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直接の被災者でもないのに、震災鬱になってしまった私には、ただのフィクションではなかった。
やはりどのページを開いても「震災と…」がついて回った。
それで、一通り読み終えて鬱病っぽくなってしまったのである。
なので、実際の感想文を描くのが今になった。
かつての文豪たちが記録した関東大震災の様子、こういう時だからこそ物語が必要とされるという意見、震災についての率直な心情。
直接に震災について語ったのではない作品であっても、そこに見え隠れする震災についての眼差。
「ーそんな言葉が我々をどうにかできると思うのかね、君はー。」という、この本の命題への挑戦ともとれる台詞。
最近になってやっと落着いてそれらを認められる余裕が出来たのかもしれない。それでもとても揺れ動かされた。
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東日本大震災のチャリティ・プログラムのために書かれた短編、対談・座談、エッセイなどを収録したアンソロジー。
木下古栗「カンブリア宮殿爆破計画」収録。
アパートの隣室の怒りの叫びをきっかけに、ノーベル爆破賞の設立を目出す団体が出現。世界各地に「カンブリア宮殿」という名前の建物を建設、もしくは既存の建物を「カンブリア宮殿」と改名し、それらを爆破し、もっとも盛大で衝撃的なものに対して賞を送るという計画。
初期作品らしく、超展開で、短いのにテンションと密度が異様に高い。
ほかには
十年に一度の大波を待つサーファーを静けさとともに描いた、阿部和重「RIDE ON TIME」
震災と原発事故の時に感じたことを記した、中村文則「震災の時」
が印象的。
(評価は木下作品について)