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六つの連作短篇集。印象的な、けれど毛色のそれぞれに異なるエピソードの積み重ね、ただしそこには一貫して流れる低音のようなものがあって、最終話でぐっと一本に収斂する…ような⁉
とにかく最終話が鍵だったし良かった。読むと、まるで走馬灯のように第一話の情景が蘇り、懐かしく思い出すような感覚を覚えた。
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「ソーネチカ」が気に入って、新作を読みました。
面白かった!(^^)!
女は、本当にどうでもない嘘をつくことがある。
しかも何の躊躇いもなく、しかもこれといった理由がない時さえある。
その辺が、女が怖いといわれる原因の一端でもあるのかも。
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女たちの害のないウソは、全然わからなくもない。嘘をついているっていう認識も、もしかしたらないかもしれない。そもそも、人に見せている顔なんて、所詮虚像だと思う。それより、最終話が衝撃。
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不幸を乗り越えて生きる術・嘘。願望と想像力の酸っぱい結晶のよう。嘘に弄ばれながら同時に嘘に助けられるジェーニャの感情。いい。人が物語を作る根源と多分似てるんだろうね、嘘。結局本当なのは、どこまでだっけ?
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人の心の物語というのはイイなあ。
旧ソビエトやその後のロシアな時代設定も、
なんかしっくりと合っているような気がする。
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連作短編6編。
ジェーニャを聞き手に物語られる5編のたわいない女の嘘と6編目に綴られた衝撃の物語。人の心の中は分からないし見えているもの言葉になったものだけではなく、語られないものが静かに立ち上がってくる6編目に、これまでの5編が溶けてきて、深い感動を覚えました。
そして、最初のオルフェウスのことを書いた『序』もとても面白かったです。
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内容さながら主人公の心の声と毒舌っぷりが面白い。賢い人だからできるウイットに富んだつっこみがたまらん!
ついついついてしまう思いつきの嘘にこそ憧れ望みがでるのだろうか。
責められない悲しい嘘もあるということ。けど嘘をついてる本人は悲しいとは思っておらず楽しんでるということ。んー。かなりすき。
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ソーネチカをかなり前に読んだのを思い出して手に取る。男のウソが大胆で実利的なものなら、女のウソはいったい何なのか?決して嘘をつかない一人の主人公を中心に6編の短編でまとめられた本。個人的には一番最初のものが好きだった。
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第4作と第6作が好き。
ロシア語の「元気?」の答えには詳しい近況報告を前提にしてるというのを今更ですが知りました。
登場人物の背景に前半あまりついていけなかった。全部読んでからもう一度読み進めました。
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6つのお話からなる連作短編集です。ひとはなぜ、嘘をつかずにいられないのでしょう?そもそも生きるということが虚構なのだと、心のどこかで感じているからでしょうか?それとも、嘘でもついていないと生きていけないからでしょうか?ここに描かれた嘘はどれも悲しいけれど、魂を救うものでもありました。物語の端々に70年代以降のロシアの状況を垣間見ることができて、それも興味深かったです。
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『星とヒトデを縫いつける/海と母とを縫いつける』ー『縫いつける』
堀口大學の「人間の歌」の一節が、無意識に口を衝いて出る。連作短篇という程に一つひとつの物語が互いに呼応している訳ではない。それでも一本の糸がそれらをひとつの流れに縫い合わせている。それは、タペストリーに例える程、大袈裟なものではない。その物語とこの物語の間には、語られはしないが確かにひと続きの時間の流れが存在しているのだ、そういう感覚を生み出すものがあるという感覚、細い一本の縫い糸のようなものだ。もちろんそれは、ジェーニャ、という登場人物の果たす役割だ。
リュドミラ・ウリツカヤを読むのはソーネチカ以来二冊目だけれど、この作家の感情の起伏を抑えたような筆致に惹かれていることを、改めて自覚しながら読む。抑えた、という言葉は冷静さを伴うニュアンスも呼び起こすけれど、リュドミラ・ウリツカヤの場合、そこには感情の昂まりを事前に察知して無理矢理に圧し殺しているかのような気配がある。そのことと、かつて為政者によって一つの国として纏め上げられていた土地に棲む人々の辿って来た歴史を重ねて見るのは余りに単純に過ぎるだろうけれど。
こんな小説を読むと、自分の棲むこの国が良くも悪くも平板な世界に見えてしまって閉口する。もちろん、ここにも格差はあり、非人道的な事は起きているけれど、太平洋の向こう側のひと達が熱狂するようなチェンジもない代わりに、どうしようもない程に付き合い難いこの世でもない。そこそこに自由があり、物は街に溢れ、世界の中でも指折りに電気を使うことができ、そしてこれこそが決定的だと思うが、大っぴらに文句を言うこともできる。気分が高揚しても、構うことなく解放できる。それが、どこでも許される訳ではないことに、ほんの少し思い至るだけで、世界の深さ、そして暗さの度合いがいきなり増し始める。
居心地の悪さを、決して露悪的になることなく感じつつ、手探りで世界のぬめりと冷たさを感じ取りながら頁を繰る。嘘が、必ずしも愉快ではないこの世をくぐり抜けて行くための方便であることを確認しつつ。あの人の人生やこの人の人生を、白い丈夫な糸で繋ぎ止めつつ。しんしんと降り積もる雪の下に豊穣な大地が眠っているのだと信じつつ。
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時に話を盛る程度であったり、時に根も葉もない話をしたりと、大小の嘘をつく女たちの連作短編集。嘘をついて実際に誰かをどうこうしたいとかそういうんじゃなくて、自分を満たしたいがために自覚的にも無意識的にも嘘をつく人たちを強く責める気持ちにはならなくて、どこか滑稽で愛しく感じた。
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頭5編はジェーニャがつかれた嘘の記録といった趣があった。たぶんジェーニャが真剣に人の話を聞くから、どんどん話が誇張されていったのでは?
最後はジェーニャ自身の物語で締めており、人間がこの世に生を受けたこと事態が嘘なのではないだろうかと思わされた。
しかし、オレオレ詐欺よりもこういった嘘のほうが、騙すほうも騙されるほうもマシ。
以前読んだコンゲームもので、人に夢を与えられるのが最良の詐欺師という台詞があったのを思い出した。
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あらすじを言ってしまえばいたって簡単、確たる理由もなく嘘をつく女性達に出会う主人公(なかなかのお人好し!)の話…。だけど、味わい深い上質な文章で非常に楽しめる。
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作者が生まれ育った人口密度によって文章のキチキチコセコセ感も決定されるような気がする。ロシアなのでゆったり。遊牧民は「建前」がないらしい。常に移動してるし国土も広いので二度と同じ人に会わない。知らない人が死にそうになってたら自分の全てをなげうって助けるが、一切見返りは求めない。そこには動物も人間もないんだな。そういう所で育ったモンゴルの人がよく日本の相撲協会でやってるなと。ですからね、嘘って「思い」であって必要なもので、呑み込まれないようにうまく生きていくのが農村民族のありかたでして。