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沖縄返還とは何だったのか。余りにも我々の知らない所で日米の駆け引きや米国に対する譲歩などが多く、それが今でも沖縄の人達を苦しめているのを感じます。
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沖縄返還時の通貨交換(ドル→円)にまつわるノンフィクション。
日琉(当時)米のそれぞれの思惑、駆け引き、がつまびらかに記され、とてもおもしろく、一気に読めた。
沖縄は、今も尖閣やオスプレイで揺れている。
いつになれば平穏な島に戻れるのだろうかと、遠い沖縄に思いを馳せた。
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民主党の数少ない「功」は、密約が公になったこと。そのうちの一つのドキュメント。重複が気になるが、一次資料を調べまくると形になる見本。
構造的には、高率関税で輸入障壁をつくり円安で輸出を促進する国内産業育成策の日本と、ドル通貨体制のもと米軍経済から資金を得て輸入促進しか選択できなかった沖縄と、異質の経済を前者に併せてひとつにする、ということだが、結局、日本の行政は市井のことなど考慮せず(フリだけは怠らない)、屋良主席の苦悩が日記から推測され、1ドル305円の給与で、1ドル360円換算の輸入商品を購入しなければならない沖縄の生活者は、ますます貧しい中で、望んだ日本復帰となったことが分かる。なお、「経済処分」というキャッチは、1972年4月8日の『沖縄タイムス』社説に登場したとある。
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沖縄返還に伴う米ドルから日本円への通貨交換をめぐる日・米・沖縄間の外交過程とその経済的・社会的影響を、2010年に財務省も存在を認めた回収ドルの処理に関する密約を軸に検証したノンフィクション。「ニクソン・ショック」によるドル下落と固定相場制の崩壊による通貨の混乱が返還前後の沖縄社会に与えたインパクトを余すところなく明らかにしている。各政府機関の公文書のほか、近年公開された「屋良朝苗日記」や、著者が独自に入手したり閲読できた未公開の私文書などを縦横に駆使しており、学術的価値も十分に備えている。
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「沖縄経済処分」僕もこの言葉については始めて聞きました。ここでは丹念に事実を積み重ねながら、当時行われていたことの裏の裏に迫った記録です。できることなら最初にこれを読む前に他の文献を読みたかった…。
戦後から現在に至るまで、数々の苦難にさらされている沖縄ですが、ここでは「沖縄回収ドル密約」とその舞台裏について書かれた記録であります。読み終えてみて、僕自身もよくわかっていないところが多く、こういう状態で記事を書くのは非常に気が引けるわけではございますが、本書はそういった『歴史の闇』に鋭く迫っており、いまだ基地問題をはじめとするさまざまな問題や、沖縄無視の姿勢を示す日本の官僚たちの姿勢。そういったところにも思いをはせていただければな、と考えております。
ここには当時の日米の機密文書や琉球政府主席・屋良朝苗をはじめとする当時の関係者の残した日記やメモ、さらに関係者へのインタビューなどを通じて回収ドルの密約を検証し、復帰時の沖縄の苦悩を生々しく再現するという試みがなされており、そういったところもまた、僕が日ごろ知ることのなかった 沖縄の戦後史』の一端を教えてくれるものでした。
興味をお持ちになった方は一読をと思っておりますが、 個人的にはほかの文献にもあたった上で、もう一度読み返して見たいと思っております。
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沖縄返還時の経済施策に関する2つの問題を扱っている。
・いわゆる沖縄密約について
・返還時の沖縄のドル円交換レートについて
前者は、通貨交換に伴って日本側が沖縄から回収した約1億ドルがNYFedの日本政府・日銀口座に塩漬けにされ、ドル資金による収益機会を奪われたことを指す。
後者は、返還直前のニクソンショックによってドルが減価され、ドル経済だった沖縄県民にとって不利な交換レートで日本復帰となったことを指す。
両者は、沖縄がドルから円の経済に変わることよって同時に起きたことであるが、それぞれ別の問題である。
タイトルの「沖縄経済処分」は琉球処分に掛けたものらしいが、沖縄の不利益という意味では後者であり、前者は沖縄に止まらず日本国民全体にかかわるもの。
本書は、両者がやや混在して扱われているので、もっと明確に切り分けて欲しかった。
また、沖縄での通貨交換が実勢レートに近い305円となったことで、沖縄経済や人々の生活に深刻な影響が出たのは事実だろうが、通貨当局からすれば投機資金の流入を回避するためには当然の措置だろう。これをもってして、「処分」と言うのはやや誇張し過ぎではないか。
通貨交換はドル減価後のレートでしつつも、政府が別の経済対策の予算を組めばある程度相殺可能ではなかったのかという気もする。