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いつ頃かな…。
こんな気持ちを忘れてしまったのは。
ただただ楽しさだけを求めていた子供時代。
でも彼らは彼らなりに、悩み考えながら生きていた…。
読んでいくうちに、胸が熱くなり、時にキュンとなり、クスリって笑ったり、泣いたり…。
様々な感情を呼び起こさせてくれたお話でした。
「光」。
まさしく題名のように、光輝いていた作品でした。
道尾さんステキ!!
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あのころ、わたしたちは包まれていた。
まぶしくて、涙が出る。
まるで自分の思い出を振り返っているような自然な読み心地と、
小説作品にしか辿り着けない感動。
さらなる心境を示す、道尾秀介、充実の最新作。
第18作。第五連作短編集。
形式:一人称小説(語り手:「私」(利一)、「わたし」(悦子))。
小学4年生鮮やかな、夏から翌年の春までの一年を時系列に沿って丁寧に描いた傑作連作長篇。
主人公である「私」、利一はどこにでもいそうな4年生であるが、他にでてくる子供に比べちょっと内向的で、自分に自信がないイメージを与える。
親友・慎司は興奮すると「え、」と前置きしてしまうとぼけた感じの男の子。
その姉・悦子は、ボーイッシュで活発、一方で何気に垣間見える弟への心遣いが可愛らしい。
宏樹は典型的な金持ちの子って感じで、場面によってはうざったいがどこか憎めない。
清孝はこのなかで誰よりも強い心をもった、人の気持ちになって考えられる優しい少年。
以上の基本メンバーに加え、清孝の祖母・キュリー夫人、その宿敵だった犬のワンダ、担任の沙織先生や教頭先生、「㎜∞」で形容される一学年下の劉生などの面々が物語に光を与えている。
道尾さんの得意のどんでん返しはないものの、
少年モノらしく主人公たちの苗字は一切出てこないし、
明朝体とゴシック体とでちょっとした仕掛けをしたり、
冒頭から『時間の光』なる著からの引用、アームストロング船長らの通信記録など遊び心にあふれている。
当初は「夏の光」単発だったものが、キャラクターに惹かれて続きが気になり書いた作品。
それぞれの短編で見ても主人公たちがちょっとずつ生長しているし、たった一年の流れの中で、彼らの世界もちょっと広がりを見せる。
各短編もちょっとした伏線のある「日常の謎」モノとして読めなくもない。
短編小説も一編一編が出色の出来で、とくに「冬の光」は思わず涙した。
最後の二編は大事過ぎるきらいがあるものの、全編を通して見事なほどに収斂している。
ミステリ:☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
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虹色に反射する表紙がとてもキレイで、物語にも似合ってて、すごく良い。いつグロテスクな、酷い出来事が起きるのか不安だったけど、そんなことない、なんだか道尾秀介さんの新しい一面、だった。良い話だー。キュウリー夫人が最初から最後まで格好良くて良かった。後味が良い。
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最近の道尾さんの作品は、「子どもが抱えるどうしようもない無力感」について書かれているものが多く、さらにその無力感がわりと陰惨な印象を残すことが多かったので、実はこの作品も買ってからしばらく手が出せなかった。
しかし、読んでみて、当初思っていた印象とは少し違って、いつもよりほんのり明るい、まさしく「ひかり」を感じる作品だった。
小説の構成はミステリの手法が効果的に使われていて、単なる少年小説には終わっていない。伏線が回収されるときのカタルシスを、章ごとに味わうことができる。
道尾さんが描く少年の姿を見ていると、しみじみ、「男と女はこんな子供の頃から全く違う感性を持っているんだなあ」と思う。
思いつきを試さずにはいられない無鉄砲さとか、冒険に憧れて、さらには実行してしまう無邪気さは、女の子に皆無とは言わないけれどもまず見られない傾向だと思うから。
男の子を包んでいる光と、女の子を包んでいる光は、とてもよく似ているんだけど、たぶん本質的に違うんだろうなと思った。
道尾さんの作品の読後感はいつも、「哀しみ8割、爽やか1割 割りきれなさ1割」ということが多いのだけれど、この作品に関しては「哀しみ2割、爽やか7割、やりきれなさ1割」という感じだった。
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小4の男の子達の冒険物。清孝くんのおばあちゃん「キュウリー夫人」がホントいい味だしてる。子供の頃のキラキラした思いや、普通なら忘れてしまう感情など、すごく上手に書ける作家さん。どろっとしたものが無い分、そういうところが際立った感じがした。
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一読してこの小説は、道尾版「少年時代」だと思った。ちなみに「少年時代」とは、ロバート・R・マキャモンの小説です。長編小説なのか、連作短編なのかよく分かりませんが、第1章(第1作)が3年前に書かれたという事に注目したい。直木賞を取る前からこの小説は書かれていたのですね。あの頃の暗く重厚な長編小説と比べるとずっと明るく、又大人になった私が少年時代を回想するノスタルジーに溢れた小説になっています。(だから
一人称が 私 に最初戸惑ったものの納得しました)
第1、2章はその世界観と設定になかなか慣れなくて、少し読書するのに苦労しましたが、第3章~第5章は友人の清孝とキュウリ―夫人が中心軸に物語が進み、ハラハラしたり、口元が綻んだり、涙が出たりと夢中になって一気に読めました。(そうすれば、1章のワンダとキュウリ―夫人の話なんかがあっての長編小説になっていることが分かり再読しました)
特に中盤の第4章 冬の光 が好きだ。第6章と終章は連続した物語だがこれも悪くない。
余談ですが誰もが言う本として装丁が素晴らしいとともに使われている書体もいいと思います。それからラスト近くで叙述に関してサプライズがあります。その意味で、ミステリーの範疇に入るかも知れない。
とにかく星は限りなく5に近い4つだが、今年の本の中で(ミステリの分野だけでなく)代表的な一冊になるかも知れないと思いました。
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道尾さんの最新作読み終えました。
大人が書いた小学生の日記とでも言いましょうか…すごくハラハラしてワクワクして、何だか懐かしい気持ちになります。心地いい読後感。
不思議な魅力を持った作品です。
装丁がキレイでこの作品にぴったり☆
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後半特に、夢中になって読んだ。
先が知りたいと純粋にわくわくして止まらないっていう感覚を久しぶりに味わえた気がする。小学生の時ファンタジーばっかり読んではその世界から抜けられなくなっていたことを思い出した。
地元の公園で遊び尽くしたり林の奥まで探検してみたりと、行動範囲が狭いながら、小学生の頃は今よりもずっと何かに夢中になることが簡単で楽しかったと思う。でも、ただ楽しいだけじゃなく、小学生なりに悩むことは多くて、そういうところまで表現されていたから懐かしい気持ちにもなった。
読後感が爽やかで、読んで良かったなぁ。
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引用部分がすごいわかる!そして私の場合は、いまはもうほとんど途切れてしまってることに気がついてそれはそれでちょっと悲しくなった。
この本で言う「光」とは何なのだろう?子どものころ疑いも何の根拠もなく持っていた、安心感+希望のある未来像+瑞々しい感受性 のないまぜになった、一言では表現しがたいもの?もう失ってしまった気はするものの、大人だって何歳になったってどんなことがあろうとも、それをまったく持てないわけではないのかもしれないという気にもさせられた。
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小学生の利一は、クラスメイトの清貴が、みんなで可愛がっていた野良犬ワンダを殺したとクラスメイトの宏樹らに責められている場に出くわす。果たして真相は…?
今という時間がギュッと濃厚だった気がする少年少女時代。
劣等感、優越感、後ろめたさ、勇気、いろんな感情がむき出しのまま自分に押し寄せてきた。主人公が体験し、感じたことは、かつて自分や親しい友達が味わったことのありそうなことばかりで、苦く、痛々しく、そして微笑ましくもある。
温かみのある物語が、道尾さんお得意の捻りをスパイスにして、ときにハラハラさせながら進んでいく。
今までの道尾さんの作品の中で3本指に入るくらいお気に入りになった。
「あのころ、わたしたちは包まれていた。まぶしくて、涙が出る――。
都会から少し離れた山間の町。小学四年生の利一は、仲間たちとともに、わくわくするような謎や、逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。
さらなる進境を示す、道尾秀介、充実の最新作! 」
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人はいつから大人になるんだろう。
そんな漠然とした疑問を感じながら子供時代を振り返る。
そこにあったのはただ広い世界で、全てが光に包まれていて、
泣きたくなる程愛おしく温かな記憶。
これまでの作品、例えば
向日葵~や、月と蟹などが、
子供時代の陰の結集体だとするならば、
こちらは陽を集めたらこんな小説が出来ました。という印象。
相変わらずの美しい情景描写と畳み掛けるような疾走感と共に、
自分の子供時代を振り返ってみるのも悪くない。
あ、でも私にはこんな子供時代はなかったかも。
それでも童心に帰らせてくれる作品。
終盤でああ、やっぱり道尾氏なのね。と安心(笑
★4~4.5だけど、
装丁の美しさ、相変わらず秀逸なタイトル、
そしてなんか色々思い出させてくれてありがとう!
という気持ちを考慮して大奮発の★5(笑
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懐かしい雰囲気が終始、漂う作品。
私自身は、まだ20代であるが、小学生の時を思い出しました。
読みながら、
小学生だった私が、地球が球であることを知って
目の前の道をずっと行けば戻ってこれると思って
ひたすら自転車を進ませたが、途中であきらめた事を
思い出しました。
また、夏祭りの時には、夜遅くまで外出を許されていて
とても楽しかった事も思い出しました。
しかし、いつからだろうか、夏祭りにも行かなくなってしまったのは。
みんなでバカなことをやった事も懐かしくなる。
本当にバカだったけど
毎日がキラキラとした思い出でいっぱいだなと感じた。
そんな日々がまた過ごせたらいいのになと思う。
といった気持ちになった作品でした。
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内容(「BOOK」データベースより)
真っ赤に染まった小川の水。湖から魚がいなくなった本当の理由と、人魚伝説。洞窟の中、不意に襲いかかる怪異。ホタルを、大切な人にもう一度見せること。去っていく友人に、どうしても贈り物がしたかったこと。誰にも言っていない将来の夢と、決死の大冒険―。
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んー。
なんかちょっといまいちだったかもしれない。。。
私の読みが足りなかったからかもしれませんが(;´Д`A ```
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タイトルのとおり,光に溢れた作品。読み進むにつれて,なぜだか懐かしさがこみ上げてくる。
作中に出てきた花火。自分も昔は花火を見るだけでもっと感動してたのになーと感じた。不感症ではないけでど,大人になって行くにつれて,失われていく感性が寂しくも感じた。