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思いもよらぬ「めっけ物」でした。
プロローグ以降は、作中作と化しますが、どの章も面白い。
で、エピローグでどう収集するのかと思い、若干不安もありましたが
見事にまとめあげてます。一気読みされる方もいるのでは?
蛇足ですが、作者さんなんか凄いんだか、そうでもないんだか
いまいちぴんとこない大学卒業されてますね。
でも、やっぱりおフランス語には堪能なんだろうな。
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とある部屋に迷い込んで出られなくなった3人が、こんな事態に陥った理由を探るためそれぞれが抱えた問題を思い起こしていくホラーテイストのミステリ作品。
大学講師、若手小説家、開業医の妻。
3人がどうして閉じ込められたのか、どうやって抜け出すのかというテーマではないのが新しい。
まったく接点のないと思われた3人が終盤、ある一点で繋がっていくのが鮮やかである。
殺人トリックの点はうまくいきすぎな感もあったものの、全体としての破綻なく綺麗に物事が流れていてうまいなと思う。
トリックとレトリックに誤魔化しがないしきちんと伏線を引いているのでちゃんと読めば引っかかったところが解消され、謎解きの押し付け感がなくてよい。
何より物語に出てくる人物の誰もがリアルで人間ドラマとして面白い。
派手さはないけどうまいな~という秀作です。
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2012年6月上旬頃読了。
んー、個人的にはあまり好きじゃないかも。設定も面白いし、オリジナリティがあるとも思うけれども、部分的にちょっと凝りすぎなわりに、そんなに深みが感じられない気も?
分かりづらいということも特には感じないが、なんとなく著者の描いた世界のなかをぐるぐるまわされている感じがして(それこそが「出口のない部屋」なのかもしれないけど!)、読む側に遊べる余地が少ないというかなんというか。
うまくいえないけれど、あまり想像力をかきたてず、ちょっと窮屈な読後感でした。
作品自体にはなんらかのパワー(みたいなもの)を感じないこともないだけに、この読後感は残念だったかなぁ…。
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初・岸田るり子。
良かったです、すごく・・・面白かった!!
構成がとても良いし、ストーリーもキャラクターも良い。
上質なミステリーだと思いました。
後半、「え、このスピードでこの残ページ数で、謎解き全部出来るのか・・・?」と不安になってしまったんですが、そこからの風呂敷の畳み方が上手!
この分量ですっきりまとまった。
「出口のない部屋」のシンプルな不思議さと、キャラクターの内面描写のリアリティが、絶妙な加減でひとつになっているのがすごい。
止まらなくて一気に読んでしまったし、そんなに長くないのにたくさんの経験をするような感覚があって、そして最後まで読んだあとまた最初に戻って読みたくなる。
ちょっと残酷な描写があって、そこはそんなに必要でもない気がしたけれど、キャラクターの歪みを上手く見せていたと思えば良し。
もっと他の作品も読んでみようと思いました。
思いがけず良い出会いをした!
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初の岸田るり子作品。面白かった!謎の部屋に閉じ込められた見知らぬ者同士の三人。共通点を見いだすためにお互いの身の上話を始める…という話。各章で少しずつヒントとなるファクターが見え隠れするが、真相までは届かない、というさじ加減が見事。気になって最後まで一気に読んでしまう。驚きの展開に満足!
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割りと面白い。出口のない部屋に入り込んでしまった3人の男女。なぜなのか?どんな意味があるのか?この3人の共通点は?
知りたい事ばかりで先を急いでしまう。終盤の衝撃。しかし、気持ち悪さが先に来てしまう。
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プロローグとエピローグ以外は、ホラー作家仁科千里がかいた小説という作りになっているのだが、これにすっかり騙された。
ただ事件のあらまし自体は「そんなに上手くいくかぁ?」と感じた。
リアリティのない作品だった。
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プロローグで描かれるホラー作家と編集者のいわくありげなやり取り。そして出口のない部屋に閉じ込められた、医療研究者、売れっ子作家、開業医の妻。彼らの身の上話とつながりを描いたミステリー。
絶妙に嫌な人間を描くのが巧いなあ、と岸田さんの作品を読んでいると思います。特に秀逸なのが医療研究者の夏木祐子。こういう女の人っていそうだな、と読んでいて思わずイライラしてしまいました(笑)
見ず知らずの人が同じ密室に閉じ込められて、という作品は一時期小説や映画でよく取り上げられていましたが、どれもデス・ゲームの側面が強くて、面白くはあるのですが大枠は一緒で細かいところでしか差がつかなかったような印象があります。
この作品は状況は似ていても「出口のない部屋」というのは、あくまで作品に深みを与えるため、犯人の闇を描くためのの一つの装置だったのだと思います。そういう意味では同じ作風のフィクションの中でもかなり異色です。現に密室状態でのサスペンスやスリラーの側面は弱く、あくまで三人の人生を結んだものは何か? という謎が主題です。
多少強引ではあるものの、三つのつながりをつなぐ要素が明かされるシーンは読みごたえがありました。部分的にこう来るのかな、と読める箇所はあったのですが、真相はそれをもう一つ上を行くものでやられたなあ、という感じでした。
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自分という存在に違和感を感じてしまったら、人はどう生きていけばいいのだろう。
いま、ここにいる自分。それは本当に自分なのか。
誰かの思い通りに操られ、自分の意思など関係なく生きらされているだけなのか。
自分のアイデンティティーがわからなくなってしまったとき、すがれるものがあればすがってしまうのが人の弱さなのかもしれない。
自分を他者に反映し、他者を自分に取り込む。
そうして、歪んだ形でも自分を保つしかなかったのかと思うと切ない。
閉じ込められた部屋での三人の会話が面白かった。
それぞれ、自分に都合のいいところだけを語り、真実は告げない。
そして語らなかった部分は、人生から削除してしまったように最初からなかったことにして生きてきた。
語らなかった部分にこそ込められている心理描写が深い。
何よりも物語としての構成がよかった。
途中で「もしや?」と結末が見えてくる場面もあったけれど、読み終わってみればいろいろと違った面もみえてくる。
三人が語り合う「出口のない部屋」の小説部分は特に面白いと思った。
しかし、結末はあれでよかったのだろうか?
最後にぬくもりを感じられたことが救いになったのだろうか?
「他者は地獄である」(サルトル)の意味が、いまひとつ理解しきれなかった。
様々な真実に対し、意識が否定をくわえていく。
そして結局は真実を見失っていってしまう。
ゆえに、その精神世界は地獄である・・・こんな意味なんだろうか。