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「男たちのガチンコ 人間将棋」と帯にある文句に連られ将棋関連小説なのだろうと想像し購入した時代小説。
場所は九州、久留米から程遠くない浅沼宿。長らく浅沼宿を牛耳ってきた博徒・扇屋と元は扇屋に居て独立し浅沼宿を手中に収め結おうとする彦左一家。雌雄を決する闘いは役人の目を引くからと、勝負に選んだのは「斗棋」こと人間将棋。親分同士が将棋を指し、互いの二十人の手下を駒に見立て、駒がぶつかる手下同士が命を賭けて戦い、勝ったほうの駒が残る。将棋と同じように玉、即ち親分が殺られた時点で勝負ありというルール。
現在、将棋の駒の動きは横軸に数字1から9、縦軸に漢字の一から九をあてがいその場所を表わす。つまり、先手の場合には▲7六歩と表記するのだが、この小説の中では横軸を子丑寅卯と表現する。即ち▲午六歩と云う具合だ。
将棋の定跡らしく、お互いに角道を開けたところでいきなり角交換は一般の将棋。ここでは角同士の対決で彦左の角が殺られる。熱くなった彦左はいきなり飛車を横に振り、角にぶつけるがこれも遭えなく殺られ、扇屋の▲7七角と異動するといきなり王手!普通の将棋の定跡とは全く異なる手順。
さて、この先はどのような奇手が飛び出すのだろうかとワクワクしたのだが、後は兎に角、駒に見立てた手下の決闘・殺戮場面の繰り返し。
もう30年も前になるだろうか、時代小説に変わった設定を持ち込んだものとして「麻雀新撰組」と云うのがあったが、結構ハジけていて楽しんだ記憶がある。博徒に将棋と来れば、少なからずそうした期待感も持っていたのだが余りにも真っ正直な設定で肩透かしを食らったような気分。
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「戦国小説」でもないんだけれど、もはや戦の人間将棋バトル。
現代劇に置き換えると、ヤクザの抗争なんだけれど、時代設定をこうすると、生臭さが緩和されるのが不思議といえば不思議。
とにかく駒が合わされば戦闘開始。得意の得物で殺しあう。
闘いのシーンが続いて一気に読み進めると、最後には意外なほどしっかりしたドラマが。
こういう一気に読ませる小説もいいな。 単純に「面白いっ」と読めるものは、ありがたい。
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タイトルからの感じていたイメージと内容にギャップがありました。
時代小説を借りて男の維持と情念を表現していた作品てした。
果たし、主人公は、誰なのか。男なのか、不条理な時代其の物か。
生き様を描くのは、難しいですね。
でも、サブキャラ含めて、登場人物良かったです、其々背負う物があって。