紙の本
小作品だが良品
2015/04/18 21:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:foxtail - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず彼女の作品は田中光二に似てる
田中は燃え尽きた男がまた立ち上がる話が多い
篠田は一見すると枯れている女性が女(の魔性や情念)に目覚める話だ
本作品は大作ではない、小さな作品ではあるが良い作品だ
初期の著作には、本来、長所である多才で溢れるアイディアが読者に伝わりづらい面もあったが
この美神は作者の想いに文章表現が追いついた感じ、非常に読みやすい(重松清並み)
またさまざまなジャンルを書く作者ならでは、先の読めなさも高評価
ホラー、推理、はたまたSF、どう進むのか
怪しい男は、バンパイア、猟奇殺人犯、マッドサイエンティスト、いずれにもなりうるのだ
この辺りもオススメでつ
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2012/5/25 Amazonより届く。
2014/12/5〜12/6
整形で美しい顔を得たピアニストが、デザイナーと恋に落ちる。彼が休暇を過ごす山荘に行くと………。
ううん、なんとも形容し難い作品。ちょっと外れかな。
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もともとは角川ホラー文庫からの出版だったとのこと。
読了したが、ホラーにも恋愛にも徹しきれてないな、という感じ。
で、何をいいたかったの?という具合で残尿感が残る残念な結果に。
好きな作家さんですので、次はいい作品読んでみましょうかね。
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元々はホラー文庫だったのですね。精神的にキます・・。
自分の顔を徹底的に造りなおすこともそうですが、人形の変わりに愛されるということ。などなど。
美しさについて、考えちゃいますね。。。
この作品に出てくる人形は、フィレンツェのラ・スペコラ博物館にあるという
「解体のウェヌス」のことなのでしょうか?
村上喜代子さんの短編集を読んだときにも出てきたのですが、(もし同じものがモデルなら、ですが)人形の顔の描写が随分違うのですね。
確か村上さんの方では、ボッティチェリのヴィーナスと瓜二つ、みたいな
御顔だったと思うのですが。
ここでもまた、人によって違う美の受け取り方があるのでしょうか。
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他の方のレビューで元々はホラーだと知った。
美容整形で美人になった女が謎の男に惹かれて葛藤を繰り広げるのかと思いきや、終盤の展開に唖然。
壮絶な置いてけぼりをくらった。
美容整形をテーマにしている作品はたくさんある。
読んだ中では一番つまらなかった。
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整形手術を受けた女性が、
商業デザイナーと出会う。
均整のとれたものを美と考える。
生きているものに対する美しさを
感じないことに、不思議さを漂わせる。
篠田節子にしては、
少しもの足らない作品であった。
「コンピュータは、
思考の省略をすることはできない。」
という意見が面白い。
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整形手術をしたピアニスト。
人形を愛するデザイナ。
2人の出会いと関わりを綴るなかで、
音楽という時間軸の美と
デザインという空間軸の美の
交差点が出会い。
解決することがない美の追究。
論理的な破綻。
解説を平山夢明が書いている。
「江戸川乱歩を彷彿とさせる仕掛けもある」
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平田さんは
あれで、良かったんだよ。
愛する人形と一緒になれたんだから。
主人公も
きっと幸せになれる。
そんな感じがしました。
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ブックオフで購入しました。百五円でした。
美容形成をして生まれ変わった主人公。少しずつ満ちていく影。
人形に恋するデザイナー。
これはホラーなのでしょうか、なんともいえぬ読了感でした。
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賞賛されるための美を求めて得られない女と、究極の美を求める男の狂気の物語。
整形手術を受けて人形のような容貌を手に入れたが、自分を人形として愛してくれる存在は拒絶するというジレンマがとてもいい。
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一時は角川ホラー文庫からも出ていたらしい、ある意味ホラーかもしれない1冊。ただし、篠田節子にしてはハズレ。
大規模な整形手術で、究極の美を手に入れたピアニストと、究極の美しか許せないデザイナーの一種倒錯した愛憎劇。
というか、上記の2人以外の人がほぼ出てこないため、周辺の景色や情景が、全く広がりません。また、「美を手に入れたが、心から愛せない」といったような、漠然とした表現が多く、そういうのが美しいと思ってしまう人でなければ、感情移入も出来なければ、引っかかるポイントもない。
終わってみれば「過去の自分を捨てた女と変態王子様」という程度の話であって、結局のところ変態王子のどの辺に惹かれたのかすら、ピンと来ないのだった。
最後の対峙と決闘、そして「初めての心からの笑顔」みたいな表現も、それまでの積み上げが全く出来ていないため、なんじゃそらという出来であった。
文章はうまく、通常なら☆2だが、篠田節子を読みたい人にとって、まったく価値の無い本であるので、厳しい採点としたい。
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美人のピアノ演奏者として評判の主人公麗子。
その美しさは、彫刻的人工的でが、ハンバではない。
しかし、ハッと息をのむほど美しいのに、
人間的な温かみのなさがすぐにわかると見え、
誰も親密になろうとしない。
もともとは自分の容姿を悲観して
美容整形で手に入れた顔と美貌だったのだが、
元の自分を葬り去るつもりで、思い切った整形に挑んだため、
彼女自身も自分の顔がキライだった。
そんな彼女にある日突然、
謎の男性平田が「夢ではない」といいつつ、近づいてきた。
相手の身元も何もわからないまま、
麗子も彼を愛するが、彼が愛したのは実は麗子の表面だった・・・。
おぞましい結末がラストにあったが、
麗子を通して美貌にあこがれる女性心理と
その結末になるほどと思った。
そして男性の平田、
彼のねじ曲がった「美」への執着心に男性の本心を観たような気がした。
全体的になんだかどこかで読んだような感じのホラーだと思ったら、
最後の解説を読んでわかった。
「美」という魔物に取りつかれた男女の恋愛物語と
その悲惨なおそろしい結末は、
江戸川乱歩の小説に近いものだったのだ。
引き込まれるように読める面白い小説だが、
読書後は、本来の「美意識」や美人を見る目が変わりそうで、
なんだか後味がすっきりしない恐ろしい小説だと思う。
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何か変だな、危ういな、と思いながらもどんどん惹かれてゆく、そういう二人の感情の渦に引き込まれた。顔にコンプレックスを持つ女、己の性癖に呑み込まれてゆく男。相手の中にお互いの暗部の何かが引っかかった・・
最後は、生きようとする前進力を彼女に与えた、篠田氏らしい終わりかた。
1995発表
1995.8 角川ホラー文庫 図書館