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女子高生をテーマに、6人の女性作家がそれぞれ描いた短編集。
一度何故か積ん読にしており、整理していた際に出てきたため、再読。以前読んだのが発売して間もない頃だったため既に5年も経っており、気が付けば売れっ子になってる人も……。
再読して恐らく積んだ理由として思ったのは、全体的に高校が私立のお嬢様学校という舞台が数多く、そもそも女性作家があまり当時は得意で無かったからでしょう。
さて、今回読んでの感想ですが、青春にも色々形はあれど、それらを彩るのは友人であったり恋人であったり家族であったりして、学年を重ねる事によって進路を明確に、将来をどうするのか考えなければならず、仲の良い人とも理由も無く目的の違いやそうさせてしまう空気に取り込まれてしまう。なるほどなぁと思い、10代の大人ではないけれど子供でも無い複雑で脆い心境を結構大切に描いてるなといった印象でした。
個人的な評価としては、結構好みがバラバラでした。
テーマにも焦点を重ねて、良かったと感じたものは、
吉野万理子「約束は今も届かなくて」
加藤千恵「耳の中の水」
でした。
他の作品も何かを感じたり、面白かったり、この表現凄いなぁと思うのもあり、全体的に良い一冊でした。
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あのころの遠い記憶を呼び戻す、6名の女流作家の描いた女子高生物語。
今思い返すと、あのころにいた場所は確かにぬくぬくと穏やかな”温室”そのものだった。
予期せぬ雨風で吹き飛ばされぬよう痛い目に遭わぬよう、先生や親といった身近な大人たちにしっかりとビニールで覆ってもらい、日光や栄養もなるべく等しく与えてもらっていた、いたれり尽くせりのあのころ。
そうやって大人たちの敷いたレールの上を、ブツブツ文句を言いながらも周りの同級生たちと共に歩き、たまに寄り道しながら、一人立ちの時を待つ。
プライドや見栄、コンプレックス、不安をごちゃまぜにして、顔色をうかがったり悩んだり怒ったり泣いたり笑ったり。
けれどそんな我がままが許されるのは、あのころの特権かも。
吉野万理子さんの『約束は今も届かなくて』、柚木麻子さんの『終わりを待つ季節』が特に好き。
女子高生時代を、宙ぶらりんな耐えなれない時間で早く卒業したい派と、ずっと高校生のままでいたい派が出てきた。私はあのころ、早く卒業したい派だった。
あの夢か幻のような眩しい時間に、もう一度だけ戻ってみたくなる短編集だった。
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女子高生をめぐる6つの物語。
かつて女子高生だった私。
当時の不安定さを思い出しなんだか落ち着かなかった。
物語に登場する女子高生たちもなんだか不安定で、そういう時期だったんだと今更ながらに思った。
多感な時期だったな…
私の場合は思うようにいかず、追い詰められたような、かごの中に閉じ込められたような時期だった。
どの話にも多感な時期を駆け抜けるような女子高生たちが登場する。
どこかしらにかつての自分を重ねながら読む。
「約束は今も届かなくて」は回想録なのかな。
この作品に時折登場する鷺沢萠にハッとした。鷺沢萠に出会い、傾倒した時期があったから。
私の場合は女子高生ではなく女子大生の頃だったけれど。
なんだか不安定さと鷺沢萠って私の中でピタッとはまる。
どの作品もちょっと狭い世界で、懸命にもがいている女子高生の姿が描かれていたように感じた。
この本は背表紙に書かれていた通り「いまを全力で駆け抜ける現役女子高生と、かつて女子高生だったすべての大人の女性たちに贈る、珠玉の青春アンソロジー」だ。