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トリビュート短篇集は発見があるから面白い。
神林長平は割と硬派な文章だと思うが、ここにある作家達の書く文章は個性派揃いで、そのスパイスが良い意味で原作を壊しているのではないか。
原作を知っていても知らなくとも別個の物語として読むのが楽しい。
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新進気鋭の作家たちが神林作品を独自に解釈し、
物語の世界観はそのまま、自由に表現する。
神林作品を読んだことのある人も、読んだことのない人も
気軽に読むことができる作品。
私は気になる作家の作品を読んでみたい、というのと、
神林作品をもっと知りたいという目的で読んだのだが、
新しく気になる作家を見つけることもできたし、
オリジナル原作を読んでみたいとも思ったので、
満足度から★4つ。
桜坂洋のトリビュートした「狐と踊れ」は
胃が主人公。
主人から離れた胃が逞しく生きていく姿は感動もの。
胃もいろいろ考えることがあるんだなぁ
と思った。(笑)
あの虚淵玄もトリビュートしていたのはいささか驚き。
彼の文を読むのははじめてだったが、
第一文からザ・虚淵であるということが容易にうかがい知れる。
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神林作品をもとに複数の作家が書いた作品のトリビュート短編集。「狐と踊れ」(桜坂洋)、「七胴落とし」(辻村深月)、「敵は海賊」(虚淵玄)の三編が好みだった。「死して咲く花、実のある夢」(円城塔)はもう一回読んでみたい感じ。
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「自分の死後の世界を見てみたい。そして過去の作品を全否定するような作品を書きたい。自力で死後の世界を変えたい」
神林長平氏はなんと意欲的だろう。
そしてそのために集まったアンソロジー。
どれも「神林長平」という枠を意識しすぎることのない秀作だと思う。
『「死して咲く花、実のある夢』円城塔
前世の記憶というのは2009年に亡くなった伊藤計劃氏、及びその遺作のこと。
「自分がかつて見てきたものを、何かの形で表すこと。当時の僕としてみれば、それは至極当然の欲求だった(156p)」
「前世を書こうとする僕の努力は、それなりの成果をもたらした。(159p)」
は、その遺作を引き継ぐことを示しているように思う。
「 そうして連鎖していく死の進化の全体を、新たに生と記述し直すことができるんじゃないかってあたり。~それがどんな形を採るとしたって、一つの死の確定を、連鎖していく死の確定を、僕らは常に、生と呼んでここまで来たのだ。 (165ページ)
前世の冷たい死の記憶からはじまり、来るべきの生へ視線を投げかけている。
この言葉に、伊藤計劃氏の著作を未来へつないでいこうという明るさと強い意志を感じる。
「狐と踊れ」桜坂洋
胃袋が勝手に旅をする。でも楽しい。まっとうな胃袋に選ばれる食生活を送らねば。
「七胴落とし」辻村深月
猫と話ができるのにあえて距離を置こうとすること。猫に慰められること。少女を思いやり精神的に支え育てる猫の態度。猫を忘れてしまうこと。自分の子供の様子を見て猫を思い出すこと。
胸がきゅっとしてしまう。
誰もが子どもの時にこんな体験をしてるんじゃないかって。
リライトして児童文学として出版してもいいと思う。
「完璧な涙」仁木稔
シュール、だけど分かるような気がする。
男を翻弄する魔姫のアイロニーな性格。
翻弄されて、ついには砂になって崩れていく男。
時空がねじれなくっても、人間関係ってこんなふうに空虚だなって。
「魂の駆動体」森深紅
熱く頑張るおっちゃんたちの活躍に惚れてしまう。
「敵は海賊」虚淵玄
ヘタな人間より格好いいラスト。
「我語りて世界あり」元長柾木
完璧な管理、完璧に消えてしまうものなど無く。
これが悪、これが正義というものはなく。
と言うことを、楽しんで読める感じ。
「言葉使い師」海猫沢めろん
言葉、旅、その意味の中をじっと伺うかのようにして読む作品。言葉は単なる言葉ではなく、力を持つ。
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神林なんてこれっぽっちも知らずに短編読みたかったから買った。どの話も元のヤツが面白そうでまぁ買って良かった。虚淵と辻村深月、仁木稔のがなかなか。
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なんつうか、同人誌的なノリですが。(笑)辻村氏の猫の話はうるうるしてよく読めなかった(笑)猫に弱すぎだ!トリビュートしてる作品全部読んでやる!神林ファンの心意気ばい!
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神林長平の作品を元ネタに、新世代作家がそれぞれ作品を寄せた短編集。
(名前は聞いたことがあっても)作品をほぼ読んだことのない作家の方々の作品だけれども、それぞれの作家の個性がよく出ていたのではないだろうか。どの作品を選ぶのか、どう料理するのか。できあがった作品の文体も、作家によって様々で、ああ、この人の作品はこういう作風なのだな、と想像させてくれるものだった。
内容については、これって結局、同人誌の二次創作なんだよなぁ。神林作品が好きな人が集まって、その旗のもとにそれぞれが作品を二次創作する。元作品の、主要な登場人物(?)の出自の話とか、結構踏み込んだストーリーがあったりするところも、何となく非公認同人誌っぽい香りが…。なんでこんなに難解なのか…と思わせる作品もいくつかあったのだけれども、これが、原作をベースにしているから読者を突き放せるのか、それともその作家の持ち味なのか。それぞれの作品を読んで、「原作を再読したい」と感じたものと、「この作家の別の作品が読みたい」と思わせたもの。トリビュートとしては、どちらが良いのだろうか。そんなことを感じながら、どちらかというと、作品そのものというよりは、神林ワールドの周辺をたゆたうのを楽しむような作品集だった。
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神林作品はほぼ未読で本書を読んでみました。そのせいか、話に入り込めない作品もありましたが、楽しめました。辻村作品が作者が好きなせいか一番よかったなー。
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神林長平トリビュート。歌手ならその人の持ち歌を歌うんだろうけど、作家のトリビュートって何をするんだろう???と思ったら、存外、全部ちゃんと神林トリビュートだった。
円城塔の『死して咲く花、実のある夢』は、意味判らないながらに面白かった。
森深紅の『魂の駆動体』は面白かった。
辻村深月の『七胴落とし』は、面白かったけど七胴落としじゃなかった。
虚淵玄の『敵は海賊』は、途中で、「これ、神林的だけど、敵海じゃないじゃん」と思ってたのですが、見事にラストで敵は海賊になりました。
『完璧な涙』は、トリビュートっていうより二次創作? 二次創作とトリビュートの違いは難しいけど、何となく感覚で。
『我語りて世界あり』は、ちょーぜつ自分勝手で自己中な人(たち)の話。うーん、これは二次創作じゃなくてトリビュートかも。でも好きじゃない。のは自己中嫌いだからだと思う。
ともあれ全体的に面白かったので、また神林を読み返そうかな。
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ワタクシ的には、冒頭の『狐と踊れ』が
神林氏デビュー当時のSFマガジンをなんとなく思い出せて好きよ。
その頃よく掲載されてた岬兄悟氏ポかったからやろか?
主人公の名前も神林ファンにはたまらんかったり ね。(にやり。
■ ■ ■ ■ ■
原作と全っ然趣の違う『七胴落とし』も、原作に忠実めいた『敵は海賊』も
どの作品のどの作家さんも神林長平さんの作品への愛が感じられたの。
こんな錚々たる方々と同じかたを愛せてワタクシ幸せ。
フムン。
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虚淵さんは匋冥だろうなと思ったらやっぱりそうだった。判っちゃいたがラテル書いて欲しかった(タダのラテルファン)そして何より伊藤さん・・・(号泣)
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買ったまま登録すんの忘れてた。短編がいろいろ読みたくてなんとなく買ったけど、虚淵玄のお話、おもしろかった。
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SFとファンタジーは紙一重なのを再認識。
だって胃が体を飛び出して冒険したり、
子供の時期だけ猫と話ができたりと
科学と呼ぶにはあまりに荒唐無稽すぎる物語が
所狭しと展開されているのだから。
そのなかでも特に印象に残ったのは
『魂の駆動体』
という時代遅れの車を作ることに魅せられた
老人たちの話。
森深紅という著者、初めて知ったけど
かなり上手い。
さっそく森氏の単行本をamazonでポチった。
届くのが楽しみである。
アンソロジーにはこういった
予期せぬ出会いがあるから素晴らしい。
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トリビュートとなってるけど、普通のアンソロジーとして読める。円城塔はいつもより熱い。森深紅は拾いモンの予感。虚淵玄のきっちりした仕事っぷりも良いな。でもなんと言っても、辻村深月には泣かされた!
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まあ、御大には、まだ誰も敵わないのだな、ということがよく分かりました。
と、これで終わっちゃうのは、あまりにあまりなので。
虚淵氏の「敵は海賊」は、かなり面白かったですよ。
文体こそ御大には敵わないけれど、読みやすさは素晴らしかった。
分かりやすいストーリィではあったけど、構成がお見事でした。
これが正史で良いんじゃないか、と思えました。
それ以外の作品も、面白いことは面白かったです。
円城氏は、もういつも通りの円城氏でした。
神林トリビュートとは思えないくらい、いつも通りでした(笑)。
惜しむべきは、伊藤計劃氏が参加できなかったことでしょうね。
テーマまで決まっていながら、間に合わなかった。
読んでみたかったなあ。。。伊藤計劃氏の「過負荷都市」。