投稿元:
レビューを見る
恋愛小説において、「女の子はなぜ死ぬのか」、その恋愛小説から分裂し今や地上を覆い尽くした「ラブコメ的欲望とは何なのか」というテーマを、川端康成->庄司薫->村上春樹(!)という3人の系譜による圧縮された文学史を使って、恋愛小説、ラブコメを成り立たせる「物語」を柔らかく明快に解きほぐす。
語り口は非常に柔らかいが論旨は太く明快で、ライトノベルしか読んだことのないヤングでも楽しく読める文芸評論になっているのではないでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
川端康成って実はこの年になるまで読んだことがなかったのだけれど、「女の子を殺さないために」に触発され「伊豆の踊り子」「雪国」「眠れる美女」を手にした次第。何とこれが実に面白い(川端文学に萌えの原点を見た)。何が面白かったと言えば、柴田翔・庄司薫・村上春樹・古井由吉・中上健次・氷室冴子・サリンジャーといった高校~大学時代に貪り読んだ小説の連関のパズルが川端康成をはめ込むことで完成したと実感できたから。ということでパズルのピースは埋まったけど他のピースが埃をかぶっているので何十年かぶりとなるけど「赤頭巾ちゃん気をつけて」から読み返しを始めたところ。
投稿元:
レビューを見る
なぜ物語の中で女の子は殺されてしまうのか、をテーマに、これまで女の子を殺し続けていた文豪たち(森鴎外、夏目漱石、川端康成など)と女の子を殺さずして魅力ある物語を成立させた庄司薫の世界を読み解く。
とりあえず、これを読んだら庄司薫と村上春樹が読みたくなります。
そのほか氷室冴子の『なんて素敵にジャパネスク』シリーズや伊豆の踊り子など、引用されている作品を読みたくなってくる。
評論ながら文章は平易で論も明確だからわかりやすい。
ちょっと冗長だなという部分はあるけれども、ライトな見かけによらず骨太な評論だと理解すれば、そうとう理解しやすく噛み砕かれている。
いまいち何言ってるかわからない部分もあったものの、こういう本の読み方もある、と気づかせてくれた点でなるほど考えてみると面白い、脳細胞に刺激を与えてくれる一冊。
投稿元:
レビューを見る
2012 5/25読了。紀伊國屋書店新宿本店で購入。
ネットで評判になっているのを見て手にとった本。読了までけっこう時間がかかった・・・。
時間がかかってしまったせいで色々ぶつ切りでしか把握できていないが、文学作品のなかでなぜ女の子が唐突に死ぬのか、女の子が死ぬことの持つ効果とそれを回避しようとするとどうなるかを、村上春樹、庄司薫、川端康成、氷室冴子、坂口安吾等の作品を中心に批評していく。
従来の批評に対する批判とか、村上春樹をどう論じるかとか、色々面白そうではあると思いつつももっとこう、構成をずばっと明解にすることができそうな気もしてもやもやする。
人に「で、なんで女の子死ぬん?」って聞かれても一言で説明できないっていう・・・一言で説明できないからこそこれだけの長さを費やされているんだと思うけど。うーん。やはり批評は批評社に任せるべきか・・・。
投稿元:
レビューを見る
めっちゃ庄司薫読みたくなった。というか村上春樹もまともに読んでないのに大丈夫かなあと思ったけど、全然大丈夫だった。川端康成も実は読んだことないので読みたい…。恥ずかしい。
投稿元:
レビューを見る
小説の中で女の子は死ぬ。落下して死ぬ。ハルキでも漱石でも氷室冴子でも川端康成でも――では何故「オンナノコ」は死ぬのか。
なぜならオンナノコ的成長物語は落下による脱出の物語で、故にオンナノコは落下し続ける。文学とはこのオンナノコ的落下を好んでおり、故にオンナノコは落下して死ぬし、死なないまでも落下するスリリングを楽しむためのラブコメは隆盛する。そうして、オンナノコ的落下の傍らには落下するオンナノコを見るオトコノコの目がある。
落下するオンナノコを、後ろ姿のオンナノコを、観察者は眺め続ける。誰が? 本の中のオトコノコが。もうじき死んでしまうオンナノコを眺めているのは、オトコノコ的成り上がり物語を必死によけようとしているからだ。なぜ? なぜ?
庄司薫を主軸に、文学の中で落下して死に続けるオンナノコと女の子が死に続ける物語を回避しようとした(というか、そもそもなぜ女の子は落下するのか)を考察した一冊。
……が、どうも馴染めなかった。どうしてだ。
文体は軽いがどうにも読みにくい。物語構造の種明かしが後半部におかれえいることが分かりにくさを倍増させているような気もするが、ただ、きっと言いたいのはそれではないんだろうなあ、だってそのためにこの本を書いたとするとかなり量が多すぎる気がする。
投稿元:
レビューを見る
《物語には大きくわけて二種類あります。簡単にいえば「男の子が上る話」と「女の子が落ちる話」。》 あぁ、そういえば『多崎つくる』の登場人物は赤黒白青四部作のパロディーだったなぁと思ったり。納得・理解できないところもあったけど、そこそこ面白かった。
投稿元:
レビューを見る
おもしろかった!
物語に登場する女の子たちの処女性などの、物語中での意味を考えるヒントになったと思う。
庄司薫が好きなので、その周辺の文学史や関連する作家が多く紹介されていたのも嬉しい。
理解したというほどではないけどイメージはつかめた!という気分になるところは河合隼雄の本を読んだときの感じと似てる…