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図書館で本書を受け取った瞬間、「薄っ。」と思った。でも内容は全く薄くなく、満足感がある。
序文で「高校生にも分かるように」とあるが、それなりの下地が無いと社会人でも難しいと思う。真言宗の教則本ではなく、タイトル通りあくまで空海に焦点を当てている。一読すれば、空海の思想の自由さをふんわり体感することができる。空海の思想にますます興味がわいた。
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実は空海嫌いなのだが、
それは弘法大師(お大師さん)は神話や伝説の類いがいっぱいで何となくうさんくさく思っていたからだ。
この本は空海入門ということで神話伝説を排除して真の空海を紹介していて、私の空海嫌いも改善された。
しかし、著者が空海を賛美しすぎているようにも思えたが、その点については、空海の著作に直接接することで理解されて行くようにも思っている。
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空海の半生だけでなく、現代科学の進歩への懸念や、日本の宗教観から見える国民性などへの考え方を語っている点は面白いが、空海を褒め称え過ぎて何が言いたいのかが分からない箇所がいくつもあった。
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空海の生涯と思想を簡明に解説するとともに、その思想を現代に生かす道について著者自身の考えをつづったエッセイを収録している本です。
本書の「序」には、「高校生諸君にも読んでもらえるような作品にしたいと努力したつもりである」と書かれており(「むすびにかえて」では、それに成功したかどうか疑問であるとしてはいますが)、十住心論の思想を中心にわかりやすいことばで解説がなされています。
一方、後半のエッセイでは、空海の思想の現代的意義についての著者の考えが展開されています。著者は、日本人の信仰のありかたが排他性をもたないことに触れて、そうした宗教的な寛容の態度を、空海の十住心論の思想に通じるものと見ているようです。ただ、本書でも述べられているように十住心論は教判としての性格をもっており、あくまで教学的な立場から空海の思想の現代的な意義を語った講話とみなすべきでしょう。
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・空海が恵果から教えを受けたのは、たった半年の期間でしたが、1200年経った今でも、語り継がれていることが驚異です。
弘法大師空海の著作を、多くの人々が理解できるようにしたいと、正確な現代語に訳してこられた、加藤精一さんによる『空海入門』。
最澄と空海というかたちで、並べて語られることの多い弘法大師空海ですが、その生涯を知ると、大日如来のお導き、としか言いようのない強運を、時として強引とも言える説得力で引き寄せた人だったんだなぁ~と思います。
恵果から灌頂を受けた教えを更に推し進め、広めていきたい。目的を達成するための影響力を得るためには、時勢を読み権力を味方につけることも必要なのですが、少なくとも空海が達成しようとした目的は、世の中の全体最適を目指したものであったということが、現代の為政者と違うところだと思います。
荷車ぐらいはあったかもしれませんけど、自動車がなかった時代。帆船はあったかもしれませんけど、飛行機はなかった時代。弘法大師空海は、自らの脚で大地を踏みしめ、時間をかけて旅をすることで、多くの偉業を成し遂げました。