畳み掛けるようにパズルのピースがはまっていくかのごとくのラストはお見事。
次作がとっくの昔に出てるので、またいずれ買う予定。で、またしばらーく未読のままになるんだろうなあ……
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再読なのにたくさんの事を忘れてしまっていた私。でもだからこそまた新鮮な気持ちで読めた。
イェルロフが直接関わっている訳では無いけど、所々でいい味をだしている。
そして嫌な奴はちゃんと報いを受けているのが小気味良くもある。
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エーランド島4部作の2作目。とは言っても、前作とのつながりは薄く(名探偵役が一緒なのと舞台がエーランドだという以外はほとんど関係なし)、こっちから読み始めても全く問題なしだと思う。
スウェーデンにあるエーランド島東部、ウナギ岬という場所にある古い館をリフォームしようと訪れた一家の奥さんエトリンが謎の死を遂げるところから話がジワジワ転がっていく。
一家をとりまく幽霊の気配から、ホラー系の話に展開するのかと思いきや、他の登場人物たちはやたら世俗的なことにうつつを抜かす。別荘荒らしグループや、不倫相手の都合よさに翻弄される女性警官…。
それだけでなく、登場人物たちの生まれる前くらい過去に関わる血縁関係者の話が話中に挟まれる。挿話の多さと展開の遅さに「おいおい、これどうなんの?」とジレたりもする。
だが、安心してそのゆっくりしたストーリー展開に身をゆだねて、クリスマス準備シーズンのエーランド情景を楽しんでおけばよい。ブリザードが荒れるクライマックスの描写と物語の収束…風呂敷回収の見事さは期待を裏切らないので。
いやー、上手いわ。ミステリーというジャンルで語り尽くせない良い小説。暖冬とはいえ、冬に読めて良かった。残り、春と夏の2作が楽しみである。
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スウェーデン エーランド島ミステリー四部作、昨年10月「秋」に続き第二弾「冬」を読みました。
「冬」は「彷徨う死者の気配」
舞台は「泥炭湿地」「凍る海」を背景に「うなぎ岬の二つの灯台と屋敷」で、今回も独特の情景を描いて、読み手を夢中にしてしまいます。
風と波と、海が凍る音、岩間を抜ける風の音、建物の軋み、足音、壁の中の物音、誰かの囁き、読んでいて心がザワザワ……と、なんだかホラー映画のようですが、そこはあくまでミステリー。
心に抱える「冬の闇」
後ろめたさ、後悔、疑念、思い込み
それは愛情とは裏腹に心に粘り着く。
様々な思惑が、やがて冬のブリザードの夜に向かって押し寄せていく。
読後に冷静になって考えるといくつもツッコミどころがあるものの、不思議な役割を持つイェルロフと凄まじいスウェーデンの冬が、そんなことを吹っ飛ばしてくれます。
終盤に灯台から出てきた○○○の油絵が見たい……。
次は「春」に「春」を読みます。
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これはミステリなのか?と思うほど、推理は遅々として進まない。主人公の心の不安定さがオカルト的なものにつながって、不思議な雰囲気を出している。屋敷にまつわる歴史も加わって、全体として暗いトーン。終盤、一気に事が進むので、その緊張感で読むのが止まらなかった。
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秋から始まり、季節は冬へ。暗く寂しいイメージそのままに、一つの家族を悲劇が襲う。一見ただの事故にしか思えない悲劇はどうやら殺人だったらしい。けれど、事件の謎を追うわけではなく、人間関係や自然の厳しさ、過去の悲劇を辿っていくのが、一連の作品の特徴に思える。一作目から読み始めると登場人物達を深掘りすることが出来るが、まぁどこから読んでも概ね面白く読めそうな気がする。ミステリーや謎解きを期待するとちょっと物足りなさを感じるかもしれない。死後の世界、幽霊は存在するのか。それを証明するのは不可能だ。けれど、確かに感じる出来事がこの世に存在しているのもまた、事実だ。今回の犯人が、逮捕されるのかどうかはまだこの時点では分からないが、少なくとも殺されただろう被害者は真実を知っている。しかし、突然喪った妻が愛しいのは分かるのだが、ブリザード吹き荒れる中、子供達だけを家の中に残しておくのは、流石に頂けない。今回はたまたま子供達に何も無かったけれど、もう少し、生きている子供達に目を向けてあげて下さい、と思ってしまった。