紙の本
黄色い部屋はいかに改装されたか?増補版
2015/10/27 00:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:naoto - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆるパズラー、本格推理小説といわれるものに対する評論集。特に、モダン・ディテクティブ・ストーリーと都筑氏が規定する小説を論じる手さばきはすばらしい。クリスティの「ABC殺人事件」における、ダミーの被害者、あるいは横溝正史「悪魔の手毬唄」のなかなか表面化しない「見立て」に対して、どうして犯人は、このような方法をとったのか、その必然的な理由が必要だ、とする論旨は明快。実作者としてはハードルが高くなる条件を、あえて打ち出して、その方法論を明らかにしていくのは、痛快。増補版で、さらに佐野洋氏との論争や、その他の機会に書かれたエッセイもくわえられて、読みがいのあるエッセイ。
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「フリースタイル」18号に寄稿した縁でいただいた。ミステリはほとんど読まないのだが、昨年から今年にかけて『UN-GO』の仕事をしていたので興味深く読んだ。
というわけで門外漢だけれど、実例をあげてすすむ本文は非常におもしろかったし、さらに、法月倫太郎の解説が、客観的でかつ非常にわかりやい見取り図になっていてためになった。名探偵論は、インターフェースとしてのキャラクター論として考えれば、別の広がりもあるように思った。
個人的には前述のように、『UN-GO』がらみで安吾のミステリやミステリ論には目を通していたので、増補に入っていた「安吾流探偵術」を堪能。
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「推理小説のできるまで」もこの際、ポケミスサイズで再発売してくださいませんか? 図書館で読んだきりで持っていないので。
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1 黄色い部屋はいまも黄色いか?
2 なによりも謎
3 解決法が問題
4 本格推理短篇を例にとって
5 トリック無用は暴論か
6 必然性と可能性
7 末期のメッセージ
8 ミスディレクションについて
9 ヴァン・ダインの位置
10 ふたたびトリック無用は暴論か
11 盗作のすすめ
12 名探偵がいれば
13 名探偵よ復活せよ
私の推理小説作法
1 まず心がけなければならないのは
2 長篇と短篇の主人公の違い
3 ダイイング・メッセージへ寄り道
4 固定観念から離れて
5 名前のつけ方について
6 幽霊探偵について
7 紙と筆について
8 映画と小説のあいだ
9 嘘のつきかたについて
あとがき(晶文社版)
増補
名探偵論争──佐野洋『推理日記』より
加田伶太郎全集・解説
安吾流探偵術
死体を無事に消すまで
『七十五羽の烏』が出来るまで
眠りの森
謎と論理
百年後
頭上の侏儒
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増補版で再読。初めて読んだのは中学生の頃だったか……。トリック不要論、論理のアクロバットなど今読んでも刺激的な論考が軽妙な文体で楽しめる。ポケミス風の装丁も嬉しいね。
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ミステリー専門家がミステリーを分析、ただし、ネタバレを恐れて中途半端な展開になってしまっているのは、ある意味仕方がないとはいえ残念。
追記:2020年8月28日
既読を忘れて再読。
本書の構成は3部からなる。「黄色い部屋はいかに改装されたか?」は本格推理小説の3原則(発端の怪奇性、中段のサスペンス、解決の意外な合理性)などテキストとしても面白く読める。「私の推理小説作法」は具体的な事例を提示しているのでわかりやすい。「論争」は特に、佐野洋「推理日記」との名探偵論争を収録。ってことで、星1つ評価を上げます。
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晶文社版を読んだばかりなので増補部分を中心に読む。
トリックよりロジック重視という著者の主張は、本書に関係なく、有栖川有栖の作家アリスシリーズを読むうちに自分も思い至っていた。鬼面 人を威すトリックは不要で、綿密に組み立てられた犯罪計画のわずかな疎漏を、探偵がロジカルに解き明かしてゆけば、読み応えのあるミステリが成立する。
法月綸太郎による解説の「トリック小説の不自然さを自覚したきっかけが、少年向けの挑戦状ミステリ『蜃気楼博士』だった」。そんなくだりがあったっけ? 気になって最初から跳ばし読み、ようやく見つける。「そもそもは、三年ばかり前、中学生向けの雑誌に、推理小説を連載したことに原因しているのです」。ここだ。
都筑道夫のジュブナイルといえば『妖怪紳士』が後で考えればクートゥルー神話だったり、子ども相手でも手を抜いていない。『蜃気楼博士』も面白いのだろう。
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「あくまはあくまであくまである」40数年前
こんな本の題名に引かれ都筑道夫にドップリはまりました。
なめくじ長屋も好きです。
ちょっと、古臭い? うんそう思う。
でも、初恋の人を紹介します。(笑)