紙の本
元・死の川
2015/10/22 18:47
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投稿者:やまだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
多摩川に増えた熱帯魚の問題から一度死の川と呼ばれた多摩川が復活する話を子供でも分かるようにした本でした。下水処理の問題など大人でも興味が引かれる内容になっていました。
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タイトルから想像できる、多摩川の外来魚や「おさかなポスト」の話にとどまらずに、多摩川と下水処理場の関係まで話が広がります。下水処理場の生態系への影響は想像以上。それから、筆者の山崎さんの本職は自然環境調査というのも知りました。「漁協のおじさん」としか思っていなかった。
子供向けの本なので、小一時間で読みきりました。
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環境について。多摩川の水温が上がり、外来魚の繁殖から、アマゾン川とをかけてのタイトル。なぜ、このようになったのか、そして改善策をさぐる。著者はおさかなポストを設置したことで有名。おさかなポストの運営についても詳しく語られている。厚みはあるが、興味がある子なら中学年から読めるだろう。
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多摩川の復活とこれからの課題についての、小学生向きの本。
昔は筆者と同じように近所の湖で遊んだりして、魚にも興味があるので、水質環境には関心がある。
いまや多摩川は最後の清流と言われる四万十川なみの水のきれいさで、アユが1年に100万匹も上り、生息する魚は250種類を超えるという。死の川だった多摩川を復活させたのは下水の普及と多数の下水処理施設で、現在の多摩川の水は8割が下水処理水だという。
とはいえ、外来魚の問題やさらに国内外来魚と言われる多摩川産とは異なる遺伝子を持った同種の魚が混交するという問題もある。
個人的には、下水処理説には相当の税金を取られてもいい。
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市立図書館の子供用本のコーナーにディスプレイされていて、手にとった。
多摩川の歴史を見続けてきた方ならではの説得力がある。
ホントに綺麗な川になった反面、外来魚、水温上昇など、新たな問題に直面しているそう。
好きの反対は無関心、との言葉が印象的。流域の住民として、関心を持ち続けることが大事なんだね。
できれば、漢字に皆ルビを振って欲しいです。
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良い本でした。
多摩川の歴史(1950年代~)、現在の問題、玉川上水にも少し触れていて、また、浄水所のことや今私たちができることまで、小学校教科書の副本に良いのではと思う内容です。
多摩川にアユがもどってきたことについても書いてありますが、ただ戻ってきたことに喜んでいるだけではいけないのだということも学びました。
教育関係者にはおすすめです。
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2014 10/12読了。Amazonで購入。
外来魚のことをいろいろ調べているうちに辿り着いた本。
著者は「タマゾン」という言葉を最初に口にしたという、環境コンサルティング/リサーチ会社の代表。
高校の先輩もそういうお仕事なさっているので、そっち方面でも興味を持ちつつ読み進める。
多摩川に世界中の熱帯魚を含む外来魚が来ていて、えらいことになっている・・・というのは知っていたけれども、その問題だけを指摘していくのではなく、そうなる前には「死の川」と言われていた多摩川の復活劇もあったことを紹介していく。
すごくきれいな川だから、魚を話しても生きていけそうと思われて、ペットの魚を放される。
もともとは多摩川は流れもはやく水も冷たく、魚種も少ない川だったのが、今は水が温かくなっていることで魚種が増え、外来魚もふくめ150種の魚がいるという。
そのあたたまった理由は下水処理場から出る水の温度の影響で、しかしその下水処理場が出来る前は生活排水等で多摩川はひどいことになっていたという話も出てくる。
それが今では毎年、鮎が100万匹も遡上する、とても大都会を流れる川とは思えない豊かな川で、それは素晴らしいことなんだけどでも外来魚が増えてきていて・・・。
ことはそんなに単純ではない、ってことか。
でも多くのレビューでもそうなってるけど、これ読むと外来魚のこと以上に印象深いのは多摩川の復活劇だなあ。
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高度成長期に川がみるみる汚くなって、公害病も起こったため、排水処理が義務化され、下水道もできて、また川が(前ほどではないにしても)きれいになった。それとはべつに外来生物の問題がここ数十年のうちに起こってきた。と思っていたけど、これは一つだったということが、読んでわかった。今さらだけど、私のようにいい年した大人も知らない人の方が多いんじゃないか。子ども向けのこの本はとてもわかりやすく読みやすいので、皆読むといいと思う。
個人的に魚類爬虫類両生類も嫌いじゃないけど、哺乳類、まあ犬猫ほどペットとして関心がないので、基本的なことを知らなかったんだなあ、とつくづく。亀の甲羅には血が通ってるとか、魚のヒレがぼろぼろになってたらハサミで切ってしまうときれいなのがまた生えてくるとか、「そうなんだ!」と驚いた。多摩川の水の八割は処理された下水とか、川は流れの中央より岸辺近くの方が水がきれいとかも知らなかった。恥ずかしい。
はじめに書いた下水処理と外来魚の関係とは、処理された下水の温度が高いため(人間がお湯を使うから、冬の方が高い)、南米やアフリカ、東南アジア原産の外来魚が住みやすくなってしまった、ということだそうです。地球温暖化じゃなくて下水による温暖化。
これ以上川の外来生物を増やさないためにはお風呂のお湯が冷めてから捨てる、食器を洗う前に拭くなど、お湯を捨てない努力をすることが大切だそうです。食器は拭いてたけど、洗剤の量を少なくするつもりでやっていて、お湯のことは考えてなかったなあ。反省。
子ども向けの本って侮れない。読んで良かった。
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地元を流れる川でもある「多摩川」についての本です。
自然豊かな清流から汚れすぎた「死の川」へと落ちぶれ、また復活した多摩川。
一方で、様々な外来種が生息する「タマゾン川」としても有名になりました。
その歴史をふりかえりながら、これからの私たちが、何に気を付け、どういった視点を持つべきなのかを示してくれる本です。
文章も小中学生に向けて書かれているようで、平易な言葉づかいで読みやすいです。
多摩川がきれいな川に戻った要因の一つである下水処理施設についての記述(下水処理場の果たした功績と、河川の温水かというデメリット)や、在来種とはいえそれぞれの河川に特有の遺伝子を持つ場合があり、人々の安易な行動で固有種が絶滅する(国内間外来種による淘汰)ことが起こりうるということは新しい発見でした。
「おさかなポスト」という取り組みも行っている筆者の考えは、一面では極端な自然礼賛にも思える部分がないわけではありませんが(どこまでが「自然保護」として人間が行うべきことなのか、という議論にはそう簡単に結論が出せないとも思うので)、「考えるヒント」を与えてくれる作品として、生徒に推薦できる作品だと思います。
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環境問題、外来種の問題、ペットを飼う人のマナーの問題。
文章はとても簡単ですが、内容は非常に考えさせられる良い作品でした。
無償で魚を引き取る"おさかなポスト"に、魚を捨てに来る人が、1日に1000人近い日もある…?一番の衝撃。
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外来生物に関しては子供の頃に触れ合ったミドリガメとブラックバスがその双璧だと思います。
今は昔よりも色々な生物が輸入されて、そして心無い飼い主が川や池に捨てる。繁殖して在来種を駆逐する。これは水生生物だけに言える事ではありません。あらゆる場所で沢山の外来生物が日本に定着しています。
そして川がきれいになり、一般家庭からの排水温が高くなっている事によって、熱帯で繁殖する淡水魚が多摩川で大量に繁殖し、まるでアマゾン川のような状況に。
そう、まるで「タマゾン川」になってしまったのです。
そんな我々に一番身近と言っても過言ではない多摩川を、長い間見つめてきた筆者が語る川、生物、人間の関係性の話は滅法面白く、子供が読めばワクワク及び固有種を守ることの大事さが分かり、大人が読めば、あのドブ川だった多摩川を清流に戻した人々の尽力に頭が下がり、もう一度多摩川に遊びに行ってみようかなと思うに違いありません。
思えば子供の頃、田んぼの横のどぶ川とかは本当に汚くて、生活排水をそのまま流していたと思うのですが、子供はそういうもんだと思ってザリガニを取ったりしていました。とんでもなく汚いのですが、昔はそれが当たり前だったんですね。
そして筆者が行っている「おさかなポスト」の存在が素晴らしいです。てっきり外来魚を入れてもらって処分するんだろうと思っていたのですが、面倒を見て病気であれば治療までして、里親を探すことまでするんですね。外来魚だから死んでも仕方が無いと思っていた自分をグサッと突き刺されたような気持ちです。
勝手に放流されて、増えたから駆除されるって、外来魚にしてみたらえらい迷惑ですよね・・・。
これすぐ読めるので、子供だけではなく大人も読むといいと思うなあ。
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多摩川には日本の魚もいるが海外の魚も沢山いて
悪い意味で生態系が豊かである。
多摩川の自然は人間がことであり一人一人が「多摩川は、自分の川だ」と思うべきだという文
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自然環境コンサルタントの著者が、多摩川を調査し、綺麗な川を取り戻し水の生き物を保護しようとするドキュメンタリー。
冒頭で書かれる多摩川の調査で出てきた水の生物達の国際色豊かだった。
南北アメリア、オセアニア、アジア、ヨーロッパ、アフリカ…。
やはりインパクトが強いのはアマゾン川にいるような熱帯魚や肉食魚たち。ピラニア、アロワナ、グッピー…これではタマ川でなくてタマゾン川ではないか!
この「日本の川にアマゾン川の生物がいるぞ」は、世界各国のテレビ局から取材が来たそうだ。
多摩川は、山梨県の笠取山から始まり、東京、神奈川を通り羽田河口に抜ける、全長138キロ、日本で五番目に長い一級河川だ。
綺麗だった多摩川は、高度成長期に汚染や公害病が起き、外来種も増加していった。
問題視した東京都が排水処理を作っていったため、徐々にきれいになっている。
多摩川の水のうち、支流や湧き水はせいぜい二割、残りの八割は家庭からの下水だという。下水処理場の優秀さよ…。
多摩川で見つかった外来種たちはだいたいが飼えなくなったペットの放流だ。外来種というのは外国の動物というだけでなく、日本の別の場所の生物も含まれる。「多摩川のメダカが減っているなら、〇〇川でとったうちのメダカを放してあげよう」と本人は好意のつもりで別の場所の生物を放つのは、結局は多摩川在来のメダカを減らすことになってしまう。
しかし外来種といって捕まえて殺すことは忍びない、自分たちが来たくてきたのではないのだから。著者は多摩川で捕まえた外来種たちを展示したり、里親探し始めた。これはなかなか有益だなあと思った。外来種が増えての弊害として、食物連鎖が壊れて生物同士で攻撃しあってしまうことがある。多摩川で捕まえた魚たちも、目が潰れていたり、ヒレがちぎれていたりしているものが多い。それらを治療して保護して水族館などで展示することにより「ペットを無責任に放してはいけないんだ」と自分でわかるようになる。
また「おさかなポスト」というシステムも始めた。「多摩川に放したり、捨てたり、殺したりするなら、ここに入れてください」と水の生物を受け入れるものだ。できれば放して終わりではなく、たまには様子を見たり餌をあげに来てほしい、と言っている。飼えなくなって泣く泣く放したのであれば飼い主もたまに会いに来られますね。
こんな怪我した動物たちへの治療や触れ方も書かれている。
ヒレがぼろぼろになった魚はヒレをハサミで切って消毒するとまた生えてくるんだそうだ。亀の甲羅に血管が通っているので子亀のうちから触れ合っているとちゃんと飼い主と心が通じる。
多摩川を通して、川が汚れること、外来種を放つことがなぜいけないのか、動物とのふれあい方、発電のこと、エコがなぜ大切か、自分たちができること、目に見えて分かりやすい良い本だった。
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タマゾン川は流行語大賞候補だったのか。知らなかった。
まだ池の水を抜いたりしてなかった時代の話だと思います。
駆除じゃなくて、保護。
彼らに罪はないから。
だけどそれには莫大なコストが必要になる。
駆除でもそうなんだから、なおさらよね。
自分たちが生きるために改変した自然。
その責任をしっかりとるなら、そりゃもちろんコストがかかる。
著者は2021年に亡くなっていらっしゃいます。
その後の活動はどう継続されているのでしょうね。
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K519
「ぼくらの川がちょっとおかしいゾ。アロワナ、ピラニア、グッピー、プレコ…日本の川に捨てられる、外国の魚(いのち)たち。」
「多摩川は、人間の努力で元の清流にもどりました。しかし、すてられたペットの魚によって生態系の危機に。川から多様な問題が見えてきます。」
目次
1 いるはずのない魚たち
2 おさかなポスト誕生
3 死の川、多摩川
4 そして、いのちが戻ってきた
5 未来への流れ
著者等紹介
山崎充哲[ヤマサキミツアキ]
1959(昭和34)年、神奈川県川崎市生まれ。自然環境調査コンサルタント。外来種問題が深刻な多摩川で、NPO法人おさかなポストの会を創設し、飼い主に捨てられた魚を保護する活動をおこなっている。「川を知ることが川をよくすること」との思いから、子どもを対象にした川遊び教室、環境紙芝居、移動水族館などにも熱心に取り組んでいる。TBS『どうぶつ奇想天外!』などテレビにも多数出演