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ひと昔前の榎田作品に書き下ろしをプラスした新装版。2段組で350p越えは大ボリュームで読むのに大変でした。本が分厚くて重たいし、いい値段だし、内容も重くて痛い…!でも、魚住くんシリーズ同様、センセの創作活動の原点を知ることができる良作でした。
愛とか、死とか、家族とか。全部に「禁断の」がつきそうで、男が男を好きになることで罪を背負わなくちゃいけないという、現在のBLの観念よりもっと道徳的な(または背徳的な)感覚で描かれています。
でも、今のパターン化された「お約束」みたいな要素が無いので、登場人物の行動がつかめないところ、cpがオシドリじゃなくパートナーに変化があるところなど、予想もつかない展開が面白かったです。
主人公の百瀬青は、「青薔薇」と呼ばれる高級男娼。
なので、お相手の攻は一人じゃないんですね。そして青を買う客は性格的にはいい人ばかりなので、次々相手が変わっても抵抗はなかったかな。まぁ、それぞれワケアリで抱えるものはあるわけで、二人目の三津井なんかはSMプレイ嗜好でどうよ?と思うのですが、それでも根はお人よしで優しかったりするので、どの人物も嫌うことができないのです。
体の関係だけというわけではなく「愛を売る」と主張するだけあって、青と客の間にはそれだけでは割り切れない感情が存在しているんです。そこに男娼として生きる青の過去が秘められていて、もっと彼のことが知りたくなってたまらなくなるんですよね。
過去のあやまちにとらわれ続け、自身に罰を科すことによって罪をあがなうかのような青の行動が痛々しくて、辛くなります。逃避行以降はとことん重い展開。でも、そこから周囲の力を借りて再生していくところは胸が熱くなりました。再生、というよりは目が覚めたというかんじで。
孤独なんかじゃない、愛に包まれていると前向きになれるところがよかった。闇にとらわれ、大切なものが見えていなかった青がちゃんと与えられているものに気付くところに安堵できます。
しかしですね、やはりJUNE的な本編より、書き下ろしの「Weeds」に格段に冴えわたったものを感じました。これが今の榎田センセだな、と。
青の口数が増えてるのも年月の流れや彼の成長を感じさせましたが、それだけじゃない。作品的にも会話文のセンスの良さが飛躍的に洒脱になってて、全然違う。言い回し、リズム感が心地よくて、何度も読み返してしまいました。
真摯に「愛」を扱っているのがいいです。体当たり的なかんじ。
なので、その熱さに辛かったり、うれしかったり、感動したりであちこちで泣かされました。
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トオルに感情移入ができず、とにかく本当に鬱陶しく思ったのでしんどかった。あと、麻薬関連は本当に地雷。なんであれお咎めなしなの?ラストの書き下ろしも蛇足。なんか行動理念や感情の動きが理解しがたくて、合わなかった。
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忘れてたけど多分昔読んだことあるな。
ある意味テンプレでした。
出てくるキャラは全員嫌味がなくてよかった。
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不思議な雰囲気のBLでした。
青が抱えてる青が気付いていない深い心の傷。それは何なんだろう?癒すのは誰なんだろう?って2編通して読んで、青が苦しくて私がブルーになった。
書き下ろしが無かったら浮上出来なかったかも。まぁ、無くってもそれはそれで美しいストーリーだったけれど。
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榎田さんの初期作品で男娼もの。JUNEぽい暗さが割と好きだったんだけど書き下ろしが…うーん。両思いなの?そこは微妙な関係のままがよかったな、個人的に。急にラブラブハッピーエンドのBLになっちゃった感が。ちょっと薬物は…だったけど過去の義父とのエピソードはよかっただけに残念。高階さんの絵柄の青がめちゃめちゃ色っぽかったので☆一つオマケ。
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★3.5。
短編連作もの。高級男娼の受け。最初の話が一番BLっぽくて安定してたかなぁ。介護について、ちょっと考えさせられて、自分が介護する立場になったらもう一度読みたいと思う。
売春ものなので各攻めとのエロシーンはあるものの、だからこそ最後の最後まで幼なじみとは身体を重ねなかったのが良い演出だと思った。流石。
新装版に書き下ろしがあって良かった~。シリアスな本編からふっと力が抜けるような感じで、穏やかな未来が今度こそ見えそうですね。