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「恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス」マーク・トウェイン
「女か虎か」フランク・R・ストックトン ◎
「三日月刀の督励官」フランク・R・ストックトン
「女と虎と」ジャック・モフィット
「謎のカード」クリーブランド・モフェット
「続・謎のカード」クリーブランド・モフェット
「穴のあいた記憶」バリー・ペロウン
「ヒギン・ボタム氏の災難」ナサニエル・ホーソーン
「茶わんのなか」小泉八雲
「指貫きゲーム」O・ヘンリー
「ジョコンダの微笑 」オルダス・ハックスリー
「野原」ロード・ダンセイニ
「宵やみ」サキ
「園丁」ラドヤード・キプリング
「七階」ディノ・ブッツァーティ
リドルストーリーというのは、「女か虎か」みたいな結末に解決しないが、何種類かの答えの可能性を残し結末に想像の余韻を残すものと考えていた。けれど解説を読んでもっと広い意味で使われていて単純に謎の物語として集められていたので、物足りなさを感じた。
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リドル・ストーリーのアンソロジー。
このジャンルの白眉であるストックトンの「女か虎か」が、やはり傑出していて面白い。同じ作者の続編である「三日月刀の督励官」も面白いが、やや二番煎じの感がある。
モフェット「謎のカード」、サキ「宵やみ」も面白かったが、ブッツァーティの「七階」は不条理感があってなんだか怖い。
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リドル・ストーリーを集めたアンソロジー。ストックトンの有名古典「女か虎か」が収録されていると聞いて購入した。印象に残ったものに簡単に触れる。
「恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス」(マーク・トウェイン)
これはストックトンよりも先に発表された作品だが、トウェイン自身は風刺小説として書いたらしく、リドル・ストーリーとしての認識はなかった模様。
どちらに転んでも悲劇しか待っていない状況でぷつんと切られたラストが印象的。
「女か虎か」(フランク・R・ストックトン)
リドル・ストーリーの代表作。Wikipediaのリドル・ストーリーの項にはこの作品の粗筋が掲載されているほど。
どちらを選んでも王女は彼を失うわけだが、だからこそどちらを選ぶかが気になる。個人的には虎を選んでいた方がサロメ的な独占欲を感じられて好み。
あと、「どっちを選べばいい?(=俺を助けてくれるよね?)」と目顔で確認してる時点で、私としてはアウト。身分違いである以上、見つかったら罰せられるって分かってただろう。潔く自分の恋の責任をとって向かおうとしているなら、王女は女性のいる扉を指すんじゃないだろうか。
自分が王女だったらどっちを教えるだろう、そして自分が青年だったら……、などと考えるのも楽しい。
まさにこれこそがリドル・ストーリーの醍醐味。
「女と虎と」(ジャック・モフィット)
ストックトンの「女か虎か」の解答として書かれた作品。数ある解答もののなかでは、これが一番優れているとされているのだとか。
手紙形式とはいえ一人称で語られるラブロマンスに感情移入した挙句に、ねえ……。
「謎のカード」(クリーヴランド・モフェット)
「続・謎のカード」(クリーヴランド・モフェット)
これも有名作の「謎のカード」。粗筋は知っていたがちゃんと読むのは初めて。
「続・謎のカード」は作家自身の手になる解決編だが、いきなりオカルティックになっているのが拍子抜け。まあこれはこれで予想外の解答だったので面白くはあったが。
作者の考えた解答が最高のものではないこと、そしてリドル・ストーリーはリドルだからこそ魅力あるものなこと、を実感した。
「ヒギンボタム氏の災難」(ナサニエル・ホーソーン)
この作品は他の収録作に比べて少し異色。途中まで謎は確かに存在するが、他の「リドル・ストーリー」と違いきちんと最後に解決して終わる。でもその謎の解かれ方が鮮やかで、これはこれでよかった。
噂がどんどん大げさになって伝播していく様子が、面白い一方で少し怖い。
「園丁」(ラドヤード・キプリング)
初読後の一番の感想は、「謎」ってなんだ?ということだった。
作中で示されている新約聖書の該当節を調べ、更に再読して意味が分かった。キリスト教圏の人ならすぐに分かるのだろうなあと思うと悔しい。
ただ、理解していない初読の時も、この作品に控えめに漂う悲哀は充分に伝わった。「女か虎か」のような典型的リドル・ストーリーではないが、かなり好みの作品。
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結末を読者に委ねる“純粋な”リドル・ストーリーといえるのは、このジャンルの代名詞でもある「女か虎か」をはじめとした、最初の数編にとどまる。というよりモフィットの1編は「女か虎か」の回答編として書かれたうちで最も優れているものだそうで。
中盤からは結末そのものより、提示された1つの結末につながっていく上で「何が起っていたのか?」「理由は何だったのか?」という点をぼやかせる―あるいは触れずにおく―ことで、読者に印象付けさせるような作品が並ぶ。
詳細はこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2012-05-10
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『追想五断章』の作者、米澤穂信が薦めていたリドルストーリーのオムニバス集。
有名な「女か虎か」をはじめ、こちら側の想像力を刺激する短編がずらり。
ただリドルストーリーなので結末や謎の部分が曖昧なまま終わるものが多いのでそういった読後のモヤモヤ感が苦手な人にはキツいかと。
「女か虎か」に別の作家がオチを付けたりした物語もあって面白かった。
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追想五断想にでてきたので、読んでみた。
短編集で、ゴシックホラーとミステリの混合。謎のカード、女か虎か、など、読み終わった後もいろいろ想像できて楽しい。なぞ、はホラーに近いかも。
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便宜上「日本作家」にカテゴライズしたが、単に編者が日本人だというだけで、中身は内外問わぬオムニバスとなっている。
少し変わっているのは、全てがリドル・ストーリーであるということ。
謎が謎のままそっと置かれている。
あるいは、読者を置いてどこかへ消えてしまう。
読者は、その謎を自由に想像し、解き明かす。
非常に残念なことに、己の感性の貧困さが如実に分かってしまう本でもある。
数年後読み返したとき、きっと私は今とは違う物語の結末を見るだろう。それが楽しみだ。
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■「リドル・ストーリー」と呼ばれる、
結末を明示せず読者の想像に委ねるタイプの物語を集めた短編アンソロジー。
お気に入りはドス黒い不条理劇、ブッツァーティの「七階」。
■モフェット「謎のカード」は
作者自身による解決編「続・謎のカード」で興醒め。
無関係な作品としてバラして読めばどちらも良作と言えるだろうけど、
続けて読むと両方つまらなく思えてしまう、珍しい体験(笑)
■ホーソーンの小説には今まであまりいい印象を持っていなかったが、
二転三転、種明かしという「ヒギンボタム氏の災難」は面白かった。
■キプリング「園丁」は、サラッと読み流すと何だかわからないが、
編者の解題のネタバレしない少ないヒントでピンと来た。
それについては非公開メモに記録しておこう。
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米澤穂信さんの「追想五断章」の中でリドル・ストーリーが題材になっていて興味がわいて読んでみました。
面白かったです‼
話に自由な解釈を持てるところが気に入りました。
特にF•R•ストックトンの「女か虎か」は15篇ある作品の中でも惹かれました‼
でも、J•モフィットの続編はあまりにもミリアムが救われないので、あまり好きにはなれませんでした。
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同じ紀田順一郎訳ということで、ずっと以前に読んだ
「M・Rジェイムズ怪談全集」など思い出しながら読んだ。
全編リドル・ストーリー(結末がない物語)が選ばれていて
いるようだが、単純にそうとばかりはいえない話もあったり、
また、様々な作家の個性的な作品を集めているところも
興味深くて、通勤電車に長時間乗っていることを忘れさせて
くれる、楽しめる一冊だった。
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明確な「オチ」が書かれていない作品のアンソロジー。
そんなの読んで面白いのかと思いきや、それが面白いんだな〜。
*収録作品
「女か虎か」F・R・ストックトン
「謎のカード」C・モフェット
「穴のあいた記憶」B・ペロウン
「なにかが起こった」D・ブッツアーティ
「茶わんのなか」L・ハーン(小泉八雲)
「ヒギンボダム氏の災難」N・ホーソーン
「新月」木々高太郎
「青頭巾」上田秋成『雨月物語』収録
「なぞ」W・デ・ラ・メア
「チョコレット」稲垣足穂
「おもちゃ」H・ジェイコブズ
おすすめは「謎のカード」。フランスを訪れた主人公のアメリカ人が見知らぬ美女から謎のカードをもらう。カードに書かれたフランス語がわからず、ホテルの従業員をはじめとする様々な人に聞いて回るが、何やら恐ろしい(おぞましい?)ことが書いてあるようで人々に忌み嫌われ、ついには妻にも離婚を言い渡されてしまい……というストーリー。今ならスマホですぐ検索出来ちゃうのであまり恐怖感ないかもしれない(笑)。
オチというか怪異の真相が書かれていない作品が多いので、そういうのがモヤっとする人には向かないかもしれない。
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リドルストーリーといわれる結末をはっきりさせない種類の作品集とのこと。ミステリーのテクニックの一つのようだ。余韻というのとはちょっと違う、こういう話は個人的には好きなタイプではない。
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米澤穂信の『追想五断章』がリドルストーリーもので、解説の中に、リドルストーリーの古典に関する解説があった。そこで上がっていた作品が全部入っていてので読んでみた。
やはりというか、リドルストーリーの最高傑作と言われる『女か虎か』が極短い作品ながらいちばん面白く、本人による続編も、別の人による変奏曲的作品『女と虎と』もどちらも面白かった。後者はタイトルがオチを示しているが、読み終えるまで全く予想出来ない展開だった。
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謎は謎のまま、答えは明示されない。
そんな『結末』のない物語が15篇。
“どんでん返し”や“まさかの真相”に驚かされる方が好きだけど、最後の最後で放置されるこの感じも嫌いじゃない。
分かりやすい物語に飽きた時、また読みたくなる気がする。
モヤモヤ感でいうと「謎のカード」が断トツだと思う。
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「この本は、いろいろな「謎」を含んだ物語ばかりを十一編ほど集めたものです。それも、とびきりの謎ばかりです。」
この本の目次
女か虎か(F.R.ストックトン)
謎のカード(C.モフェット)
穴のあいた記憶(B.ペロウン)
なにかが起こった(D.ブッツァーティ)
茶わんのなか(小泉八雲)
ヒギンボタム氏の災難(N.ホーソーン)
新月(木々高太郎)
青頭巾(上田秋成)
なぞ(W.デ・ラ・メア)
チョコレット(稲垣足穂)
おもちゃ(H.ジェイコブズ)
「F.Rストックトン(1834~1902)
「『女か虎か』は、美女を手に入れるか、それとも虎に食べられてしまうか、読者に解決をゆだねるリドル・ストーリー(謎かけ小説)の典型です。知る人ぞ知るユニークなミステリー!」
(『短篇小説を読もう』阿刀田高 著 の紹介より)