投稿元:
レビューを見る
3.11以降の地震ものを描くのは作家としては挑戦であり、真正面から描いた福井の様なものもあれば、本作の様に、それを江戸時代に置き換えて描いたものとして読んでみたら肩すかしを食うものもある。ただし、表層的な部分だけでは地震はきっかけ過ぎず、その後の人情物の黄表紙の様な展開の様に読めるが、現代と同じく、地震や黒舟来航という時代の転換期においても、次期将軍選任の内紛のきな臭ささを描いているのは、今の日本の政治のありようも映し出しているようにも思われる。また同じく、地震の悲劇にも関わらず、人は日常を取り戻すのが如何に早いかということも、暗喩として示しているのではないかと思われる。人は辛いことは忘却しなければ、前を見て生きていけないのだということは、今も昔も同じであり、非常時であっても、その日常を普通に描きかかったというのが作者の想いだったのかは分からないが、そういうものだと感じた次第である。
投稿元:
レビューを見る
安政の大地震後の江戸の町を舞台とした時代人情ミステリー。
これまでのような歴史小説ではなく本格派時代小説。
ただ、チャンバラや大捕り物は出てこず、
推理系に近いと思います。
主人公の周りのキャラでは、家族の下の姉、手下の若手を、
もう少し深く書いてほしかったです。
内容は、全編につながる大きい事件と各話での事件が、
それぞれバランスもよく面白かったです。
続編があるような気もします。
投稿元:
レビューを見る
安政の大地震直後の混乱した江戸の街を舞台に、父の跡を継いだ新米同心が奔走する物語。
人情話あり捕物帖あり恋愛話あり。
各章で収まる話と全体に繋がる謎がほどよくリンクして面白かった。
「返り花」が特に良かった。
続編もありそう。
【図書館・初読・4/26読了】
投稿元:
レビューを見る
安政の大地震にまつわる時代物。大柄なばかりで気の優しい虎之助が、気丈な母としっかり者の姉2人、父に仕えたできる小者らに支えられながら、地震の最中に起こる事件の謎を解いていく。
新米同心の主人公のキャラクターがよい。
連作になるかも。
投稿元:
レビューを見る
大柄なばかりで気は優しい見習い同心・虎之助。安政の大地震を背景に、彼自身の成長と江戸の町の人々の幸せを描いた物語。
脇で彼を支える人たちのキャラ立てが上手いんですよ。楽しんで読むことができました。 真保裕一って江戸の市井ものも書くんですね。(*^_^*)
詮索好きな母親と出戻りの姉2人の前ではどうにも強くも出れず、つい猫背になってしまう見習い同心・虎之助。仏の大龍と呼ばれた亡き父の偉名のために、委縮したり、温かい応援をもらったり。
腕利きの岡っ引きにも助けられ、次々に起こる事件を彼らしい人情味のあるやり方で探索、解決していく様が楽しいです。
大きな揺れのためにひょいとタイミングがずれてしまって綻びが出てしまった事件をずっと根底に置きながら、彼の恋の行方や市井の人々の気持ちが丁寧に描かれていて、さすが、真保裕一、上手いなぁ、と思わせられました。
特に私が好きだったのは、最初、迷惑キャラかと思っていた母上&姉上たち。
母上の、ちょいと変わった安楽椅子探偵ぶりとか、一口に出戻り2人、とは言ってもそれぞれ異なる事情を持ち、奥行きのある感慨を虎之助にもらう場面にはほろっと・・・。
市中見回り役を拝命するということは同心の中では出世、とみなされるんですね。
虎之助の臨時・市中見回り役の臨時がそのうちに取れますように、と、私まで姉の気分で読みました。
これは続編を期待したいです。(*^_^*)
投稿元:
レビューを見る
この作者も時代物を書くんだ〜と驚きとともに借りてきた本。
「恋と人情、謎解きに捕物」(帯より)
おもしろくなくはないんだけど、主人公に引き込まれなかった。続きが出たら必ず読もう!って感じにはならなかったな。
投稿元:
レビューを見る
デパートに行こう、以来。 今回の舞台は安政の大地震に襲われた江戸。南町奉行所の同心の虎之助が市中見廻り役として活躍する。
黒船が現れた江戸末期、変化の兆しを感じつつ、町民と侍の微妙なバランスの妙を描いていく。 強引な予定調和の内容ではあるが、読後感良。
投稿元:
レビューを見る
安政の大地震を背景に同心の虎が事件を解決していく物語。
だけど、事件が???よくわからない。虎の恋愛模様だけがなんとか理解でき、家族の系図を頭の中で組み立てるのがやっと。もう一度読み直せばわかるかもしれませんが、やっぱりその気になりません。とりあえず、よみおわりました。
投稿元:
レビューを見る
真保先生の歴史物では覇王の番人に次いで面白いかも。
というよりは、前作はちょっとがっかりしたので。
真保先生の持ち味で舞台は幕末。
というにはややミステリー要素やパンチ力は少ないか。
いつもの緻密な経験してきたとしか思えないほどの描写力は
ちょっと鳴りを潜めていると言わざるを得ない。
歴史物になってからちょっと薄味というか、淡々とした書き草に
見えてしまうことがある。
”知られていないから書いた”という老中らの対立や
お家騒動は、歴史を勉強している人や歴史小説を多く読む人にとっては
寧ろ常識なのでは。
”小役人”の暴く壮大な真実、という驚きは自分は感じなかった。
そうしたことよりは人情的な面が多く描かれていて、
このままドラマ化して時代劇にすれば面白そうな気がする。
なんにせよ、東日本大震災の後
幕末の震災やそれによる火事、人災、外的に苦しむ庶民と
それをなんとか守ろうとする同心を描くというのは中々凄いことではないかと思う。
どうやら政府に対して物申す気持ちで執筆された様だが
読んでいる方としても噂だけとしても津波という単語も出てくるわけで
重ね合わさずにはいられないだろう。
真保さんの本の中では、あっさりさくさく読めて
初めての方などには向いているのかも。
投稿元:
レビューを見る
大田虎之助は、ちょちょら の新之介を思い出す人の好さととぼけっぷり。頭が切れるわけでもなく、腕がたつわけでもないが人の好さで、周りの人が助けてくれる。うるさい母親や姉の話は並大抵ではない。今の若者なら大抵部屋にこもってしまうでしょう。
うまく罪を見逃すのも付け届けを受け取って成り立っているのも、うまく世の中が回るんならいいことだねえと思った。
投稿元:
レビューを見る
話としては良く出来た時代小説。それ以上でも以下でもない。真保さんという期待値の高い作家さんということを含めると★3ぐらいになるかもしれない。
ただ、あの地震の後に舞台が安政の大地震とはいえ、自粛ムードもあった中で震災の後で生きる人々を描いたこと。個人的に江戸を舞台にした小役人シリーズとして今後も発展していくかもしれない期待も込めて★4にしました。
投稿元:
レビューを見る
最初の1.2章は痛快な感じで面白かったのですが、後半虎之助の恋愛ざたが入ってからがなんだか唐突で好みじゃなかった感じ。
真保さんは時代劇を書いてもいい感じだったのがびっくりです。ぜひ、また時代劇書いてほしいです。
投稿元:
レビューを見る
著者の時代物は読んだことがないし、
時代物も何冊か書かれていることも知らなかった。
やはりうまいし手堅いなあ。
だがやや軽量級な感は否めない気がする。
ごめんなさい。
投稿元:
レビューを見る
この作者は女性を描くのが上手くないと思っていたのだが、本作でその思いが変わった。なかなか微妙な女心を描いているなあと思った。
江戸末期を舞台にした、いわゆる人情物の連作短編であるが、見事に新境地を開拓したと思う。人物造形も秀逸で読み応えがあった。
投稿元:
レビューを見る
時代劇もいけちゃう。テレビドラマ化してほしいです。虎は、うーん思い浮かばない。最近は大きくてガッチリタイプの役者さんていないんだな。