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海辺の養護施設・愛生園での生活を語る少年・少女たち。
こどもは自分の環境を自分で選べない。
吹き矢ダーツのように、自分の矢が当たったところで生きていくしかない、ということを、当の子どもたちが知ってしまっている話の展開が切ない&巧いなぁ、と。
様々な家庭の事情を背負った子たちが、自分の理解できる範囲でその事情を語っているのだけど、何でも受け入れなければならないのが1人では生きていけない子どもの宿命であるわけで、その意味で、どんなに悲惨な背景であっても、淡々と話しているように見えるところが、川島誠だなぁ、と思いました。
子どもたちが自分を語り、園の他の子どもを語り。
うん、読者にとっては、1人の子どもが他人からはどう見えているのか、その子は何を考えているのか、が徐々に立体パズルをはめ込むようにわかっていくところが興深かったところですね。
大人の欺瞞を、子どもたちは簡単に見破り、また、逆に、どこか捉えどころのない大人に対しても、彼らなりのアプローチ、というか、接し方をして、意識的にしろ、無意識にしろ、自分が自分であるための立ち位置を確保しようとしているところも。
川島誠と言えば、なんと言っても「800」だけど、今、ウィキで調べてみたら本業は塾講師、なんですね。そっか・・、なんか分かる気がするなぁ。そして、私が知らない作品も、上梓されてたんだ。これはちょっと追いかけてみなくちゃ、です。
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親がいなくなった、虐待をされている、引き取り手がなかった。
そんな様々な理由を持った子供達が過ごす場所。
そこで起こった事や、人に関する短編集?
ここまで色々な背後が集まると、それはそれですごい感じです。
『園』と呼ばれるようになっても、結局近所の人達からは
孤児院、と呼ばれる、自由がない場所。
落ち…というか、やっぱり、な最後でした。
ただ、来てはいけない、と言われた理由が謎です。
不正がばれるから?
こことかかわり合いを持つな、という事?
どちらかというと、前者な気がしますが…落ちを考えると。
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海辺の養護施設・愛生園で暮らす子どもたちの連作小説。
かなりハードな環境から園で暮らすことになった子どもばかりで、読んでいてつらくなる。
登場人物の個性は、ある意味、川島誠らしい小説とも言えると思う。そこについて行けない読者も多いかもしれないけれど。
それでも、園を卒園して、寿司屋で働き卒園者として園で寿司(巻き寿司だけど)をふるまったりする姿は、ホッとする。
我が家の近所に養護施設があり、そこの子どもたちは普通に公立の小・中学校に通っており、各学年に2~3人は施設の子どもがいる。もちろん、様々な事情で施設に入っているようだが、皆が皆、こんなハードな環境ではないし、同じ学校の子どもたちも、そんなに特殊な目で見ているわけではない。園の先生たちも、熱心に保護者会や学校行事に親代わりに参加している。そんな施設の子どもたちや、先生たちが、この小説を読んだら、ちょっと悲しいのかもしれない。
小説の題材としては面白いけれど、現実この環境にある人たちは、面白くはないと思う。
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海辺の養護施設・愛生園で暮らす少年少女の告白あれこれ。
色んな子の視点から、大人のエゴや虐げられるものの姿が浮かび上がってくる。
ただ、そこには単純な「かわいそうな子供」という姿はなく、或る意味したたかな子供の生き様が描かれているところが秀逸。
『800』が有名だったので、スポーツものが得意な作家さんなんだとばかり思っていたけれど、それ以外にもこんないい作品があったのね。
実は初・川島作品だったりする。
評価はかなり星四つに近かったかも。
他の作品も読んでみようと思わされる作家さんでした。
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ほかの誰も薦めなかったとしても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します。 (14歳の世渡り術)
に出てきたのでチェック。
んー。物足りない。
1時間かかんないぐらいで読み終わりました。
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2012.8.21 市立図書館
初めての作家さん。
語り手が変わるけど、読みやすい。
ぐぅっと胸をつかまれるところもあるけれど、読後感は悪くない。
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そうか、みなしごって漢字だと
「孤児」になるのか…
今、初めて知った。
絶望でも希望でもなくて
ただ、そこにはそこの毎日があるだけ。
でもさ、『神様のみなしご』って
言葉の響きがなんか良いよね。
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様々な理由で愛生園で生活する少年少女の物語。色々あるな~
2013.1.12
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○連作短編集としての緊密な構成は、あまり感じられない。
○自己認識ができないまま、ここにいなくてはならない。その虚ろさ。でも、その虚ろさを明確には認識できないからこそ、何とか過ごせるのかもしれない。
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ある大物政治家の別荘だった,キリスト教の児童養護施設・愛生園~牧浦郷治は両親に虐待を受けて禄に食事を取らせて貰えず押入で寝ていた6年生だが身体は小さく3年生にしか見えない。からかってくる同級生に給食のおかずを少ししかよそって貰えず2度目のお代わりのシチューをそいつに頭からかけて取っ組み合いになり,相手の小指を噛み切らんばかりの粘りを見せた。宮本ABは祖父母から公衆便所と呼ばれている母と人殺しになったかも知れない父から生まれたが,中2で施設に来た。サッカーの地区別勝ち抜き戦で活躍し,優勝した。県庁所在地の川沿いにあるちょんの間で母が殺された前川裕貴は容貌が父親似らしく,全寮制のキリスト教中高一貫校に入れて貰えるのは美しい外見のせいらしいのは礼拝所の奧に若い神父がつれこむことからも分かるが,感情を表に出さない障碍がある。浅田陽一は生まれてこの方飯場暮らしだった。谷本理奈は町工場を営む両親が倒産を苦に自殺してやってきたが,妹は母方の祖母叔母と仲良くやっている。今にして思うと,父親は娘二人も道連れにしようとし,母が救ってくれたのだった。地域の人達との交流のために催される,お披露目会で劇をやることになったのは,理奈とBと黒木だ。王子と乞食を舞台をここに変えてやるつもりだが,Bは突然,久里浜帰りだと黒木の秘密をアドリブで入れ始めた。父親を殺そうとしたのは事実だが,久里浜の高等少年院じゃなくて医療少年院だけどねと黒木は笑っている。浅田が卒園し,外食系の鮨屋に勤め始め,先輩から教えられた園長の不正は元高校教諭を雇っていることにして年間500万円を受け取っていたことだった。出て行く子ども達に園長は戻ってくるなと云いつつ,在園者にはここは家だと云っている。ホームカミングデイの案内が来て,前田も前川も戻ってみる~取っ組み合いの喧嘩より驚いて泣きだし先生が呼ばれてお終い・・という展開の方があり得る。孤児院の今を連作で描いたが,発表雑誌は雑多。作者は1956年,京大卒,1983年に短篇で作家デビュー。映画化された本もあるそうだが,知った本がなく,物書きとして喰っていけてるのか心配だ。副業というか本業というか,もう一つの仕事は持っているんだろう。余計なお世話でした
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#読了。連作短編集。児童養護施設(孤児院)の愛生園を舞台に繰り広げられる少年少女の物語。もちろん家庭に問題があるから、このような施設に子どもたちは来るわけだが・・・今一つ共感できず。
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愛生園で暮らす子どもたちの様子、なぜ愛生園に来たのか、自分の親や周りの大人たちのことが、子どもの目線で書かれている。
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神は、その子をお与えになるほど、この世を愛されたのです。
柔らかい頭で読んでほしい。かわいそうな話ではない。あまりに小さい頃に読むと、わからないかもしれない。でも、中学生くらいで読んでほしい。子どもが生きていくうえで、必要なものは何なのだろうか。居場所?
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それぞれツライ事情があって施設で暮らしているのに、そういうことを超越しちゃったのかな、静かに「しょうがないでしょ?まだ子供なんだし」ってな感じで淡々としている。でも読んでる方は心が重くなる。はぁ・・・・。
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金原瑞人が絶賛していたので読んでみた。YAにおすすめとなっていたが、どうかなあ。私なら高校生でもおすすめはしないな。
実際に虐待されている子どもは読みたくないだろう。普通の子どもが読むにはちょっとハードすぎるし、世の中を知らない子どもが施設で暮らす子どもに偏見を持ってしまいそうなのも気になる。いくら孤児院(児童養護施設)とはいえ、親から性的虐待を受けたり、親が人殺しだったり、食事も与えられないほどのネグレクトだったり、母が売春婦で殺されたり、あまりにも凄すぎないか?小さい施設の割には。両親が離婚したけど引き取れないとかもうちょっと普通の子がいてもいい気がするけど。
子どもたちの友情はなかなか感動的だけど、施設の大人たちの個性が殆ど感じられないのは何だか平面的な感じがする。『青空のかけら』の方がずっといい。
子どもたちの将来に明るさがあまり見えないところも子ども向けとは言えない。
大人が読むなら特に問題ないけど、すごくいいかと訊かれると、そうでもない。