紙の本
東日本大震災をひととおりカバーしているが,迫力はいまひとつ
2012/03/28 22:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
約 300 ページのうち半分を津波・地震に,そしてのこりの半分を原発事故にあてている. 著者自身がみたもの・きいたものから,地震の歴史,対策など,1 冊でひととおりカバーしようとしている. 範囲がひろい反面,それぞれの話題にはいまひとつ迫力がない. 著者は 2021 年の中高生がこの震災について知るために最初に読む本をめざしたというが,すくなくとも最初に読む本にはもっとインパクトが必要だろう.
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本当に何も分かっていない。テレビで衝撃的な映像を見て、嘆き悲しむ。遅々として進まない復興(政府の対応)に憤りを覚えている。けれども、あの震災が何だったのか、まったく今の自分は分かっていないことが、この本を読んで分かった。結局、他人ごとのようにしか感じていない。確かに震災の規模が大きく、影響が多方面に渡っていて、全体像をいっぺんに理解するのは困難だ。だからといって知らなくていい訳ではない。知らなくては」いけない。そう思った。
以下、引用
●たしかに、原発事故が目前の脅威となってから、岩手や宮城、そして福島でも津波被害が大きかった地域のことは、報道の前景から退いていった。新聞やテレビは、「被災してもがんばる」と前向きに生きる人々を大きく取り上げたが、「がんばれない人々」については目を背けていなかったろうか。心情や情緒について、励ましや支援については多く語ったが、復旧や復興がこれほどまでに遅れたことについて、その構造のいびつさや政治の貧困を、鋭く追及してきたろうか。フリーのジャーナリストになった自分を含めて、今回の災害報道における「ジャーナリズムの貧困」を意識せざるをえない。
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気仙沼の77歳女性「地獄に行ったことないけど、地獄よりひどい」
この一言に集約されている気がします。
気仙沼市民の声「俺たちだって、福島の人たちを見て、遠慮してものをいわなかった。彼らだって、あんなひどい目にあっているんだから。でも、それで俺たちが忘れられるなんてことがあって、いいんだろうか」
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著者も言うように、備忘録としての本。
それにしても・・・・
「核兵器を放棄する代わりに、その製造技術と材料を常に確保し、潜在的な核保有国として、いざという時に備えよう」と考える原発推進派がいるという所に、もっと焦点を当てて、メディアも追求しなければダメだなぁ・・・・と思った。
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規模の大きさ、二方面作戦を強いられたこと、あらためて災害規模の大きさにおののく。阪神のときに比べて、国家予算の手当てが遅いのは、日本の全体的体力の衰えということか
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10年後に、中学生や高校生が3.11のことを知るために手にとってほしいというコンセプトの本。
その通りで、全体像をわかりやすく説明している。
地震、津波、原発事故、それらが複合していることによる困難さ。
阪神大震災と比較しながら、復興の難しさを説く。
政府の対応について、丁寧に説明しながら、ときに批判している。
私たちができることは何なのか。
被災から1年、まだ復興はこれからなのだと感じさせられた。
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東日本大震災から1年、津波被害も原発問題にも
終わりがないように思えてならない。
著者のルポを読んでいると胸の鼓動が早くなってしまう
箇所も多く、休み休み読んでいる。
でもこうやって、あの日のことを絶対に忘れずに
自分なりの考えもしっかり持つべきだということを
思わずにいられない。それが来るべき日に備える
『心構え』に醸成していくのではないだろうか。
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2011年3月11日の大地震、それに伴う激烈な津波、原発事故。
あの日から起こったことを時系列かつ体系的につづっている。
ジャーナリズムとは本来こうであるべき本だと思う。
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もし、2011年3月11日に起こったことが地震だけだったなら。
そうであれば、あれだけの数の死者・行方不明者を出さなかった
のではないだろうか。
「未曾有」。地震と津波に関しては、正に未曾有の自然災害だった。
そして、追い打ちをかけるように発生した福島第一原発の事故。
著者は被災地を丹念に回って取材し、被災した人たちの生の声を
掬い上げこれまで自治体や国が行って来た防災対策の問題点を
浮き彫りにしている。
東日本大震災関連の作品の常で原発事故に多くのページが
割かれているのは仕方ないのか。地震・津波をもう少し詳しく
描いて欲しかったが。
自然災害を抑え込む。それがこれまでの防災対策の主眼だった。
しかし、東日本大震災の地震と津波はこの防災対策までをも
覆した。やはり人間は自然には勝てないのだよね。
「地獄に行ったことないけど、地獄よりひどい」
被災した女性の言葉が重かった。改めて思う。あの日に起こった
ことは、過去に起こった自然災害への日本人の意識を大きく変える
出来事だったのでないかと。
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2021年の中高生が「10年前」に起こった東日本大震災を学ぶ本となるよう心がけて書いたという。
インターネット上の文章、新聞、雑誌、書籍、このうちどれが2021年頃の人々にとって的確な記録として残っているだろうか。新聞社にいた著者は「書籍の力」を信じたと思われる。地震災害が起こってまもない頃から、2011年末にかけて何度も丹念に現地を見て写真を撮り、人々に話を聞いてまとめた2012年現在の記録としては価値がある。
福島県大熊町の「双葉病院」での患者置き去り報道の顛末と真相を丁寧に取材しているのは評価したい。
東北地方太平洋岸一帯に甚大な被害をもたらした大津波の被害とその後、福島第一原子力発電所、そして、大事故の影に隠れたほかの原子力発電所での綱渡りの様子や、福島県一帯から広く川や海まで飛び散った放射性物質。その実態と復旧に向けての人々の努力と見通しを冷静に書き綴ったことは、後年、貴重な資料になると思われる。予断なく、感情が入っていない書きぶりも、信頼できる。
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東日本大震災は自然災害・人的災害が複雑に重なったものだった。被災した方々・そしてこの震災をとらえ直そうとする人々にとって,タイトルの『複合被災』という言葉は,これを如実に示していると思う。地震・津波・原発事故,その後の防災体制や放射線対策など,様々な情報が入り乱れたため,私の中では未だ整理しきれていないことが多かった。この本を読みながら,当時の記憶や情報を少しずつ整理することができた。
著者は『はじめに』に記している。
「この本は,東日本大震災について,何が起きたのかを,できるだけわかりやすく,コンパクトに伝えることを目的に書かれています。
たとえば震災から10年後の2021年に中学・高校生になるあなたが,『さて,3・11とは何だったのか』と振り返り,事実を調べようとするときに,まず手にとっていただく本のひとつとすること。それが目標です。」
様々な情報が入り乱れた年,自ら情報を取りに行き・判断を迫られることになった年,人生が一変することになった年。その起きた事柄をもう一度整理するきっかけとして,読んでおくといいのでは…と感じた。10年後の中学・高校生に伝えるために,今の大人が自らの見解を整理しておくべきと考える。
図書館から借りたが,もう一度時間をおいて読み直したい。
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大規模な震災と大津波、さらに原発事故。3・11はかつて世界が経験したことのない複合災害。この本は震災から10年後に中高生が事実を調べるようとするときに手にとってくれる本とすることを目標としている。被災された方にとって一番つらいのは忘れられるとこだと思っている。そのため3・11のことに限らず地震、津波、原発に関する本をときどき読むようにしている。なので、時折読むのに手ごろかと思ったけど、いろいろなことを詰め込もうとしてまとまりに欠いているような気がした。
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本当に情報源といった感じ。
著者の私情があまりはさまっていない。また、たまにはさまっていても、冷静に評価できるところは評価している態度に好感が持てる。あとは、今現在進行している原発問題を追跡していただきたいところ。
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元朝日新聞記者のジャーナリストが、東日本大震災の1年後に、「3.11」の全容をまとめたものである。
著者はこの本を、「東日本大震災について、何が起きたのかを、できるだけわかりやすく、コンパクトに伝えること」を目的に、そして、「震災から10年後の2021年に中学・高校生になるあなたが、「さて、3.11とは何だったのか」と振り返り、事実を調べようとするときに、まず手にとっていただく本のひとつとすること」を目標に書いたという。
本書では、
◆「3.11」は、広範囲にわたる大規模な震災と火災、その後の大津波、さらに福島第一原発の原発事故が発生した、人類史上類を見ない「複合災害」であった。しかも、これだけの規模で先進国を直撃した例も過去にはない。
◆地震の規模は、マグニチュード9.0で、20世紀以降では、1960年のチリ(M9.5)、1964年のアラスカ(M9.2)、2004年のスマトラ(M9.1)に次ぐレベルで、エネルギーで比較すると、1923年の関東大震災(M7.9、死者行方不明者105,000人))の45倍、1995年の阪神淡路大震災(M7.3、死者行方不明者約6,400人)の1,450倍にあたる。津波の規模は、岩手県宮古市で遡上高39.7メートルで、1896年の明治三陸大地震(死者行方不明者22,000人)の38.2メートルを超えた。
◆国際原子力機関(IAEA)が2011年6月にまとめた事故調査報告書によると、福島第一原発では、「福島第一は、津波により安全関連装置の大部分、そして六号機に電源供給するディーゼル発電機一台を除きすべての外部および内部電源を喪失した。これにより一、二、および三号機の原子炉、そして四号機の使用済燃料プールに対する冷却が失われた。さらに、他の安全関連設備の冷却が、利用不可能、または接近不可能となった。これらの結果として福島第一原子力発電所の四基での事故状態をもたらした」という状況が発生した。
という災害そのものの事実と、震災発生後1年間の、被災者を取り巻く状況、被害(拡大)の原因究明の状況、自治体等の取り組み、原発事故への対応などが記されている。
震災から4年が経過したとはいえ、首都圏に在住して震災当日は帰宅に影響を受けただけの私にとっても、TVで繰り返し流れた大津波の衝撃的な映像は昨日のように思い出すことはできる。しかし、未だに20万人を超える避難者(復興庁の発表)のことや、福島原発への今後の対応について、関心が薄まりつつあることは否定できない。
著者の意図するように、3.11で何が起こったのか、網羅的、客観的、かつコンパクトに記したものとして、本書は意義あるものと思う。
(2012年5月了)