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ライブラリアンという職業は絶滅し、図書館員は倉庫の番人になるしかないのか。京都大学教育学部図書室に勤務していた著者による図書館員コンシェルジュ論。
とある新聞記事で紹介されていたので買って読んでみました。1600円のブックレットは値段がお高いですが、読んでいて気持ちがホッコリしました。著者のような図書館員にめぐり合えた学生や先生方は幸せです。
本書は、著者の体験を元にQ&A方式で書かれています。私が感心したのは、無理です出来ませんといった否定的な回答が無いところです。著者は質問者の意に出来るだけ沿った形で努力しています。データーを出さない文科省の担当者とのやり取りは秀逸です。結局データーは出てきませんでしたが、やれるだけのことをすべてやった感じがします。
図書館員コンシェルジュ論は、まさに「いま求められる図書館員」の一つの回答であると思います。もしライブラリアンという職業は絶滅し、図書館員は倉庫の番人になるとすれば、私には図書館職員の非正規雇用化が進んでいる事の方が、問題が大きいと思います。世の中の風潮は人材にお金をかけないことがもてはやされていますが、今あるノウハウが失われること、ノウハウが蓄積されないことを考えると怖い気がします。